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宮舘side
車に戻って 、 一番後ろの端の席に座る 。
目を閉じると 、 翔太の声が勝手に再生される 。
翔太『 涼太おはよ 』
俺が楽屋入りすると 、 必ず挨拶してくれる翔太 。
翔太『 ぐははははっ! 』
俺が面白いこと言えば 、 大声で笑ってくれる翔太 。
翔太『 俺見てんだよ! 病院の時から見てんだよ!! 』
クイズで1人だけ当てた時に嬉しがってくれた翔太 。
翔太『 あ 、 涼太ありがと 』
俺が何かすれば 、 すぐお礼を言ってくれた翔太 。
翔太『 元気出せよ 、 涼太は涼太だろ 』
俺が落ち込んでいるのを隠してても 、 すぐに見つけて慰めてくれた翔太 。
数え切れないくらいの思い出が 、 次々蘇ってくる 。
気づけば涙がこぼれていたけど 、 止めることなんか不可能だった 。
「 … 翔太 、 」
「 なんで 、 」(ポロ
佐久間「 涼太! 」
「 … さく 、 ま 」
佐久間「 車の鍵開けて! 」
「 … 」
車の鍵を開けると 、 すぐ俺の隣に座った佐久間 。
佐久間「 辛いよね 、 」
それだけ呟いて 、 俺の背中をさすさすとさすってくれる 。
「 … っ 、 」(ポロポロ
「 なんで 、 しょうた 、 なの … ? 」
佐久間「 … 」
俺の呟きは 、 消える 。
深澤「 やっぱいた 、 よかった 、 」
ふっかが安心した顔で車に乗り込んでくる 。
佐久間「 なんで? 俺いるからよかったのに 」
深澤「 心配だった 」
佐久間「 ん 」
「 … 」(ポロポロ
涙を止めようと思っても 、 ダメだった 。
翔太『 泣くなんて涼太らしくねぇな 』
翔太『 ま 、 泣くだけ泣いて元気になりゃいっか! 笑 』
きっと翔太ならそう言うだろう 。
そう言ってくれるのはきっと翔太だけ 。
俺は 、 そんな人を亡くしてしまうかもしれないの?
信じたくない 。
ただ事故を起こした人が悪い 。
そんなのは分かっていても 、 考えてしまう 。
「 … 俺だったらよかったのに 」
呟いた瞬間 、 佐久間に頬を平手打ちされた 。
多分 、 力は抜いていると思う 。
叩かれたところが 、 じんじんと熱を帯びているのが分かった 。
痛い 。
そう感じた瞬間 、 体に熱が戻ってきた気がした 。
翔太が目覚めないかもって言われて 、 自分の体がどんどん冷たくなって 。
辛い以外の感情が 、 わからなくなっていたのかもしれない 。
「 … さ 、 くま 」
深澤「 何やってんの!? 」
佐久間「 うっさい! 」
佐久間「 涼太だったら良いとかそんなわけないだろッ!! 」
佐久間「 バカじゃないの!? 」
佐久間「 良い加減目覚ませよ!! 」
深澤「 佐久間 、 」
佐久間「 涼太がああなってたら翔太だって悲しむに決まってる! 」
佐久間「 涼太だったら良いとか 、 そういうのないだろ! 」
佐久間「 阿部ちゃんみたいに語彙力ないから上手く言えないけどさ! 」
佐久間「 涼太は 、 翔太がいつでも戻ってこれるように 、 」
佐久間「 準備とか 、 いろいろ 、 そういうのやれば 、 っ 、 」
佐久間「 良いってことだよ! 」(ポロッ
そう言い切った佐久間の目から 、 涙がこぼれた 。