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【オールシリーズユニバース】
視点:🌍️
いつもいつも文にするのは、面倒くさい。
前編:【オールシリーズマルチバース】
喫茶店、そういうものに行くはずだったはずだ。目の前には全く同じ顔だというのに、どこか雰囲気の違う自分自身がお互いに顔を見合わせている。舌はまだ紅茶の味を残して、頭が追いつかないままだった。
🪢「……これは、夢か……?」
全く同じ顔の一人が呟き、頬に手を当てた。私は巡る思考の中で、何か奇妙なことを口走った。
🌍️「私は、|日村《ひむら》|修《おさむ》だ。間違いないな?」
🍀「私も日村修だが……」
🌍️「は?」
🍄「落ち着け。全員が日村修で合っているらしいぞ」
🌍️「……なるほど?」
🗑️「理解できたのか、私!」
🌍️「いや、全く」
💍「なんだ君は、でしゃばりか」
🚬「……私たちよりは、何か知っていそうだが」
神妙な顔で、いや、全員がそうなのだが、一人の自分自身が私に言葉を促した。
🌍️「ええっと……私は、マルチバースの日村修だ」
🌹「マルチバース?」
🍀「無数に存在する、別宇宙の総体のことだな」
🧸「すごい、たくさん?」
🪓「……だろうな」
🌍️「続けていいか?」
🌹「いいぞ」
🌍️「で、私はその……大量に存在する総体の総合的なものと、見ていいんだが……君たちが、その総合的なものを個別に分けたものというわけでいいかな?」
💍「あー、つまり……君、🌍️は複数の総合体で、私達は🌍️の中の個別の一つ一つだと?」
🌍️「そうだな。だから、皆が似たようで違うはずだが……紹介だけしてもらっていいかな?」
💍「残念だが、私はその違いが分からなくて……」
🌍️「それなら、ここに来た経緯を教えてくれないか?私は、少しサイバーチックな喫茶店で紅茶を飲んでいた」
💍「妻と子どもと公園にいた」
🗑️「既婚……?……私は、普通に会社で仕事をしていたが……」
⚰️「……首吊りを、少し……」
🪢「へぇ、私が……私は遥の葬儀だよ。亡くなった、から……」
🪓「拘置所」 __🗑️「何やらかしたんだ君……」__
🌹「……ラブホテル……」 __🌍️「ラブホ?!」__
🔒️「家!家だ!家で普通に過ごしてた!手前の三人が怖いんだが?!」
🚬「私は家で、首吊り手前だったな」
🍀「……ちょっとネガティブ過ぎないか?私は普通に買い物なんだが」
🍄「ラブホ……あ、いや、家だ」
🌍️「君、情事の最中じゃないだろうな?」
🍄「行こうとしてただけだ。🌹に至ってはもろだろ」 __🌹「行こうとしてたくせに」__
🌍️「確かに。🧸は?」
🧸「なんかね、暗くて暗くて寂しいところにいたらここに来たの!」
🪢「なぁ、彼……」
🔒️「幼児退行っぽいな……」
⚰️「……何をやらかしたんだか」
🌹「なぁ、🌍️……🧸……多分、四肢ないんじゃ……」
🌍️「……そういうのもいるだろ」
そうやって、紹介が済んだ後に、全く同じ顔を合わせる中に一枚の紙が現れていた。紙の中には少しの詳細が述べられているだけだった。
<*🌍️マルチバースの日村修*、*🗑️全てをかなぐり捨てた日村修*、*🧸幼児退行した日村修*、*💍■■持ち日村修*、*⚰️自殺した日村修*、*🪢■が自殺した日村修*、*🪓全員を殺した日村修*、*🌹■に手を出された日村修*、*🔒️まだまともな日村修*、*🚬人間不信になった日村修*、*🍀何もなかった世界線の日村修*、*🍄■に手を出した日村修*>
🚬「人物のところだけ、消されてるのか?」
🪓「……そうっぽいな」
🗑️「穴埋めでもするか」
🍀「なら、💍は『妻子』だな」
💍「間違いない」
🔒️「🪢は……あー……『遥』、か」
その言葉にやや『■に手を出した私』及び、『🍄』が少し肩を震わせる。それに誰も指摘せずに会話は続く。
🪢「…………まぁ、そうだな……」
🌍️「なんというか、その……そういうことも、あるか」
🪢「……」
⚰️「残すよりは良かったと思えばいいさ」
🪢「そういうものか?」
⚰️「そういうものだよ」
🌍️「しかし、君はすごいな。これ、ゼルダの死者の周りの青い炎みたいだ」
⚰️「遊ぶな。見世物じゃないんだぞ……」 __🍄「十分、見世物だろ」__
🗑️「次に🌹は……これは、暴力か?」
🌹「いや、ちょっと生物学的な……」
🚬「性的か?」
🌹「……勘が鋭いと嫌になるな……」
🗑️「ま、まぁ……だとしたら、誰か当てはまるか?」
🚬「『大海誠也』」 __💍「大海さん以外の可能性は?」__ __🪓「分からないな」__
🍀「大海さんはないだろう。だって、遥と……」
🚬「大海しかいないんだろうが。頭に花でも咲いてるのか、君は?」
🍄「そんな言い方はないだろ」
🚬「前科がありそうな奴が言うな。大方、君も『遥』だろ」
🌍️「は?」 __🔒️「嘘だろ君?!」__
🍄「すっ、推測だ!」
🚬「いいや、君が手を出したのは『遥』だ」
🍄「証拠ってものがない!そもそも、こっちは……」 __🌹「必至だな」__
🚬「遥の名前を聞いた瞬間に異様に反応したのは、君だけだ」
🍄「別の名前だって、出したら反応する可能性もあるだろ」
🔒️「……手癖が悪いということになるが?」
🍄「私は一人しかしてない!」 __🪢「一人……一人ぼっち……」__ __🗑️「が、頑張れよ……」__
🚬「……誰かを手を出したことは許容はするが、相手が誰かが問題なんだ」
🍄「こっちの勝手だろう!」
🚬「なら遥だ」
🍄「何故!」
🚬「あの子は少し……勢いがある」 __🍀「分からないこともない」__
⚰️「ろくでもない推理をするな」
🧸「遥は強いよ!」
💍「うん、そうだな、子供は寝てような……」
🪓「彼は私たちと同じ成人男性だぞ、子離れは早めにしておけ」
🪢「まぁ……大方、付き合いそうなものが朔と遥しかいないが……朔はないな」
🌍️「……確かに、朔はないな」
🍀「好みじゃないのか?」
🌍️「友人としてはいいが、たまに核を突いてくるのが怖くてな」
🪢「同様に。逆に君は好みか?」
🍀「全く」 __🗑️「そもそも恋人すらできたことないのにな」__
🌍️「そういうことだな……とはいえ、遥はない」
🍄「死ぬことよりも、殺すことよりも、挙句に他人を選ぶよりも、私の方が罪が重いって言うのか?!」
🪢「当たり前だろ」
🍄「当たり前って言ったって、■と■■とかもそうだろう!」
💍「あれは合意なんじゃないのか……?」
🍄「私も合意なんだが?!」
🪢「それでも有罪だろ!」
🔒️「……そもそも近親であること自体がアウトだろ……」
🗑️「まず、そこだよな」
🌹「手を出す時点でダメだろうな」
⚰️「男は馬や熊、獣だと言うが……」 __🧸「くまさん!」__ __💍「あっちに行こうな……」__
🍄「……馬に乗るのは慣れてるだろう?」
🌹「ああ、ちょん切られてしまえ」
⚰️「今のは🍄の私が悪いな」
🌍️「とんでもない別のルートの自分もいたものだ」
🧸「……皆、自分を自分で裁いてばっかりだ……」
🪓「自分の倫理観でしか、自分を測れないからな」
🧸「……うん」
🪓「君の四肢がない理由も、概ね監禁されていると思える理由も分からないが……」
🧸「……」
🪓「私はね、君のようにならなくて良かったと思うよ」
🔒️「意地悪だな」 __🪓「そうか?」__ __🍄「結構、意地の悪い回答だったな」__
🍀「🔒️の私も、ここにいる私たちのどれかになる可能性があるのだが」
🔒️「何もなかった人に言われてもな」
🌍️「むしろ、どうやったら何もない平和なことになったんだ?」
🍀「う〜ん……なら、そっちの問題点を教えてくれるか?」
🌍️「問題点は本編中にあるので何も言わないことにする」
🗑️「あんな村にいられるかと早急に飛び出したが」
🧸「?……?……知らない!」
💍「問題?後悔か?そうだな……子供が自分に似ていないな」
⚰️「自殺をするべきではなかったと死んでから思うよ」
🪢「もう少し遥に寄り添っていればと……」
🪓「何もない。むしろ、全員殺して良かったまである」
🌹「……誰かに助けを求められたら、と。自分だけで解決させようとしたのがダメだった」
🔒️「今は未来が怖いな」
🚬「一度全員をぶん殴りたいね」
🍄「拒否を示す姿勢を学べば良かったと思う」
🍀「……驚く程に救えないな……」
🪓「控えめに言って死ね」 __🌍️「急に暴言を……」__
🍀「控えめに言ってそれなら、控えめじゃなかったら何が出てくるんだ……」
🍄「お前の妹クソビッチとか?」 __🧸「クソビッチってなに?」__ __💍「綺麗ってことだよ」__
🍀「よ〜し、その場を動くな」
🍄「冗談!冗談!例だろ!なぁ!」
🌹「そのまま殴っていいぞ」
🗑️「今のは妥当だ」
🪢「……しかし、💍の私」
💍「どうした?」
🪢「似ていないと言っていたが、それは……」
🌍️「……種違いだな」 __⚰️「ガッツリ言ったな」__
💍「みなまで言うなよ、信じたくない」
🔒️「興信所に連絡したらどうだ?」
💍「探偵が探偵に縋れって?」
🔒️「はは、それもそうだな」
🚬「さて……話はいいが、どうやったらこれは元に戻るんだ?仕事があるんだが」
🪓「首吊りをしようとしていたくせに?」
🚬「死んだ人の話を聞いていると、死ぬ気もなくなってきた」
🪓「へぇ、死にたいなら言えばいいものを」
🚬「結構だ」 __🗑️「連続殺人犯に殺してくれと頼むわけがないよな」__
🧸「つれないねー」
⚰️「つれても困る……」
🍀「……恐ろしいったら……」
🪓「うるさいな、そんなに言うなら殺せば君も同じだろうが」
🧸「わぁ、自分殺し!」 __💍「『やろう、ぶっ◯ろしてやる』?」__ __🔒️「ドラ◯もん?コ◯ンドー?」__
🌍️「自分に嫉妬するのはやめろよ、見苦しいぞ」
🍄「男の嫉妬も見苦しいけどな」 __🚬「女も男も、両方だろ」__
🪢「……これ、全員死んだらいけたりしないか?」 __🔒️「正気か?!」__
🌹「有り得ない話ではないが……誰が?」
🗑️「全員死ねないと困る話だな」 __🌹「戻りたくないんだが……」__
⚰️「私も既に死んでいるが……」
💍「除霊?消滅?……お祓い?」
⚰️「いや……知らないが……?」
🪓「🪓の私が全員を殺して、⚰️の私が🪓の私を殺し、⚰️の私が自殺すれば解決だろう」
🧸「はじめから死んでるよ〜」
🚬「はは、ダメそうだな」 __🪓「クソガキ……!」__ __💍「口が悪いぞ」__
🌍️「……⚰️の私が死んでいるなら、戻りたい時に戻れたりしないか?」
⚰️「どうだろうな。あっちじゃ、半分地縛霊みたいなものだし……」
🍀「う〜ん……最悪、『生きてる私』だけが死ねば、全員死んだ判定でいけないか?」
🔒️「いや、待て、待て!そもそも、『死んだら戻れる』なんて保証もないだろ!」
⚰️「……まぁ、現に今、死んでいる私が戻っていないからな……」
🌹「なら、どうやったら戻れるんだ?私は……戻りたくないんだが……」
🪓「奇遇だな、私もだよ。戻ったところで、どうせ死ぬからな」
🍄「君、さては死刑囚だろ……」 __🪓「よく分かったな」__
💍「戻れる、戻れないにしても、こっちはどうやっても戻りたいんだが」
🌍️「既婚の余裕か?」
💍「妬むな、未婚」 __🌍️「好きで未婚やってるわけじゃない!」__
🪢「で、結局……どうするんだ?」
🗑️「案は一つしか出てないな」
🍀「やれたとしても、な……」
🌍️「……いや、いける」
🚬「確証はあるのか?」
🌍️「ネガティブのタグがある」
🍄「何言ってるんだ?」 __⚰️「気でも触れたか?」__ __🍀「タグ……?」__
🌍️「この作品には、『ネガティブ』の要素がある」 __🧸「作品?」__
🌹「……君が何を言っているかはよく分からないが、大丈夫なら異存はないな」
🔒️「はぁ?!君、正気か?!」
🪓「まぁ、全部ひっくるめた総体が言うなら合ってるだろう」
🪢「ただ殺したいわけじゃないだろうな?」 __🪓「そんなわけあるか」__
🔒️「君たち全員が薬でもやってるのか?!死んで戻るなんて御伽話なんかじゃないんだぞ!」
⚰️「それなら、同じ顔が複数いる状況を見えている時点で、君も薬をやっていることになるのでは?」
🔒️「う……」 __💍「観念しろ。死ぬのは一回だ」__ __🍀「一回でも怖いけどな」__
🌍️「それなら、この方向性で問題ないな?」
🔒️「普通に死んでここに残るだけだったら、恨むぞ」 __🧸「しつこい」__
💍「一応聞くが、『バッドエンド』はないんだな?」
🌍️「ない」 __💍「よし」__ __🗑️「あったら終わりだったな」__
🍀「なら……決まり、か?」
🗑️「それしかないだろうな」
🪓「何で殺ればいい?」 __🍄「ここだけ聞くと、紳士的な殺人犯だな」__
🌍️「なんでもいい」 __🚬「おい、そういうことを言うと……」__
🪓「それなら、普通に毒ガスでいいか?」 __🚬「あぁ、言わんこっちゃない」__
やけに、暗い。声はまだしている。無事な者は、無事らしい。しばらく、時間がかかりそうだ。
🌹「毒ガスなんてあるのか?」
🪓「部屋の隅にあったぞ」 __⚰️「……盲点だったな」__
⚰️「……で、それを撒いたはいいが……これはいつ死ぬんだ?」
🪓「『サリン』っぽいから……すぐ、死ねる……だろう、な……」
⚰️「……そうか」
目の前が急激に暗くなり、まるで世界中の灯火が消えてしまったかのような感覚に襲われた。必死に目を見開こうとするが、焦点が合わない。鏡を見るまでもなく、自分の瞳孔が極端に収縮しているのがわかる。それと同時に、制御を失ったかのように鼻水と涙が溢れ出し、口内からは絶え間なく唾液がせり上がってきた。
⚰️「……🌍️の私が、一番近かったからな。🧸の私が一番死ぬのが早かったようだが」
呼吸が浅くなる。胸の奥を巨大な万力で締め付けられているような圧迫感があり、気管支が引き攣れて空気がまともに肺まで届かない。
⚰️「しかし、幽体というのはいいな。そんな状態にならなくていいからな」
胃の底からは猛烈な吐き気が突き上げ、内臓を雑巾のように絞られるような腹痛に、立っていることすらままならなくなった。全身の毛穴という毛穴から嫌な汗が噴き出し、衣服が肌に張り付いて重い。
⚰️「戻れるといいんだが、な……」
次第に、指先から始まった震えが全身へと波及し、自分の意思とは無関係に体が激しくのたうち回り始めた。視界が激しく揺れ、思考が混濁していく。遠のく意識の淵で、肺が動くのを拒絶しているのを感じた。心臓の鼓動が、重く、ゆっくりと、止まろうとしている。
⚰️「そういえば、私たちの説明が書かれていた紙の裏にこんなのがあったぞ」
⚰️「……聞いている私が、いるかは知らないが……」
---
<*good for you :)*>
---
奇妙な浮遊感がある。浮いている?いや、落ちている。これは多分、あれだ。
「__あ」
顔の先に、沿岸の海が見える。そうして、耳裏にどしゃりと死の匂いが泥濘んだ。
「……あぁ……」
崖の上から見覚えしかない青年の声が「大丈夫ですか」と呑気にも告げる。涼、涼くんか?
「あー……うん、大丈夫だ」
天と地の間で言葉が交わされていく。嫌な気分はもう、存在しない。
「良かったです。日村さん。向こうの日村さんも、帰れたみたいで」
「……そりゃあ、良かった」
「喫茶店……戻ります?」
「飛び降りた人に言う言葉がそれか?」
「行かないんですか」
「行くよ、行くさ!少し、少しだけ、待ってくれよ」
耳の奥まで潮の音が響いている。悪い夢はとっくに醒めてしまっているようで、ほんの少しだけ嬉しさが残っていた。