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ホークスさんが暗所恐怖症あーんど孤独恐怖症な話
閉所恐怖症、あんまり詳しく知らないんですけど
孤独恐怖症はおれなんでわかります
ちなファットはあの…痩せてる方(?)です
「はぁー、ほんと助かりましたよー!さっすがNo.1!」
「ったく、あれぐらい一人で処理しろ!」
俺は、エンデヴァーさんにそう声をかける。
一人の|敵《ヴィラン》にてこずっていた俺のもとに、エンデヴァーさんが駆け付け
見事に確保したのだ。
「…おいホークス、」
「はい~?なんですかー?」
「なんで着いてきてるんだ」
エンデヴァーさんの事務所についていく俺に、エンデヴァーさんはそう突っ込む。
「え~?べっつにいいじゃないですかぁ~!ほら!チームアップも
久しぶりですし~!」
俺はすかさずそう返した。
「自分の事務所に帰れ」
「えぇっ、エンデヴァーさんひどいですよぉ!俺にあえて嬉しくないんですかぁ?」
「全くな!」
そう返してきたエンデヴァーさんに、俺はまたもや「えぇーっ!!」と
声を上げる。
「…まぁ、着いてくるなら勝手にしろ」
「お!?珍しくエンデヴァーさんが素直だ…明日は大雨ですね…」
「はぁ!?なんだとっ…!?」
---
「はぁー…意外と遠いんですね…」
「お前の体力がないだけだ」
その言葉の通り、結構な距離を歩いたと言うのにエンデヴァーさんは息切れすら
していない。
俺はいつも翼を使って移動するからか、足の体力はあまりないらしい。
そんなところもさすがNo.1…というところか、と俺は思う。
「おいホークス、俺は下の奴らに書類を渡してから行く。お前は先に
上がってろ」
「あ、おっけーでーす!」
俺は元気よくそう答え、エレベーターへと乗り込んだ。
「ふー…今日の敵、意外と強かったよな…」
だの、
「焼き鳥食べたい…あとでエンデヴァーさん誘ってみよう」
だの呟きながら、最上階にあるエンデヴァーさんの事務所に向かう。
扉が開いて、入ったはいいものの…
「あれ、」
中には誰もいないようだ。
そういえば、先ほどエンデヴァーさんが「下の奴ら」…とか言ってたな。
じゃあ、人が帰ってくるまで中で待っておこう。
そう思った時だった。
ガシャン!!と大きな音が響き、体と羽がびくん、と反応する。
「うぇぇ…?びっくりした………ぇ、」
扉は自動ドアだったはず。なのに、近づいても開かない。
どうやら今の音は、鍵の閉まった音だったようだ。
幸い電気はついていて、あまり不安は感じない。
そうほっとしたのも束の間だった。
バチンッ、とまたもや音が響き、あたりが真っ暗になる。
「は………」
外はもうすっかり日が暮れて、空には点々と星が見えるほどだった。
つまり、ドアも開かないし何も見えない。
そんなこの状況は、俺にとっては最悪だった。
どこを見ても真っ暗で
どこを見ても誰もいなくて。
‶あの時‶の記憶がフラッシュバックして、息がしにくくなる。
「はっ、はー…っひゅ、だ、れか…」
ドアの隣にしゃがみ込む。
今の俺の頭の中にはスマホを使うなんて言う選択肢はなくて、
ただ暗い中一人で助けを求める。
「ひゅ、かひゅーっ…いき、できなっ………」
きっといつもの俺なら、飛ぶなり窓を割るなり電話をするなり、解決策は
山ほど思い付くと思う。
だが、どんどん鮮明になっていく記憶が、それを阻んでいるのだ。
「は、っは、ひゅ…げほ、」
ぶるぶると震える体と羽。
それを抑える余裕もなく、膝に顔を埋める。
忘れろ、忘れろ、はやく…
おれは速すぎる男だぞ、早くわすれろ…っ、
そう自分に言い聞かせるが、こういう時に限って頭の中から消すことができない。
なんなら、より鮮明になっていく記憶に嫌気がさした。
「はぁ、はぁ、っ…げほ、かひゅ…っ」
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子供のころ。
虐待を受けていた俺は、ずっと|これ《今》に耐えていた。
殴られて、蹴られて、怒鳴られて…。そんなの当たり前だった。
ある日、親に連れられたのは真っ暗で何もない部屋。
「かーさん…とーさん…?」
困惑する俺を尻目に、二人は部屋を出ていく。
ガシャン!と閉まったドア。どれだけドアノブを捻っても、途中で止まるだけで
開かない。
「だ、れか…あけてっ、たすけてっ…」
か細い声でそう叫ぶ俺の声は、もちろん誰にも届かない。
そもそも、ここがどこなのかもわかっていないのだ。
どんな建物かも、ここの周りに人がいるのかも。
「はぁっ、は、ひゅ、」
いつの間にか喉からは変な呼吸音が聞こえていて、体はガタガタと震えていた。
もうほとんど言葉なんて吐けなくて、真っ暗な部屋には自分の呼吸音だけが
響いていた。
周りに人がいないのがこんなに怖いなんて、前の俺にはわからなかった。
あんなに大嫌いな親が今はこんなに恋しいなんて、前の俺には絶対にない感情
だった。
怖くて、怖くて、怖くて。
俺はそのまま、気絶するように眠った。
次の日、迎えに来た親に連れられるがまま家へと帰ったが、
やはり家が心地よいとは思えなかった。
でも、あの時の暗い部屋が、俺にとってはトラウマだった。
大人になってからそれをはっきり思い出して、やっと自分が
「暗所恐怖症」そして「孤独恐怖症」ということを自覚した。
ついでに狭いとこもダメだ。
できるだけ暗いところを避けて、人が多いところを通る。
俺は、こんな年になっても恐怖症とかいうものに苦しめられているのだ。
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「はっ、はっ…っ、」
あの時の記憶、どころかすべてを再体験したような感覚に襲われる。
あぁ、なんであの部屋まで綺麗に思い出してしまったんだ。
「っ、…!?ぁえ‶、っ…」
記憶のせいなのか、はたまたこの状況の恐怖のせいなのか。
どちらかはわからないが、ホークスの口からは少量の液体が。
「はーっ、げほ…っは、ひゅーっ、かひゅ、」
やっぱり息できない…そう思ったホークスは、深呼吸をしようと
息を整える。
「ふー…っはー…っげほげほっっ…!」
だが、ゆっくり息をしようとしても、途中で咳に襲われてしまう。
むりだ、深呼吸も…
どうしよう、どうしよう…
頭の中がどんどんごちゃごちゃし始めて、また息ができなくなってきた時。
「ホークス!!」
「ホークスー!!」
部屋に誰かの声が響いたかと思えば、バチンッ!!と電気が付いた。
ぱっと振り向くと、ドアから入ってきたのはエンデヴァーさんと…
低脂肪スタイルのファットさん。
「はぁっ、はぁ、エンデヴァー、さ…?ふぁ、っと…さん…?」
「ホークス!!無事か!?」
「ホークス!大丈夫か、そんなはぁはぁしとっても逆に苦しいだけやで?
深呼吸し、しんこきゅう…あと吐いたん?拭くか」
ファットさんの声に合わせて息をする。
すると、幾分か気分がよくなった…気がした。
自分が吐いてしまったものまで拭いてもらって…
「悪かった、俺も一緒に行けば…」
そう謝ってくれるエンデヴァーさんと、めちゃくちゃ心配してくれるファットさん。
そんな人の優しさに久しぶりに触れた気がして、思わず涙が溢れてしまった。
「!?ほ、ホークス…??」
「ほ、ホークス…!?なんで泣いとん!?どっか痛い?」
「っふ…いや、だいじょうぶ…です、ありがとうございます、」
情けないとこ見せました、そう言いながらへらっと笑って見せる。
だが、二人にはそんな笑顔も心もとなかったようで、さっきより深刻そうな
表情になった。
「なぁ、ホークス。」
「はい…?」
「自分、暗所恐怖症とか?」
…まずい、情けないところ見せたにも関わらず、弱みを握られてしまった。
流石に声に出すのも恥ずかしくて、気づかれないくらいに小さく頷いた。
だけど二人にはちゃんと伝わったようで、ファットさんの大きな手が
俺の頭にぽん、と置かれる。
「…昔、親に閉じ込められたことがあって…」
「ぇ、無理に話さんでも…」
「むりしてないです、いやちょっと無理してるかもですけど…
それでこうなって、ついでに人いないのも狭いのもだめです」
まぁ、エンデヴァーさんの事務所はめちゃ広くて助かった。
狭かったらどうなっていたことか…
はは、と乾いた笑いを零す。
「そうなのか…気づいてやれず、すまなかった」
「えっ、!?いやいや、隠してましたし、気づきようないですよ…」
それなのに謝ってくるあたり、エンデヴァーさんらしい。
ファットさんは相変わらず俺の頭をなでている。
なんていい人たちに恵まれてるんだ、俺は…。
そう、改めて実感した。
「ほい、ホークス。立てるか?一緒に飯行くで!」
「あ、はい……ちょっと待ってください、」
よっ、と立ち上がったのだが、ずっと座っていたせいかバランスが取れない。
ふらついたところを、ファットさんが受け止めてくれた。
「っ、すいませ…」
「謝らんでええ!なぁにがすいませんやねん!!ぶっ倒れて謝るやつ
初めて見たで!?」
「はぁっ…や、謝る以外に、言うことなくないですか…」
すいませんよりも優先して言うことなんてあるのか。
助けてもらって、慰めてもらって、おまけにまた助けてもらって…
「はぁ…しゃーないな、ほいっ」
「…えっ」
言葉を探していると、いつの間にか俺はファットさんの腕の中。
今…俺はいわゆる、お姫様抱っこをされているのだ。
「えっ、ちょ、ファットさ…!?やめっ、おろしてくださいっ…」
必死に訴えるが、ファットさんは聞く耳をもたない。
「うぅ…ふぁっとさぁん…ほんとに、おろしてください…
はずかしいんですよ…」
「ふはっ、顔赤~!笑みんな、これ写真撮った方がええで~!」
「っまじでやめてくださいっっ」
そんな会話の後、ファットさんのおすすめの焼き鳥屋さんへ連れて行って
もらった。
「__もぐもぐ__そぉいえば、なんでファットさんこんなとこにいるんですか?」
「ん~?偶然ここらへんでチームアップ要請来たからなぁ!敵倒して
ちょーどいいわぁって」
なんでいるのかと思っていたが、そういうことなら理解できる。
「てゆーかホークス…」
「ぅん?なんですかぁ?__もぐもぐ__」
「めっちゃ食うな」
「え?そぉですか?__もぐもぐ__」
「あぁ。ホークスは鳥大好き野郎だからな」
「鶏肉おいしいですよねぇ(*´▽`*)」
今日は色々あったな…でも、やっぱりこの人たちが仲間でよかった。
俺は、この人たちのおかげで生きているといっても過言ではないのだ。
小さいときに勇気をくれたエンデヴァーさん。
優しく慰めてくれたファットさん。
「あの、エンデヴァーさん、ファットさん」
「んぉ?」
「なんだ」
「いつも…ありがとうございます」
感謝できてるかわからないけど、
でも、今言わないと、後悔すると思った。
驚いている様子の二人に、今度はちゃんと、笑って見せた。
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pixivで見つけた方のやつがうますぎて俺下手やなあっつって泣ける
ま、まぁ3000文字行ったしいいよね!!
っておもってたけどもうすぐ4000行きそうだなって思ってる
4000いったわ
常闇くんになりたい。