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ふと 、 視界に光が入った 。
光と言って良いのかはわからない 。
目が覚めた 、 というのかもわからない 。
前を見ると 、 俺は誰かにおぶられていて 、 その誰かは無言で歩いている 。
その横顔を見て 、 俺は叫んでしまった 。
「 翔太!? 」
渡辺「 ん 、 涼太 」
「 なんで 、 目覚め … 」
渡辺「 あーなんか 、 ここ現実じゃないっぽいわ 」
「 … ? 」
渡辺「 夢っつーのかな 、 」
渡辺「 俺さ 、 植物状態?なんでしょ 」
渡辺「 でもなんか周りの声は聞こえるわけよ 」
渡辺「 あとなんかここ特別だから 、 現実見れるんだよね 」
「 現実 、 見れる 、 ? 」
渡辺「 んーあれ 、 テレビみたいなのあるっしょ? 」
そう言って翔太が指差したのは 、 モニターのようなもの 。
そこには 、 翔太のベッドの隣のベッドに俺が寝ていた 。
周りにはメンバー 。
渡辺「 俺はあそこに涼太を運んでるってわけ 」
渡辺「 気になるっしょ 」
「 … 」
渡辺「 ほら 、 聞いてみろよ 」
モニターの前に2人で座り 、 それを見つめる 。
向井『 舘まで目ぇ覚めなかったらどうするん 、 ! 』(ポロポロ
佐久間『 待つしかないよ 、 』
阿部『 舘様に関しては寝たりしてないだけだから死にはしないはずだけど 、 』
岩本『 … なんで 』
深澤『 とにかく待とう 』
ラウ『 舘さん 、 しょっぴー … 』(ポロポロ
目黒『 舘さん 、 しょーたさん 、 早く戻ってきてください … 』
「 … みん 、 な 」
渡辺「 ほら 、 みんな待ってる 」
「 でも 、 翔太だって … !! 」
俺が叫びかけると 、 翔太は首を横に振る 。
「 っ 、 翔太 、 」
渡辺「 … 俺は 、 まだっぽい 」
渡辺「 大丈夫だろ 、 死にはしないし 笑 」
「 俺 、 … 翔太をおいてなんか 、 ! 」
渡辺「 そのうち行くし 笑 」
渡辺「 涼太は先行っとけ 」
「 っ 、 」
渡辺「 俺が戻る場所作るためだって思えば良いだろ 」
「 … わかった 」
幼馴染で好きな人のお願いなんか 、 聞くしかないじゃん 。
嫌だけど 。
けど 、 何もなしでそのまま行くのはなんだか嫌で 、 俺は口を開いた 。
「 ねぇ翔太 、 俺 _ 」
翔太は 、 そっと俺の口を押さえて笑った 。
渡辺「 続きは起きたらな 」
「 … 翔太のバカ 」
渡辺「 このスクリーンに飛び込めば帰れる 」
「 翔太は無理なの? 」
渡辺「 うん 、 無理っぽい 」
「 … 置いてって良いの? 」
渡辺「 うん 」
「 … 一人にさせんな 、 バカ 」
渡辺「 うん 」
「 … 待ってるから 、 ずっと 」
渡辺「 うん 」
「 … 来なきゃ許さないから 」
渡辺「 うん 」
「 … 翔太からも聞かせてよね 」
渡辺「 早く行けって 笑 」
「 … 翔太のバカ!! 」
渡辺「 うぉ 、 なんだよ急に 笑 」
俺はそう言い捨ててモニターに飛び込んだ 。
モニターの向こうで 、 翔太が微笑んだ 、 ような気がした 。