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あめのどうぶつえん
はい。主催者なのにどうしてこんなに出すのが遅れたのか?これには深い意味がありましてね((
違います。ただ、書き終わってなかっただけです。日曜日に塾あってそのあと塾の三者面談、月曜日に学校でプールあって屍になり、火曜日に塾の宿題に襲われてたら全然書けなかった!
静かな森の奥に、「あめのどうぶつえん」がある。
ひっそりひっそりとした静かな森の奥。小さく、「あめのどうぶつえん」と書かれた段ボールが立てかけられているところ。
「あめのどうぶつえん」は晴れの日には開かない。晴れの日にきても、「へいかんちゅう」とひらがなで書かれた段ボールが、控えめに立てかけられているだけ。
わたしは、小さな頃から「あめのどうぶつえん」にずっと通っていた。
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「あめのどうぶつえん」に入ると、たった一人の男の人がほうきで床を掃いている。
いつも、そう。ひょろっとした男の人が、枯れ葉だらけの床を静かに掃いている。
わたしは、名前もまだわからないその人にぺこ、っとおじきをする。
すると、ちょっとだけその人は頭を下げる。
「あめのどうぶつえん」には、いつもわたしとその人しかいない。
でも、わたしたちは言葉を交わしたりしない。
……そんなんだけど、わたしは、この空間が好き。他の家とか、学校とかよりずっと居心地がいい気がするから。
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「あめのどうぶつえん」には、動物が一匹しかいない。
ホワイトライオン。純白の毛をした、美しいオスのライオン。青い宝石がはめこまれたみたいな瞳を見ると、ちょっとだけ安心するような気がする。
ライオンは、いつも檻の中で独り、雨を眺めている。
その|瞳《め》は、宙を彷徨っていて。
わたしは近づく。
ライオンは気づかない。
ちょっと立つと、ライオンはこっちを見る。
右手を、檻になすりつけた。
「……」
今、この子はなにを考えているのかな。想像したって、わたしにはわかりゃしない。だって、わたしはこの子じゃないから。
「……ねえ、」
「あなたは、雨が好き?」
通じないのはわかってるけど。ちょっとだけ、首を傾げて。
ライオンは、まばたきする。
がし、がし。檻を引っ掻く。
「……そっか」
青い瞳を、わたしに向けた。
「どうしたの?」
右手を、また檻になすりつけて。
がし、がし。
雨はやまない。ずっと前から振り続けてたみたいに、ざー、ざーってやもうとしない。
「……」
雨はやまない。
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次の日は晴れだった。「あめのどうぶつえん」には、「へいかんちゅう」の段ボール。
あのライオンは、今どうしているのかな。
いつものように、右手をがし、がしって檻になすりつけているのかな。
そんなことを考えながら、「あめのどうぶつえん」に背を向けて歩き出した。
……なにこれ((
はあ、明日は地獄の英語の授業がある。英語の先生無理嫌い。