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第4話 姿見
前回のあらすじ
拳銃を手にした七葉は、異変のおじさんを撃ってしまう。でもそのおじさんはぬいぐるみで、七葉は精神的にダメージを負ってしまう。
今回も鬱
進むと、もう5番だった。後半戦、油断してはならない。そう感じたわたし・紅葉は、角を曲がると異様なことに気づいた。
廊下が、倍、長い。異変だ。進んでいくと、ぺたっと体が当たる。どうやら、鏡になっているようだった。
「…は…?」
紫桜、紫音、四葉、田菜さん、三葉さん、七葉さん、楓、野薔薇、椿の顔が並ぶ。全部、狂気を感じた。
「お前ならっ…」
「えっ…?」
田菜さんの顔つきが変わったのは、鏡越しにわかった。
`「お前なら、わかるんだろ!!超能力でここを壊してしまえ!このゲームのすべてを知りたい!知りたい!知りたいんだっ!!!」`
「ぎゃっ!?」
田菜さんの目は血走っていて、わたしは反射的に田菜さんを超能力で投げ飛ばしていた。田菜さんはバッと倒れてしまった。
「紅葉っ!!」
「ごっ…め」
四葉がずかずかと来て、わたしの胸ぐらを掴んだ。実の姉を投げ飛ばされたのなら、そりゃ怒るはずだった。
`「許さない、幾ら紅葉でも絶対許さない!!!」`
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その横で、七葉はひどい顔をしていた。鏡に映る七葉は、拳銃を構えていた。
『…わたしのせいで、みんなボロボロになったんだっ…』
そう鏡は言い、七葉は力なくうなだれた。
わたしはすこし唱えた。
「希望『希望の三葉』」
これで、希望が与えられるはずだ。七葉に、みんなに、わたしに____
「んなので救われるなら、今頃こんなになってませんよっ…!」
そう椿が言った。メガネの奥の目から、表情は何ら読み取れない。
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だんだんと鏡が曇り、モノクロの世界になっていく。それを、ただ眺めることしか出来ないことに、無力さ以外なんにも感じない。
「…はぁ、ほんっとうに使えないよね、あたしも」
楓が言った。
「みんな制御できてない。みぃんなみぃんな。だって、能力だって使えてない。小鳥の犠牲はどうなったの?死ぬ気なの、みんなっ」
「そんなこと___」
ある、かもしれなかった。
「もうみんな、なくそうよ、やる気。変なやる気で、殺し合いでもするつもり?」
そう言って、楓は何やらつぶやいた。その後、体中から力が抜けていく。モノクロの世界を、視界が拒んでいく。
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田菜も、紅葉も、四葉も、七葉も、三葉も、椿も、楓も、野薔薇も、みんな狂ってしまった。唯一狂っていないのは、わたし・紫音と紫桜ぐらいだろうか。
いや、わたしも狂ってしまった。頭の中に聞こえる雑音が、一切排除できない。
「紫桜__」
そう呼ぶと、紫桜は何か決めたような目をしていた。
「待って紫桜っ__」
「メンタルを治す。体も、心も」
「何言ってるの」
彼女の能力は、肉体的な傷を癒やすだけだ。メンタルなんて、治せない。《《普通》》なら。
「わたしを犠牲にして、みんなを治す。それぐらいしかできない」
そう言って、何かを叫んで、紫桜は消えた。何を叫んだんだろう。何を考えたんだろう。ただ、だんだんと傷は癒えていった気がした。
鏡のアイディアは、AIのGeminiさんをお借りしました。物語の核心には何にも言っておりません、核心は主自身が考えました。