公開中
オレンジ
<「美咲〜?一緒に帰ろ〜?」
私は、|黒谷美咲《くろやみさき》。
目の前にいるのは、|大石健太《おおいしけんた》。
健太は、本当によくモテる。
私は、好きじゃないけど。
気遣いができるし、スポーツ万能だけど。
私は、こいつを恋愛対象として見れない。
「今日は部活がないの?」>
こいつは、バスケ部に入っている。
・・・私は帰宅部だ。
だから、こいつの部活がある日は一緒に帰れない。
<「うん、だから一緒に帰ろ!」
「別にいいけど。」>
「あ、帰る前にバレー部を見てもいい?」>
<「いいけど、なんで?」
「・・・なんでもいいでしょ。」>
こいつのことは好きじゃないが、片思いの相手がいる。
バレー部の武藤翔くん。
「武藤くんってどんな人?」>
前にそう聞いたところ、
<「あいつだけはやめとけ」
健太に言われた。
人の好きな人に文句なんて言わないでよね。
---
[健太視点]
あいつにだけは、とられたくない。
俺は、美咲が好き。
でも、あいつも美咲が好き。
お互いにライバルだと思ってる。
だから、翔に言った。
「俺は本気であいつが好き。でも、お前もだろ?」>
だから、と俺は続ける。
「同時に告白しようぜ。」>
「そうすれば、公平だろ?」>
<「のった、明日の放課後な。」
もし、美咲がどっちを選んでも。
後悔はしない、それで美咲が幸せなら。
---
[告白当日]
[美咲視点]
「どうしたの?2人同時に呼び出して。」>
・・・何かしちゃったかな?
<「俺と付き合ってください。」
2人同時に・・?
しかも、相手は|健太《親友》と|翔くん《好きな人》。
「私は・・・」>
「選ぶことは出来ない・・・!」>
<「・・・そっか。」
残念そうな2人。
「強欲かもしれないけどさ。2人と付き合いたい、2人とも好きだから。」>
「私のこと、大切にしてくれる?」>
<「当然だろ!」
<「もちろん!」
---
その後、私達は学校でも有名なカップルになった。
最初は、隠していたんだけど。翔くんがバラしちゃった。
「今日、一緒に帰ろ〜?」>
<「翔、どっちが待たせないでこれるか勝負しようぜ!」
<「望むところだ!美咲ちゃん、すぐに行くからね!」
その日の夕方に、オレンジ色に染まる夕焼けと
手を繋いで帰る3人組の姿があったとか。