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【実話短編】いじめの利益を、私は知ってしまった。
そのままです。
いじめの利益、を考えたことがありますか?
私はあります。
あるというか、利益っていうのがどう言うものかを知りました。
これは実話です。
遡ること、5歳の時。
遡ること、5歳の時。
私たちの保育園には「四園交流」という行事があった。
どこの保育園にもあるかもしれない。そこで、マイムマイム的な、
「チューリップ」とか「きらきら星」とか、メジャーなこども曲に合わせて、
みんなで輪になって、手を繋いで、ステップを踏んだり、
回転したりする謎の動きをやっていた。
今でもこの行事は本当に謎。メジャーなこども曲に合わせていたかは忘れたけど、
手を繋いで輪になっていたのは覚えている。
もうそれから6年も経っているから。
四園は、うちの「N保育園」、「A保育園」、「F保育園」、「M保育園」
その四園が集まっていた。
輪になるときに、新しい友達に会った。
「Rちゃん」と「Sちゃん」。M保育園から来た。
かつてめちゃめちゃ背が低かった私よりもRちゃんは背が低いように見えた。
Sちゃんはとても大きいように見えた。
2人が名乗り、一時的に少し仲良くなり、小学校とクラスも一緒になった。
これは全くの偶然だ。
学童でもよく一緒に遊んでいた。
でも少し気になることがあった。
Rちゃんは、私の意見を滅多に通さないのだ。
だからいつも、やりたくないながらも無理やり共感していた。
Sちゃんは、直接的に通さないわけではないけど、Rちゃんの意見に賛成共感をよくしている。
当時、何にも考えられない私は、「そういう病気なのかな」とかばからしい妄想をしていた。
あっちが自分勝手に進める、そう言うのが嫌いだった私は、
そんなことをすぐに投げ出すから、幼馴染の
「Mちゃん」と遊んでいた。
よく塗り絵をしたり、絵を描いたり、某お家ごっこ着せ替え人形遊びとか、インドアな遊びをしていた。
RちゃんSちゃんと遊ぶのが嫌だった私の唯一の救いだった。
---
だけど、そう簡単にはいかなかった。
RちゃんとSちゃんは、だいたいいつも、私たちが遊んでいるのを見ていた。
よく見ると、何かを言うたびにノートを見て何かを書いていた。
でも、鉛筆の動きで何を書いているかは大体わかるから、鉛筆の動きをよく見ると、
バッテンを書くような動作だった。
たまに丸や、稀に三角を書くこともあった。
そのあと、2人は豹変した。
ある日、Sちゃんに「机来て」と言われた。
「え?いま塗り絵やってるんだけど…、後ででもいい?」と言うと、
無理やり手を引っ張られて、「いーくーよー」と言われながら机に持って行かれた。
Rちゃん「ねぇ、2人ともよく一緒に遊んでるよね」
私「うん」
Sちゃん「遊びすぎじゃない?」
Mちゃん「遊びすぎも何も、これが普通だし…ねぇ?」
私「ね。」
Rちゃん「そんなたくさん遊んでたら、今たくさん遊んでいる代わりに、3年生くらいになると仲悪くなるよ」
屁理屈だった。
「別にいいよ。今仲良くできればいいんだし」とか言えるはずもなく、
本気にしてしまった。
Sちゃん「そこで、こんなルールを考えたわけ。」
そこでSちゃんに出された手作りっぽい所々黒ずんだ本を見せられた。
--- れみり、M、バツこうだん ---
私「…なにこれ?」
Rちゃん「遊んでるとね。バツが、こうだんされちゃうの。」
Mちゃん「こうだんって?」
今でもこうだんの意味は謎。
中はこんな感じだった。
◯月 こうだん ぜんぶ
◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯
そのあとに、◯が連なっていき、日にちが過ぎると、
遊んでいる具合を
○→全く遊んでいなかった
△→少し遊んでいた
×→たくさん遊んでいた
みたいな感じで、◯の中に記号を書き足されると言うシステム。
(要はこんな感じ→ Ⓧ)
Sちゃん「今日は、初日だから、△にしてあげる。」
初めは意味がわからなかったが、少し考えて意味がわかった。
△ということは、少し遊んでもいいと言うこと。
次の日、調子に乗って遊んでいると、それが癖になってしまった。
---
それをRちゃんとSちゃんに見つかってしまい、
私が手に持っていた工作をRちゃんに取り上げられた。
その後、Mちゃんと一緒に塗った塗り絵も破られた。
私「なんでそんなことするの!塗り絵、テープで繋いで!工作、返して!」
Mちゃん「はー…。マジで信じらんない」
Sちゃん「2人とも、すぐ遊んじゃうみたいだから、ご褒美あげる」
私(は?んだよ偉そうに。)
Rちゃん「3月中遊ばなかったら、このシールあげる。」
私に見せたシールは、ぷにぷにのシールだった。
その春学童で流行っていたシールだ。
だけど、私はそのシールが好きではなかった。
シールがあったからなんだ、と思った。
特に何にも貼るわけでもないのに、ある意味がない。
しかも、そのぷにぷにのシールは、とても小さかった。
1センチにも及ばなかった。
何が描かれているシールかも忘れた。
そもそも、2人なのに、1つしかシールがないのも考えられていない気がして、
心の中でブチギレていた。
私「で、いつ工作返してくれるの…?」
Sちゃん「今日中遊ばなかったら返してあげる。」
私は、その言葉を信用してしまっていた。
だから、Mちゃんとあそぶのも、話すのも、
接触するのも、増してや近づくのも、同じ場所にいるのだって我慢した。
なのに、返してくれなかった。
---
次の日
もしかしたら忘れてるんじゃないか、
悪意はないんじゃないか、なんて思い始めて、
Sちゃんに聞いた。
私「あのさ。昨日、Mちゃんと遊ばなかったよ。話すのも、触るのも、近づくのも、一緒にいるのも、しなかったよ。絶対やってないっては言い切れないけど、信じて。」
Sちゃん「それを証明できる人いるの?」
私「しょ、う、め、い……?」
Sちゃん「だから。それを絶対やってないってわかる人いるの?」
私「…、Mちゃん。やってないってこと、Mちゃんはわかってるだろーし。」
Sちゃん「じゃあ聞く。」
Sちゃんはずる賢かった。
なんか物知りな感じがするし、ちょっと小1にしては
小1っぽくない感じもある。
私はそのとき、何かしらで逆襲をしたかったから、
SちゃんがMちゃんに聞いてるあいだに、
少し考えていた。
なんだか…、少し、アイデアが湧いてきた。
Sちゃんが戻ってくると、
「わかった認める」
と言われた。
私は、紙を取った。
本を、作った。
作ったこともないサイズの、50㎠くらいの本だった。
《《2人》》が帰ると、Mちゃんと内緒で
Rちゃん、Sちゃん、バツこうだん
そんな本を作ってしまっていた。
次の日
私「2人とも、私たちが遊ぶなって言ってるよね」
Mちゃん「おかしくない?」
Rちゃん「…んは?」
私「2人だって、遊んでるじゃん。なんで私たちだけは…。」
Sちゃん「それは!2人が、仲良くしてるから…。私たち、より。」
Rちゃん「てか!私たちはずっと仲良くするって約束したの!」
私「本当に?したとしても絶対に?」
Mちゃん「そんなの、そうとも限らないでしょ」
Rちゃん「……っ!」
Rちゃんは一種の「ブチギレ」になった。
もちろん小1だし、幼児なブチギレだった。
ムキになって、本を破った。
どっかいった。
Sちゃんもついてった。
なんかすごいムカついた。
記憶はそんくらいしかない。
まあ、いじめの利益という利益は、
自分が上であること、
その優越感を感じたいがため、だと思う。
あとはストレス発散とか。
ストレス発散になる方程式は、
何かしらトラブルが起こる→
自分を責める→
結局は相手が悪いことに気づく→
相手に直接発散したいと思う→
相手に直接は無理だと思う→
関係ない人間なら別にいいと思う→
自己中思考になる→
いじめに至る
そんな感じだと思います。
続かない