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1 「読心者」「タチネ」
〈〈side |読心者《マインダー》
地下へと続く、エレベーター。
無機質な灰色。辺り1面、光沢のない鉄で覆われている。
地上1階からB9階までのボタン。
ボス1人につき1階丸々自由に使って良いスペースとして渡されている、何とも豪華で大胆だ。
それぞれのボタンがコインがそのままはめ込まれていたり、水のように透き通っていて感触も水だったり、少し間違えたら棘が手に刺さってしまうようなデザインだったり、どこに誰がいるか見分けるためとはいえ、本当に自由だ。
しかも、その階の内装は能力で自由に彩っていい。
そんな事を考えている間に私が押していた、地下1階についた。
私はエレベーターを後にした。
どこまでも続いていくみたいな、長い長い廊下。一定の間隔で置かれた照明と観葉植物、まるで|地上《外》の風景とは見違えて美しい内装。
でも、天井は低かった。
私は身長が低いから、不便に感じたことはないけど周りの人はきっと不便に感じているだろう。
普段のなんら変わりない内装をじっくり見ていた間に、奥へと歩いていってオフィスに繋がる扉に手をかけた。
「あ、やっと見つけたぁ〜」
白の長い髪、黒と赤が入り混じる和服に黒のブーツ。人を引き寄せるような青の目に、色白の肌。長い脚に華奢な体、綺麗なスタイルで顔立ち。
コードネーム、タチネ。
拷問のボスだ。動作と声色からして、敵組織の情報でも吐いた人がいたのだろう。
癖は前髪を触ることと手遊び、手の大きさは平均程で薄め、呼吸は早め。
コンシーラーか何かで隠しているのだろうが薄く|隈《くま》が見える。
笑顔が漏れてている様子から、昨日は徹夜で拷問をしていたのだろう。
「|読心者《マインダー》、これ吐いた情報ね〜。コインと狂水にも共有しておいてぇ〜」
2枚のメモ用紙のようなものを受け取った。
「了解です」
そう言葉を返すと、タチネさんはオフィスを後にして何処かへ行った。
まあ恐らく鍛錬か、薬・拷問の開発か、拷問してるか、だろう。
メモ用紙を私とコインさん、狂水さんの分を印刷した後、書類の山となった自分のデスクに無造作に置かれた書類の山を一気に持った。
前は見えなかったが、もう慣れたもの。
何歩歩いたらエレベーターへ着くのか、私の階であるB6のボタンの位置はどこにあるのか、何歩歩いたら自室まで無事に辿り着けるのか、勿論把握済み。
自室に書類を置いた後、コインさんと狂水さんの自室へと向かわねばならない。
この後に襲いかかる仕事量に目を背けたいと思いながら、この部屋を後にした。
「おや、随分と大荷物だね」
そう言葉をかけられた。
そこには近距離ボス、正装の怪物が私の方を見ていた。
今回のsideが歌誕になった理由は資料共有やら戦闘の案やら個人での仕事の時やらで、仲間との交流がなんだかんだ一番多そうだから。なにより、この組織内では一番マトモ説があるから。
階紹介の会。
1階 特に何もなし。地下に続くエレベーター、階段はSilenceの人しか知らなく、簡単には見つからない、見つかったとしても顔認証的なのが付いてるので、意外とセキュリティは安全。
B1階 会議室、オフィス、医務室、訓練室とか。
B2階 力彦
B3階 水月 雪乃
B4階 金成 優矢
B5階 リリア・スター
B6階 七楽 歌誕
B7階 橘 ねいあ、拷問・尋問部屋
B8階 水簾
B9階 鴉目
個人的な解釈はこれ。