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四大精霊戦記【3】
コンコンコン。
「ルーサ・セイレーン様!」
ウィンディーネ部隊の1人がウィンディーネ部隊隊長室の前で声を張る。
ルーサ・セイレーンは夏の空を思い浮かばせる様な水色の腰まで達する長いロングヘアーに深海のような深い瞳。
そしてエメラルドグリーンのワンピースに、透き通ったロングカーディガンにおとぎばなしの天女がつけている様な羽衣を付けている。
見た目はまさに天女で、一目惚れしてしまう男性も多いのではないだろうか。
「はい、どうしたの?」
ルーサが出てくると、少し水が体から滴り落ちた。
ウィンディーネ隊長室は、というかウィンディーネの領地はだいたい水の中にある。これは、ルーサなどのウィンディーネが水を好むからである。
他にもサラマンダーの領地は火山噴火口近くが多いし、シルフの領地は風が強い林、ノームは洞窟近くなどの個性がある。
ルーサが発言を急かすように頷くと、部隊の1人は衝撃的な言葉を発した。
「はっ、南の方角からおそらくノームであろう精霊の集団が近づいてきています!」
「…えっ?」
ノームはあまり好戦的ではない連中だ。ノームリーダーとも一度会ったことはあるが、戦いを嫌う傾向だった記憶がある。
「…わかった。第一部隊をノーム集団の目の前に置き、敵意があるようだったら第二、三部隊も出陣させて。そして、ユズ・ウォーマイも呼んできて。」
「はっ!」
そういうと部隊の1人は副隊長室の方に駆けて行った。
「…なぜ、何のために…?」
ルーサは首を傾げながら、どうしても背中に悪寒が走るのだった