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ただNとトウヤがアイスを食うだけの話
BW2後、N、トウヤ再開イベ後の妄想世界です
「はい!」
ビルが建ち並ぶヒウンシティのベンチ。当たり前かのようにふわりと差し出されたアイスに戸惑いながらもそれを受け取った。自分より十弱、年齢の低い少年は隣にゆっくり腰掛け、こちらに微笑みかけた。
「アイス、食べたことある?」
「君を探してる間に何回かね」
味気ない返事をしてしまった。ふーん、と興味なさげに鼻を鳴らすと、少年は大きく口を開けてアイスを頬張る。そのままごくりと音を立てて呑み込むと、再びこちらを向いた。
「Nが…」
何かを言おうとして口を噤む。俯いた彼の顔は、帽子のつばに隠れてうまく見えない。ただ、ギリッと、歯を食いしばる音が玉響に聴こえただけだ。
「もしNが。プラズマ団とか、王とかそんなの関係なくて。普通の子供だったら、僕らはちゃんとしたトモダチになれたのかな…」
今にも消えそうな掠れた声と共に、ノスタルジーの混ざった午後の陽光がさす。ポタリポタリと落ちる雫はきっとアイスが溶けた訳じゃない。あの優しさも、あの騒動もすでに過日のこと。だからと言って、自分のしたことが、過ちが。薄れて消えてゆく訳ではない。
「トウヤ、僕はね。」
手元の食べかけのアイスに目をやる。
「トモダチのためならなんでもしたいんだ。もちろん、そのトモダチにキミも含まれてる。そのもしもの世界でも、今のこの時間も。さほど変わりはないんじゃないかな?」
持ち前の早口…。否、今のはただの照れ隠しかもしれない。顔を上げてこちらを覗くトウヤの目は淡いオレンジ色が浮かんでいた。また下を向いて今度は服の袖で涙を拭うと、いつもの弾んだ爽やかな彼の声が響く。
「うん!」
満面の笑みに少し心が絆される。
「あ、トウヤ…。アイス垂れてるよ」
「うわあ!ほんとだ!もったいない!」
彼は慌ててアイスを食べ始める。…彼といると、自分が大好きな円の中に入れるのではないか。罪人がそんな期待をするのはずるいだろうか。
「そうだN!今度観覧車乗りに行こう!一緒に!」
「ああ。そうしようか。」
いや、僕は今、トウヤのトモダチとしているんだから。きっと許されるだろう。