公開中
いちわ
ぶらっく
個人用
『第1話 執事カールとネロお嬢様』
完全にメタ的な話になるが、ここからは完全にネタ100%の小説である。
特にこれといった表現もない。
---
さて、あっさり女に殺されてしまったネロであったが、今の状況はというと───
???「……きてください………──、起きてください……」
ネロ「んあ゛ぁ……うるっせぇなぁ………。
もう少し……寝させてくれ………。
ぐぅ……」
──この男、異世界転生していることにそもそもまだ気づいていないのである。
周りの違和感よりも睡眠を優先させる男。
なんということであろうか。
???「はぁ……いい加減にしないと、そろそろ僕も怒りますよ」
ネロは馴染みのある声に怒られたような気がして、嫌々体を起こす。
──今日はいつにも増してやたらと体が軽いような気がした。
ネロ「ふわぁ……んだようるっせぇなぁ……。
今起き──
……………ん?………えっ?は……?」
ネロは目を覚ました途端、『これは夢なのではないか』と考えた。
というより、そう思いたいほどであった。
まるで物語に出てきそうなほどに、キラキラと輝くプリンセスルーム。
白と金で彩られた天蓋ベッド。
そして、自らが身につけている煌びやかなドレス。
何より、ネロが1番驚いたのは───すぐそこに、執事服を来たカールがいた事である。
ネロ「──いや、何やってんだよカール!?!?
なんだよコレ!?ドッキリか!?!?
つーかなんでお前執事服なんか来てんだ!!
全く似合ってねぇぞ!」
カール(?)が、ネロを怪訝な顔で見つめるのを他所に、ネロは大混乱中の頭の中をなんとか整理しようとしていた。
が、それよりも先に、体の違和感に気づいた。
ネロ「おい……おい待てこれ……前にもあったやつか──!?」
ネロは見慣れない部屋の中を駆け回り、手鏡を見つけると、一目散に自分の姿を確認した。
──案の定、そこに映っていたのは、“女化したネロ” であった。
以前の──銭湯の時と同じである。
目元などの顔の造形は男だった時とほぼ変わらないが、髪や体などは、明らかに女のものとなっていた。
ネロ(前にもこんなことあったけどよぉ…!!
今回は訳が違ぇだろ!?なんだよこれ……!)
そうして、ようやくカール(?)が口を開き始めた。
カール(?)「……お嬢様……さっきから何をなさっているのですか?
急に気でも狂い始めたのでしょうか……。
まさか、僕の名前を忘れたわけでは御座いませんよね?
僕の名前は『カーレ』ですよ」
ネロ「は…?いや……おまっ……どう見てもカール……だよな……?」
次から次へと新情報が流れ、ネロの頭の中はさらに渦をまく。
見た目も声もカールそのものであったが──『カーレ』と名乗るその人物は、突然、パンパンと手を2回叩いた。
すると、恐らくネロ専属であろうメイド数名がやって来て、あっという間にネロの身支度をし始めた。
カーレ「ほら。ささっと身支度を始めてください。朝食の時間はとっくに過ぎておりますよ」
ネロはされるがままの状態であったが、脳内では必死にこの状況をなんとか理解しようとしていた。
ネロ(カールはカールだけどカールじゃなくてカーレで……。俺は……俺は、何なんだこれ??どっかの姫さまか??もう訳わかんねぇ……!
そもそも、なんでこんな状況になってる!?寝る前の記憶が全く無ぇ……!!)
ネロ「えぇい、もうどうにでもなれーー!!!」
カーレ「うるさいですよお嬢様」
こうして、ネロお嬢様の異世界での生活が始まったのであった──。
---
次回、『第2話 コック安田とネロお嬢様』