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乱入者(続き)
嬢/姫宮
杉元が楓を後ろから抱き締め、耳元で甘い誓いを立てていた、その時。
チセの戸が勢いよく開き、雪混じりの寒風と共に**「あの男」**が転がり込んできた。
「おーい杉元おぉ! 刺青の人皮に関するすっげぇ噂を聞きつけ……って、うおっ!?」
雪を払っていた白石が顔を上げると、そこには毛布の中で密着している二人。
一瞬の静寂。
「……あ、あれ? 邪魔した? もしかして今、いいトコだったりした?」
ニヤニヤと下卑た笑いを浮かべる白石。対照的に、杉元の背中からは目に見えるほどのドス黒いオーラが立ち昇っている。
「……白石ィ」
「ヒッ、そんな怖い顔すんなよ! 楓ちゃんも顔真っ赤じゃねぇか。熱があるのか、それとも杉元の熱気に当てられたかぁ〜?」
白石がデリカシーの欠片もなく指を差して笑った瞬間、杉元の手が、枕元に置いてあった三十年式歩兵銃に伸びた。
「楓は風邪なんだよ……。せっかく寝付いたところを、お前のその汚ねぇ声で起こした罪は重いぞ」
「ちょ、待て待て! 銃口向けるな! 冗談だって! 悪かった、俺が悪かったから!!」
「死んで償えッ!!」
杉元が弾丸を込めるガチャンッという乾いた音が響く。
白石は「ギャーーッ!」と情けない悲鳴を上げながら、入ってきたばかりの戸口へと全速力で逃げ出した。
「楓、ちょっと待ってろ。すぐあの脱獄王を雪だるまにして戻ってくるから」
さっきまでの聖母のような優しい微笑みはどこへやら。
杉元は「不死身」の顔で吹雪の中へと飛び出していった。
遠くから、「助けてくれぇアシㇼパさーーん!!」という白石の絶叫が聞こえてくる。
一人残された楓は、ポカンと口を開けたまま、急激に静かになったチセを見つめるしかなかった。