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7話 バイオノイドという生き物
「そうだな…俺の過去についてでも話すか?結構おもしろいぜ」
「手短にお願いする…」
「ハハッ、その生意気は生まれつきか?」
「あ〜、話したくないんなら…」
ディオニュソスが頬杖をつく。
「あれは、10、20…30?年前…ははっ思い出せねぇや…まぁ、要するに昔だ。その昔…俺は、大切な妻の命を奪われちったんだ。奪われたつっても事故だったんだがな。…お腹の子の顔も見れなかったなぁ〜…そんな時、アイツ…ゼウスが俺に声をかけてきたんだ。『バイオノイドになればそんなことすぐに忘れられる』ってな。俺はバイオノイドに縋った…ゼウスもバイオノイドに助けられてたからな」
そこで、ディオニュソスが言葉を切る。
「…お前は、それで良かったのか?」
美桜が真剣な眼差しで問う。
「…」
「俺は、バイオノイドが…全て忘れてしまうことが良いことだとは思えない」
「…っ…はは!良かったか?ああ、良かったよ。もちろんさ」
「じゃあっ、なんでここで話してるんだ?なんで、俺たちに協力してるんだ…?」
ディオニュソスが目を少し見開く。
「ちびっこ…俺は悪いやつだ。ゼウスに脅されたでも無理矢理でもなく、自分からバイオノイドになる事を望んだ。バイオノイドが禁忌だと知っていて、この道を選んだ。立派な罪人だよ…お前らに協力しようと思ったのは、単にゼウスが嫌いになったからだ」
ポンっとディオニュソスが美桜の頭に手を置く。
「お前は優しいやつだな」
「ちょっ!は?」
「妻のお腹の中にいた子供は男の子だったんだ。生きてたら…いや、きっと俺の子はもっと雄々しいな!」
「はぁ!?ふざけんなよ!」
美桜がつま先立ちをし、なんとか胸ぐらを掴むがディオニュソスはびくともしない。
「ディオニュソスさん、新しい情報は得られましたか?」
ディオニュソスは美桜を軽くいなし、A.I.D.A.に向き直る。
「いいや。…俺はちょっと警戒されてるかもな」
「そうですか。ありがとうございます」
「どうしたもんかなぁ…」
美桜がA.I.D.A.に駆け寄りコソッと耳打ちをする。
「なあ、これ何の話?」
「ディオニュソスさんには潜入捜査を頼んでいるんですよ」
「潜入捜査…?」
「ええ、teosの内情を捜査してもらっているんです」
美桜がチラッとディオニュソスの方を見る。
「…」
A.I.D.A.が一歩前に出る。
「こちら側に来る気はないか?と、天堂さんより伝言です」
「ないね」
即答。
「俺は、正義のヒーローやりたいわけじゃ無いんだ」
「そうですか。では、天堂さんにはそう伝えておきます。潜入捜査の方は、しばらく控えてください」
「ああ、そうする。それはそれとして、どうしたもんかなぁ…お前らも収穫なけりゃ困るだろ」
ディオニュソスは首に手を当ててう〜んと考え込んでいる。
「なあ、バイオノイドってどんな感じなんだ?」
美桜が恐る恐る尋ねる。
「興味あっか?そうだな…多分、楽しいぜ。今だけな。"今"が楽しいんだ。例えるなら…子供になった気分だな。『今が良けりゃいい』『今を楽しもう』そんなことを、言ってくるんだ」
「じゃあ、俺とあんま変わんないじゃん。おれだって…未来とか、考えられない…」
「フッ…慰めのつもりか?…まぁ、話はこんぐらいだ。大したことじゃなくてすまんな」
「構いませんよ。今回は美桜さんのと顔合わせが目的でしたから。ありがとうございます」
A.I.D.A.はお辞儀をして、美桜と共に立ち去ろうとする。
「美桜…可愛い名前だな」
「はぁ!?」
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一方その頃、天堂と水無月は…
「アテナ!やっと尻尾を掴んだぞ」
天堂が裏路地に追い詰めたのは、小さな少女だった。俯いていて顔がよく見えない。
「いえ、貴女が尻尾を掴んだのではありません。私が掴ませたのです」
ゆっくりと上げた顔には、違和感があった。理由は、すぐに分かった。目だ。
「はっ、なんとなく分かっていたが…」
その目は、真っ黒だった。白目も黒目も関係無しに。なにも映していないモニターの様に…
「お前、人間じゃないな?」