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死歿の歌 二話
らるらりら らるらりら
誰かが私を呼んでいる
るらりらら るらりらら
誰かが私を呼んでいる
らりららる らりららる
誰かが私を呼んでいる
りららるら りららるら
誰かが私を呼んでいる
ああ閻魔様が呼んでいるのか?
歌を歌いながら 僕は閻魔様を待つ
ああでも僕はあの人に あの人に
呼んでほしいんだ
ららるらり ららるらり
誰かが私を呼んでいる……
人間は誰もが愛を求めている。
愛は人間を嫌っているかもしれない。
人間から愛は、僕らにとって、救済者だと思っているだろう。
二話『正義』
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|女性《にょしょう》の|邏卒《らそつ》が、自分を捕まえようとゆっくりこちらへ歩いてくる。邏卒の手には、黒色の銃を持っていた。
女性の邏卒「あなた、一体ここにきた人たちに何をしたの。」
邏卒は自分に対して問いかけたが、自分は答える気にならなかった。答えてマズイということはないが、自分は、この邏卒の何処か嫌いだったんだ。
そして|女性《にょしょう》の邏卒はこう言った。
女性の邏卒「あなたがやったことは絶対に間違っている。大人しく私に捕まりなさい、これ以上あなたは悪いことをしてはいけない。」
そういって、どんどん邏卒が自分の方に近づいてくる。
そして、自分は邏卒に一声かけた。
『正義ぶってんじゃねえよ。』
女性の邏卒「は…?」
邏卒は一回止まった。そして、邏卒は睨み、自分に言った。
女性の邏卒「あのね、正義ぶってはないわ。私が言っているのは、あなたがやったことは間違ってるから捕まった方がいいということよ。」
『まさか、正義感強すぎでしょ。』
そして邏卒が黙る。
自分は、邏卒が来てからぴたりとも動かさなかった体をようやく動かした。
邏卒「動くな!!」
そういって、自分に銃を向けるが、邏卒の手は、人間を撃つのが怖いのか、震えていた。
自分は、ハートの形をした石の方を見て、あることを思いついた。
確かに、自分にとってはこのハートの形をした石は必要ない。でも、必要としている人がいるはずだ。このハートの形をした石を邏卒にあげたら、勿論正義感が強い邏卒は必要な人に…配ると思う。それが正義なのかはわからなかった。でも、困っている人を助けるのも、正義感が強い人がよくやることの一つだと思っていた。
自分の近所のとある人間は、正義感が強かった。その人は、困っている人を助けたりしていた。でも、正義にも限度がある。やりすぎることがあるのだ。自分もやってもらわなくてもいいことをやってもらった。今でも鮮明に覚えている。
自分は邏卒に言った。
『君は正義感が強い人だ。よければ、この石を必要としている人に配ってあげた方が、いいのではないか?』
女性の邏卒「その石を食べたら周りの|女性《にょしょう》が好いてくれるなんて、そんなのただの噂よ。」
『さあ、どうだろうね。』
そう言って、何十個か石が入った袋を邏卒に渡した。
女性の邏卒「だから噂よ…!要らないわ…!」
『あれ、君…邏卒なんだよね?人間らが、もし欲しがっていたら…まあ邏卒はそんな役割はない。でも、君なら…ね。』
女性の邏卒「はあ…!?」
邏卒は仕方がなくもらった。
そして邏卒は洞窟を出ようとしていた。出ようとする前にこう言った。
女性の邏卒「出直すわ。次こそ、捕まえるから。あなたの罪は重いわ。」
そう言って、帰って行った。
よくよく思ってみると、あの邏卒は一人で来たから、正義感が強いとも言える。
自分は、この洞窟から出て、家に帰らず、広い村をただひたすら歩いた。歩いただけで、特にメリットもデメリットもないんだ。ただ、自分でもわからない、なぜか歩いていたんだ。
そして歩いていたところを急に止めると、あることに気がついた。手を見ると、紫色の血が付いていた。これを見て、自分はこう思った。
『僕は悪い子なの?』
声に出していうほど、思ってしまった。
明日は、またあの洞窟へ行ってみよう。
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悪い子は、どうなってしまうのだろう。
どうせ、お叱りをいただくのか?それとも、暴力を振るわれるのか?
悪い子なんて、世界に沢山いるでしょう?
…違うか、人間全員悪い子なのか。
君も悪い子、あなたも。そう、お前もだ。
悪い子は、僕らだった。