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10 朝食
「おはようございます、ルーフェリア様っっっ!!! 開口一番に言いたいことはあの青年への愛の言b……」
「昨日はアミュリのせいで、全然眠れなかったわ! どうしてくれるのよ!!」
「大丈夫です。寝不足の顔も可愛いですよ!」
「うるさいわ!!! というか!! 何勝手に私の恋の双葉を一気に枯れ木にさせようとしてんのよ!!!」
「……そんなつもりはないですよ? べつに、お嬢様がアーゼン様への思いを私に一方的にしゃべりかけてきたのではないですか?」
「……アミュリ、許さないわよ!!!」
―――――――――
「……はぁ」
―――――――――
私はドアの前にアーゼンがいたとも知らずにそう叫ぶのだった。
食卓に着いたはいいものの、朝から色々あったせいで沈黙がずっと流れている。
しかも父様は私の安全運転なライフに水を差しただけで、朝食にも参加してこなかったのだ。
(余計なことだけして満足して去っていく父様の性格……本当にどうにかならないかしら……)
「……お嬢様、お紅茶をお注ぎ致しましょうか?」
「……結構だわ。ごめんなさいね」
「承知いたしました」
メイド―――セレナは静かに一礼し、余計な詮索もなく控えの位置に下がる。
「セレナはいい子ですよね……」
と、アミュリが耳打ちしてきたので思わず「ふざけんじゃないわよ」と零す。
(あ、まずい。これやある意味婚約者の前では言ってはいけない発言だったのでは……)
「……ルー、この件についてはアミュリが悪いとしておくからちょっと静かにしてくれ」
「いや、でも……」
私は反論しようと思ったが、ぎゅっと口をつぐむ。
これ以上アーゼンを怒らせるわけにもいかないし……。
「……」
また沈黙が続く。
食器の音ひとつしない朝食なんて、魔王城ではとても珍しい。
アミュリはというと、完全に気まずそう。
(あんたが一番悪いのよ!!)
と叫びたいけど、今はもう力が残っていない。
セレナは控えたまま、静かに紅茶ポットを磨いている。
(こういうとき完璧すぎるメイドって逆に怖いわね……)
どうしよう、この気まずい空気。
何か言わなきゃ、とは思うけれど、何を言っても墓穴を掘る気しかしない。
(……あぁぁぁ、アミュリのせいで状況がややこしくなったじゃない……! お願いだから誰でもいいから助けて……)
と思っていた、その時。
コン、コン。
「入るよ」
父様の声が聞こえた。
(……来たわね、最大の爆弾……)
扉がゆっくりと開き、父様がいつもの微笑を貼りつけたまま入ってくる。
「朝からずいぶん静かだね。騒がしいより珍しいんじゃないか?」
「……」
私は助けを求める顔で父様を見たがガン無視されたのであった。