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第3話 狂気
銃撃描写有り。次回で今回の話の内容を短めにまとめます。
この中で1番年上なのはわたしで、しっかりしなきゃいけないのもわたしだ。5番の出口を眺めながら、そなんことをぼんやり考えた。
小学生は、6つか7つぐらい年が離れている。大学生と小学生の差は大きい。従姉妹だって割と遠いのに、従姉妹の友達はもっと遠い。ましてや、従姉妹の友達の姉妹も。
「…うわ、拳銃?物騒ですね」
水色の髪の子。紅葉、というんだったかが、黒くて艶がある拳銃を拾った。
「異変、引き返しましょうか」
そう言って、みんな向こうへ行こうとした。
「あ、ちょっと待ってください。それは異変にノーカウントで、それは武器です。あまりにも不公平だと思うので、入れました」
さっと聞こえてさっと消えた声。明らかに小鳥とやらの声ではなく、ただの合成音だった。
「これ、持っててもらえる?」
「あ、うん」
三葉から、拳銃を受け取る。玉が込められているのか、ずっしりして恐ろしい。1回しか撃てないのか複数回撃てるのか。そんな考えが頭をよぎる。
「うわああああっ!!!」
もうわたしには出せない、高い悲鳴。
「どうしっ_____」
ナイフを持った殺人犯、だろうか。異変だろうか。そんなことはどうでもいい。ただ、最年長として守らなきゃ、そんなことしか、頭の中には思い浮かばない。浮かべない。
気づけば、拳銃を手にしていた。アニメかテレビかで見た、見様見真似の引き金を引く動作をした。玉が放たれた。反動で倒れる。視界がパッと落ちる。悲鳴が聞こえる。殺人犯はボスっと倒れる。あれ、ただのぬいぐるみだったんだ。よく出来てたな。あ、痛くない。これが小鳥の異変か。わたし、狂っちゃったのか。そんなことを考えられたら、まだ冷静な方なのか。これ、法律違反してないか。正当防衛として認められるだろうか。このゲーム自体、違法なものなのかもしれない___
「七葉っ!」
久しぶりに、七葉と三葉に呼ばれた。そんな気がした。
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「…これで、大丈夫かな」
自分の能力を信じる他なく、ただただ七葉さんの命はわたしに託されている。再生力を操る程度で、果たして蘇ることはできるのか。トラウマは治すことができない。ただ、肉体的な怪我を治すだけ。わたしの能力は、そんなものなんだ。
「多分、だけど…」
「大丈夫やよ」
四葉の幸運も相まって、きっと可能性はあるはず。そう信じたい。信じるしかない。
「…あっ」
か細い七葉さんの声だった。青ざめていて、怯えていた。
「…銃は」
「なくなった。なんでかは知らない」
「……行こう、戻ろう」
そう言って、七葉さんは立ち上がった。
徐々に冷静でおとなしめの人が狂ってくのが好きです