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〚 メランコリーキッチン2 〛
『|直耶《なおや》、大丈夫かなぁ...。』
他人の心配をしている場合ではないことはわかっている。
『|真琴《まこと》!|何処《どこ》にいるの!早く来なさい!!』
母親の声。
『あー...気持ち悪い。』
俺の表面上の味方。見栄張って俺に何の心配もしてくれなかった。褒めてくれたのは実績を積んだときだけ。殴られたこともあった。
『いっそ、嫌いになりたいよ...。』
母親のことも、直耶のことも。全部、全部。
そう思って母親の所へ向かった。
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キッチンには誰もいない。カーテンも一切|靡《なび》かない。
部屋中が静まり返っている。
真琴の存在がこんなに大きかったなんて――。
「こんなことになるなら、言っておけば良かったな、」
俺の、過去のこと。今までの、感謝の気持ち。
知られたら、嫌われるかな――。
......でもあいつなら。
もしまた会えたら、素直に話せたらいいな。
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実家のリビングもルームで、甲高い声が|響《ひび》き|渡《わた》る。
『なんでこんなに出来損ないなの?貴方の行動で私の風評がどんどん下がっていくのよ?ちゃんと大学卒業して、良い所に就職して|頂戴《ちょうだい》。それとも私の顔に泥を塗るつもり?』
こうやって母親は全部自分の物にしようとする。もう嫌だ。帰りたい。|あいつ《直耶》のいるところに――。俺に母親がいたって、どうにもならない。
『――俺は、他の夢があるんだ。』
ゴンッと部屋に|鈍《にぶ》い音が|響《ひび》く。
『貴方....私に逆らう気なの.....?』
母親の鋭い目つきが俺の方に向く。
『痛ッ......うわ血出た....お前もう犯罪者じゃん、もう言い訳できねぇよ....。』
俺は近くにあった髪を巻く道具(男の俺には名前がわからない)で殴られたのだ。
血が床に|溢れ《こぼ》れ落ちる。もう嫌だ。何もかも終わりにしたい。
『警察呼んだら、お前の人生はもう終わりだろ?もう俺に逆らえないじゃん、はははっ』
俺はもう笑うことしか出来なかった。母親は青ざめた顔で|此方《こちら》を見つめる。
『お願いだよ....。警察呼ばないからさぁ、自由に生きさせてよ....。もう、義務教育も終わってるんだ。一人でも生きれるんだよ。だから、お願い。』
一人で生きれば、誰にも迷惑かけずに済むもんなぁ。――直耶にも、沢山迷惑をかけてしまった。
母親は短く舌打ちをして、
『早く出て行って。...もう二度と顔を見たくない。』
と|震《ふる》えた声で言った。最後まで強がりでプライドの高い人だ。
『うん....。あーあ、やっぱり最後まで嫌いになれないや。まあいっか。――今までありがとう。』
とにかく病院へ行きたい。意識も|朦朧《もうろう》としてきた。その後、俺の|最愛の人《直耶》に会いに行こう。伝えたいこともある。
――次会うのが、最後かな。
次で終わりそうです....。
なんとか収まりそうやな。
ファンレターくれた人、ほんまにありがとう。
続きいつ出せるかわからんけど、これからも宜しくお願い致します!!!