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神様神社 7話
どう見ても間違いない。あの夜の貘だ。
「じゃぁ水無月は・・・加藤の隣だ」先生が私の隣を指差す。
気まず、、、
授業中、隣の人を気にしないように勉強していたら、ひら、と小さくちぎられたノートの切れ端が隣から来た。
『今日の放課後、校舎裏に来て』
やっぱりか・・・と思いながら、私はこっそりカバンの方を見た。
「神様、これは?」「あかりが貘に会ったって聞いて、昨日急いで作ったんだ」あの少年――水無月君が転校してくる前日。私は神様にあるものを手渡された。
小さなストラップサイズの、白い鏡。
「これはね、はっきり言うと貘を退治できる道具」「貘を退治、とは?」「貘をやめさせるには、貘の体に溜まった神様の力を吸い込むのね。その力を吸い込む道具がこれ。貘退治だけじゃなくて、化け物を取り込むこともできるよ。・・・貘にあったら、これ向けてね」
放課後。
私は誰にも見つからないように、校舎裏に向かった。――ポケットの中には、例の鏡を入れてある。
水無月君はすでに来ていた。「来ました」「あ、来た」丸眼鏡をかけた顔がこっちを向く。
「単刀直入に言うね。――君、『巫女』さん、でしょ」
・・・っ!
私はすぐさまポケットの中の鏡に手を伸ばした。
「あ、それ効かないよ」「・・・は?」効かない、とは?
「一応効くっちゃ効くけど・・・僕、強いから壊れるってことです・・・」「なるほど・・・?許容量オーバーする、と・・・」「はい」
って!そんな事してる場合じゃない!
「とりあえず目的は!?主犯格の人いるんですよね!?」「あ、そこまで分かってるんだ」水無月君はちょと驚いていた。「目的は君たちと同じだと思うよ?『化け物を倒す』、それだけ。あといいこと教えてあげるね」水無月くんは後ろを向いた。
「僕はある人のために行動してる。君たちが言う主犯格の人っていうのはその子。そしてこの街には危機が訪れている。僕達はそれを防ぐためにこの街に来たんだ」
危機?「んじゃね」止める間もなく、水無月くんは消えた。
夜。
たんっ、と足音がして、ビルの屋上に座っていた少女は振り向く。
「あ、凪無くん。おかえり〜」「ただいま」黒いセーラー服の少女が、足音の主――水無月凪無に声をかける。
「ねぇ」「何?」「また一人で勝手に化け物倒して石食べたでしょ」「ぎくっ」凪無が半眼を作って少女に問いかける。「・・・はい、ごめんなさい3体くらい倒して自分で食べました」「・・・全く、一人で出歩いたら駄目だって言ったろ!?神様一応居るんだから、見つかったら・・・」
「そうだ凪無くん」「何?」
「お腹すいたお腹すいたお腹すいたお腹すいたお腹すいたお腹すいたお腹すいたお腹すいたお腹すいたお腹すいたお腹すいたお腹すいたお腹すいたお腹すいたお腹すいたお腹すいたお腹すいたお腹すいたお腹すいたお腹すいたお腹すいたお腹すいたお腹すいたお腹すいたお腹すいた」
「じゃぁこれまでの分。はい」「ありがと〜!」凪無がポケットに入っていた袋から、きれいな石の結晶を取り出す。「ごめんね小粒で・・・まだ『奴』は最後のやつに溜めてるみたいで・・・」「全然!ありがと!」少女はわずかに見える口の中に、石を放り込む。
「うん、おいしい」「よかった。で、どう?」凪無の問いかけに少女は腕を回して。
「うーん・・・ごめん、まだっぽい」「そっか・・・また集めてくるね。待ってて」
凪無はそう言って、ビルから飛び降りた。