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十九
乃愛「みんな!牢屋がありました!」
玲「鍵があったよ。扉開けるね!」
玲が牢屋の鍵を開けていき、中に入っていた人が次々に出てきた。
?「ユリ!」
?「友里ちゃん!」
友里「蓮さん!稲荷ちゃん!」
|蓮《れん》「良かったわ、無事に逃げられたのね!」
|稲荷《いなり》「助けを呼びに行くって出ていったまま、ずっと帰ってこないから心配してたんです!」
友里「いやーごめん、車椅子ぶっ壊されちゃって・・・」
時哉「知り合い?」
友里「うん、私の友達だよ。ここで知り合ったんだ」
蓮「|小田蓮《おだれん》よ。名前だけは男ってよく言われるわ」
稲荷「|練馬稲荷《ねりまいなり》です。トラゾー殿は?」
賢治「多分無事だよ。早くここを出て会いに行こう」
蓮「待って!」
蓮は友里を呼び止めた。
友里「何?」
蓮「・・・あなたはショックを受けるかもしれないけど、下半身麻痺について書かれた資料を見つけたわ。見る?」
友里「え、見たい!」
友里は嬉しそうに資料を受け取って開いた。
その途端、友里の顔から笑顔が消えた。
割愛すると、友里の両親は離婚している。
離婚事由は母の不倫。当時0歳の友里は母に引き取られ、不倫相手と暮らすことになったのだが、不倫相手と母の間に新たに子供が産まれてしまった。
友里は母にとって邪魔な存在になり、母の不倫相手が施設の職員だったため、自身の不倫を隠す目的として痺れ薬を購入。幼い頃から痺れ薬を飲ませて下半身麻痺と思わせることで、今の父が母の不倫相手であることと、相手の素性を悟られないように細工していた・・・というわけだった。
つまり全ては友里を嫌っていた母親の、友里を違和感なく施設に送るための策略だったのだ。
賢治「なんちゅう悪知恵だ・・・」
稲荷「これが、痺れ薬無効化薬です。飲んでください」
友里が薬を飲むと、松葉杖がなくても立てるようになったのだが・・・。
友里「そん、な・・・。お母さんのこと、大好きだったのに・・・。いつか愛してくれるって、信じてたのに・・・っ!」
友里は顔を覆って泣き出し、時哉と乃愛は泣きながら友里の背中を摩った。
李由達に連絡し、施設の職員はみんなお縄についた。不倫相手も見つかり、母の居場所が判明した。
稲荷「トラゾー殿〜〜!」
宗真「稲荷さぁぁぁぁぁん!」
踏切の施設を潰したと連絡を受け、大和達も合流した。
宗真と稲荷も再会することができ、他の被害者達も家族と会えたそうだ。
友里「お母さん・・・」
時哉「今度、お父さんに会いに行こうか」
友里の背中をそっと叩いて、時哉は笑っていた。
小田蓮(おだれん)
踏切の施設に閉じ込められていた。24歳。友里の心の支えになっていたらしい。