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ノロイ ノ ムラ④村のコト
「でも、無料で泊めていただいているのですから、伝統工芸品をつくりたいです!」
「おおおお、これで予想通り……ゴホン、ありがとうございますゥ」
こうして、らわ人形をつくることになった。らわ人形とは、ここでとれた草で編まれた人形である。
奈々は編み物も好きだったため、らわ人形をたくさん作った。
(ん…?なんか、みたことある…?)
来る日も来る日も、奈々は帰るコトを拒否されて泊まり、働いた。
「こ、これ…労働基準法違反なんじゃ…」と最初は思っていたものの、ものすごく高い報酬が出るし、
何より優しい方が働いているから、楽しく働くことができた。
「ねえねえ、奈々ちゃん。髪はまとめて働いたらどうじゃ?」
「いえ、平気です」
ぽとっと、髪の毛がらわ人形に落ちる。
「あ、やっば!!取らないと……」
しかし、その髪はとれることなく埋もれてしまった。
「あ…ああ…」
「そんくらい問題ないっちゃ。髪の毛入れるのは伝統として伝わっとるもんじゃ」
方言でおばちゃんはそう言い、らわ人形を渡した。奈々はその続きを編むことにした。
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__我ガ村ノ希望 マンマトヒッカカッタww__
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突然、奈々の体調が急変した。頭がクラっとして、めまいがして……。
「す、すいません。らわ人形の形って、まさか…!!」
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昔、奈々はこんな話を聞いたことがあった。
--- 地図には存在しない、「のろいむら」って知ってる?そこではわら人形を作ってるんだって…… ---
(ま、まさか!!)
そう考える前に、足が動いていた。
「あっ、《《獲物》》が逃げたよ!!」
防災無線がアラートを鳴らしまくる。
「私…獲物なんかじゃないっ」
奈々は走るのが苦手だった。でも、死にたくない。
あのらわ人形、わら人形。そして、その人形に髪の毛が入ってしまったたからっ…。
ま…て…
ヒタヒタと、老人たちが追っかけてくる。
それでも奈々は走った。
お願いだから 若者は私たちの希望 若者のおかげで私たちは……
ズリっと、奈々は転ぶ。坂道を転げ落ち、カーブに場所で崖から、落ちた。
「がっ…あっ、う…」
奈々は、意識が遠のいた。