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第十五話 誘拐事件
桜「うぅん……。」
桜はゆっくりと目を開ける。
薄暗くて、知らない場所。
あたりを見渡すと、隣に司はいた。
桜「司。起きて!」
司「うぅん……。あれ?桜……?桜!?」
司は一気にガバッと起きて、桜の肩をつかむ。
司「無事!?怪我してない!?」
桜「うん。司、何があったの?ここどこ?」
司「アァーうん。こんな事ほんとは言いたくないんだけど、俺たち、誘拐されたみたいなんだ……。」
桜「!?」
ゆ、誘拐!?
桜「これってどうしたらいいの……?」
司「アクション映画みたいに脱出?」
桜「えぇー!?」
司「あいつら子供だからってなめてんだよ。脱出しなきゃ警察も呼べねぇだろ?」
桜「それも、そう、だね……。」
司「よし!」
司は立ち上がると、桜に向かって手を差し伸べる。
桜はその手を掴むとゆっくりと立ち上がった。
ドアを少し開けて、外の様子を見る。
どうやらここは廃病院みたいだ。
人がいないのを確認すると、二人は素早く、右へ走った。
右まで来ると階段があった。
司「下りるぞ。」
桜「待って……。話し声が聞こえる。」
こっそり覗くと、踊場に三人の男が居座っていた。
司「は、は、はくしょん!」
司が大きなくしゃみをした。
男1「!?」
男2「逃げられてるぞ!」
桜「司!こっち!走るよ!」
桜は司の手を取ると、反対側へ走り出した。
反対側に着くと、一気に階段を駆け下りる。
しかし、玄関にあたる部分にもう二人誰かがいた。
司「あれは……。」
澪・亮「桜!司!こっち!」
澪と亮だ。
《澪視点》
澪「警察は呼んであるから!」
桜「どうしてここだって分かったの?」
亮「俺の勘だ!合ってて良かった。」
司「助かった!」
私は後ろをちらりと振り返る。
男はまだしぶとく追って来ている。
警察「そこの男!止まりなさい!」
前方から警察が現れ、男を捕まえた。
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桜「司が無事で良かったぁ!」
桜がホッとしたように言う。
その言葉を聞いて、私はいつものように、桜にこっそりと聞いた。
澪「告白できたの……?」
いつもと、様子が違うのが分かった。
桜「う、うん。返事は……。」
そこまで、桜が言って、私は喜ぶ……はずだった……。
こみ上げてきたのは全く別の感情。
嫉妬。
何で、いつも桜だけが特別で。
私は惨めで、桜の隣には立てなくて。
私だって司のことが好きだった。
桜はライバルだと思ってた。
でも、実際は桜の足元にも及ばなくて……。
何で、桜だけが……。
羨ましい。
恨めしい。
ウザい。
嫌い……嫌い……!
澪「ハッ……!」
気がついたら泣いていた。
違う。
桜は嫌いな人。
桜は親友。
違う違う。
嫌い嫌い。
亮「澪!?どうした!?」
隣にいた亮が心配してくれる。
私は拭いても拭いても溢れる涙を必死に隠しながら言った。
澪「どうしよう……。私、
桜のことが嫌いになっちゃったかも……。」
アハッ☆投稿サボってた作者だよ☆
祝・十五話!!