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東方霊魂墓4
「では、どうしましょうか。勿論、わたしが操ることも可能です。ですが、こいしさんが何処にいるか、ある程度の目処をつけなければなりません」
「まあ、地霊殿の中にはいることでしょう」
「そうですか、分かりましたわ。時間がかかりますので、しばらくお待ちくださいませ」
そう言って幻夢さんは出ていった。
「それで、空さん、闇さん。そちらの世界は、如何なのでしょうか。スペルカードルールや弾幕ごっこに似たものがあると、吸血鬼から聞きました」
さとりさんは、心が読めるはずだ。なのに、わざわざ聞いてくる。そして、スイートポテトを出してくれた。
「あります。秘技勝負という感じです。各々に習得した秘技があって、それで勝負します」
「そうなんですね。良ければ、勝負したいですね」
わたしがスイートポテトを食べるのに躊躇っていると、
「どうしましたか?スイートポテトは苦手ですか」
「いえ…」
手を伸ばし、ひとくち放り込む。はちみつとさつまいもの甘い香りがした。
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「準備が整いました。ここに、こいしさんを呼び出します。もしかしたら、霊佳さんも呼べるかも知れませんわ」
「本当ですか!何時ぶりでしょう、こいしと出会えるのは…」
そして、幻夢さんは「幻符『幻の存在』」と唱えた。
ふわふわと、黒い帽子をかぶった、緑っぽい髪を持つ子があらわれた。さとりさんと同じ、第三の目を持っている。でも、その目は閉じていた。この子が、こいしさん?
「あ…お姉ちゃん。今、霊佳と遊んでたんだけど」
「霊佳さんって、今、何処にいるのっ」
「え?えーとね。地霊殿の、一つとなりの部屋」
「行きましょう!」
ステンドグラスがはめられた部屋を出て、隣の部屋に駆け込む。
「貴方たち、一体何故わたしが見えるの?」
白っぽくて透き通るような肌。隣には、ふわふわと骸骨が浮かんでいた。
「わたしは墓守 霊佳、死に損ないの幽霊だよ。この子は清霞、仲良くしてあげてね」
にこ、と霊佳さんは微笑む。骸骨の名前は、清霞らしい。
「霊佳、貴方はなぜ異変を起こしたのっ?」
空さん(正確には、わたしの身体の空さん)が言う。
「だって暇だったんだもん」
「暇だったからって___」
「そっちが暇にしてるんでしょ。わたしのことをみーんな嫌うじゃん。復讐、って言ったほうがよかった?いい?清霞とこいし以外、存在価値なんてないの。あなたもわたしも、そうだよ。幻の存在だから。幽霊だって、神様だって、一歩出ればただの幻。存在そのものが消えちゃうから。こいしと清霞には魂が宿ってるから」
そう冷たく言い放つ霊佳さん。わたしには、どうすることもできなかった。