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君に、恋する。(8)
私、菜乃葉。
「杉本 蓮」くんに恋をした小5女子。
昨日は、猫を保護したんだ。
それで、飼い主探しのチラシを学校で配ることを決めたの。
お母さんも、近所の人に配ってくれるらしいし。
お父さんも、会社の社員とお客さんに聞くって言ってた。
みんなで協力して、飼い主を探す、ってことだね。
すぐに見つかればいいな。
私に助けを求めてきたわけだし、多分野良猫ではないよね…。
とりあえず、学校行こっと。
先生に、一応相談した。
「先生、チラシ配っていいですか?…実は、猫ちゃんの飼い主さんを探してて…」
「いいよ。じゃあ、朝の会で配ろうか」
「ありがとうございますっ!」
朝の会の始まる時間だ。
「起立!気をつけ、礼ー」
「おはようございます」
「着席。お知らせです。」
先生が言い、私はすっと立った。
「猫を保護しました。飼い主さんがいません。誰か心当たりはありませんか?」
チラシを配る。
すると…
「…あっ…!**それ、うちの猫です!!**」
杉本くんが叫んで、えっ、と教室全体から声があがる。
もちろんその中に私もいる。
私は固まった。
「家からいなくなって…探してたんです」
ええええ〜〜〜〜〜!!
まさか、まさか!
杉本くん家の猫だったなんて…!
そして、放課後。
うちまで来てもらった。
「すぐ見つかって、よかったわ」
お母さんは、私が話すなり何度もそう言った。
「ニャー太…ニャー太!なんで、なんで逃げたんだよ…!」
「ニャー太って言うんだね。飼い主さんに会えて、よかったね。それに、杉本くん家の猫だったんだね」
「あっ…!そういえば…!この前は、無視してごめんな!ニャー太のことで、頭がいっぱいだったんだ…」
「そうだったの…ごめんね。あと、前話そうとしたとき、猫飼ったことを話そうと思ったんだけど…うちの子と、すごく似てるね。年は違うけど。うちの子、チャイっていう、雑種なの」
「そうなんだ!」
そして、その事件が解決してから、また2人の仲を取り戻せた。
「良かった…」
私は小さく、ため息混じりに呟いたんだ。