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永久にー。1
君にずっと伝え続けたい。君に出会った幸せを―。
俺は君の隣にいたいよ。これからも、未来も、ずっと。この先、俺は君を支えていきたい。
だって、俺はあの日、月の欠片が降った日、君という天使に出会ったから。
1.鈴蘭
「ハミルトニー!」私、寺田鈴はとある乗馬クラブの会員。いつも愛馬のハミルトニーに乗り平和な日常を過ごしている。
「ハミルトニーよろしくね!」
そう言って厩舎のドアを開ける、そして無口をつける、鞍を付け、頭絡を付ける。いつもの私のルーティ―ンだ。しかし、その平和な日常がいつまでも続くとは限らない。とある日、私はハミルトニーがいつもより元気がないことを目撃した。
ハミルトニーはいつもより餌の食いつきが悪く、目の輝きも少ない。普段は栗毛の元気な馬でレッスン後は餌をモリモリ食べる。目はくりくりのまんまる目で、目にはダイヤモンドの輝きがまぶしいほどだった。おかしいなと思った私はハミルトニー担当の清宮先生にハミルトニーの様子を見てもらった。すると、先生もおかしいと思ったのか今日のレッスンは中止となり、私はスラッキーという青毛の馬に乗った。だが、私にはハミルトニーが必要であることを改めて知った。ハミルトニーの動きと私の動きがマッチしているのだ。
ハミルトニーが心配な私は、ハミルトニーの様子を見に行くことにした。小走りで向かうその先にはもうハミルトニーの姿は消えていた。そう、ハミルトニーは美しい世界えと神様に導かれたのだ。私は少し沈黙したが、すぐに立ち直った。泣いてばかりじゃハミルトニーが困る、私も頑張らなくちゃ,と思い、ハミルトニーにあげるお花を買いに、近くのお花屋さんに鈴蘭を買いに行った。ハミルトニーは鈴蘭が大好きなのだ。私がハミルトニーに鈴蘭を見せるとハミルトニーは嬉しそうに耳を前向きにし、首を振ってダンスするのだ。私はそんなかわいいハミルトニーが一番の愛馬だった。私はいつもよりたくさんの鈴蘭を買いハミルトニーのもとへ向かった。ハミルトニーの部屋は花でいっぱいになっていた。しかし私は何か違和感を感じ、また視線も感じた。驚いて振り向くとそこにはくりくりの目をダイヤモンドでいっぱいにし、その目をらんらんを光らせてこちらをみているハミルトニーの姿があった。私は嬉しいような悲しいような変な心情になった。そう考えている一瞬の間にハミルトニーの姿は奇麗な鈴蘭となって消えていった。私はハミルトニーの魂がこもった鈴蘭を手に取ると鈴蘭は一つの手紙に変わった。私は無意識のうちに手紙を開けてその内容を読もうとした。私はその内容を読むとハミルトニーと同じように花の美しい香りに包まれながらその場に倒れ込んだー。
気がつくと私は涼しい風が吹き抜ける真っ白のベットにいた。そう、私はハミルトニーからの手紙の内容に驚き、気を失ってしまったのだ。意識が戻ったことに気が付いた清宮先生にこにことして「よかった無事で」
と言ってくれた。それにしてもーハミルトニーがそんなことを書いてくれるなんて…。私はただ嬉しく思いながら白い部屋で一日を過ごした。私は意識が戻ってからすぐに白い部屋から抜け出すことができた。1週間後私は再び乗馬クラブに通い始めた。
ハミルトニーの部屋にはもう新しい馬が入っていた。名前はアンドロメダ。白毛のきれいなサラブレッドだ。私は持っていたニンジンをロメにあげた。するとロメは美味しそうにむしゃむしゃと食べた。私は誰よりもロメを可愛がり、そして大好きだった。すると、その様子に気づいた清宮先生が私をロメに乗せてくれた。ロメの乗り心地はとてもよく、走る姿も美しかった。私はロメを一番の愛馬にし、レッスンでもよく使っていた。しかし、ロメが来て数経ったころ、ロメの体に異変が起きた。蹄が悪くなり、しばらくはレッスンに参加できないそうだ。私は悲しいけれど、ロメの体が少しでも良くなるよう見守った。
1か月経ちロメはすっかり元気になった。私はとても嬉しかった。ロメも同じ気持ちかのように目を輝かせた。ハミルトニーはダイヤモンドの目だったが、ロメの目はサファイアの目をしていた。本当は黒い目が多いが、ロメは透き通った青く優しい目をしている。私はロメの一番好きなところがその優しい目だった。私は毎日ロメに乗り楽しい日々を過ごしていた。ロメとペアを組んで1年経ったころ、今日はハミルトニーが消えた日、私が気絶した日だ。いつも受付に飾ってある花は明るい色の花なのに今日は真っ白な鈴蘭だった。みんな、ハミルトニーが鈴蘭が好きなこと知ってるのかな? 私はそう思いロメに会いに行った。ーハミルトニーの厩舎の部屋にはロメの姿はなかった。ハッとして奥の部屋を見に行くと1番奥の厩舎ロメがいた。私はホッとした。でも、ハミルトニーの場所に新しい馬が入るのかもしれないと思った私は、なぜロメを移動させてハミルトニーのところに入れるのだろうと、私には疑問しかなかった。
それから1週間後私の予想通り新しい馬が入ってきた。私はその馬を見て一瞬頭がくらっとした。そう、その馬はハミルトニーにそっくりだった。きっとハミルトニーの生まれ変わりだと思った。名前はー。私に命名を託された。私はじっくりと悩みこの名前にした。ースミハ。私はスミハの目がアメシストのようにすみれ色に輝いていたことからすみれ色の「スミ」、ハミルトニーの「ハ」を加えてスミハ。これには清宮先生もうなづいてくれた。それから私はロメに乗ったりスミハに乗ったりして、楽しい日々を過ごしていた。ーある時スミハに1回乗った他の会員様に好かれ、スミハは自馬となった。スミハという名前も無くなり、華という名前が付けられた。
それから私は愛馬のロメに乗り続け、私の自馬のようになった。ロメはいつもサファイアの目がキラキラしててかわいい。私はロメが世界で一1番の馬になった。私はその後先生と相談し、ロメを自馬にした。ロメはサファイアの目がいつもよりキラキラしていて私は嬉しくなった。自馬になったので名前を考える。私はずっと悩み、やっと決まった。ースラン。私の好きな花の名前から、ハミルトニーが好きだったものから真っ白で雪のような白さを持つその花からスラン。そうー鈴蘭からの名前だ。私はスランという名を大切にし、スランを一生懸命ケアし乗り続けた。スランとペアになって1年、清宮先生が
「競技会に出てみる?」
と言ってくれた。私は横木競技に出ることにした。もちろん、スランも一緒だ。私もスランも競技会は初めてだけど、頑張って完走を目標にし横木練習を重ねた。
ーそして競技会の日、スランを馬運車に乗せて会場へ向かった。会場には数え切れないほどの人や馬がいた。しかし、私の自慢のスランはその馬たちよりはるかに綺麗だった。真っ白の体に銀色の鬣、目はサファイア。顔だちもよく立派な馬だ。私はスランのことがもっと好きになった。スランは少しそわそわしていたが、少しすると落ち着いていつものようにおかしをおねだりしてくる。私がスランのことに目がついた1番のきっかけだ。私は競技の下見を終えると、スランの馬装に取り掛かった。プロテクターを付けてから鞍を付け頭絡を付ける。いつもどうり馬装しスランも落ち着いてきた。競技開始五分前になると練習馬場で運動をする。駈足を始めるときのことだったー。
ー私は一瞬鞍から宙に浮いたと思った。私が目の前に見える景色はスランの首だった。そうー私は練習馬場でスランを駈足させたとき、スランは真っ白な体を後ろの馬にかみつかれてしまったのだ。驚いたスランは跳ねて、私はスランから落ちそうになった。スランはその時私が落ちそうになっているのに気が付き体制を直してくれたのだ。私はそんなスランに感動した。ーやがて競技の時間になり、私の順番の11番になった。その時、スランの力が一瞬抜けたと思った私はドキッとした。私は少しスランの様子を見たいので、清宮先生に頼んで1番最後の順番にしてもらった。私はスランから降りて、スランの目を見た。すると、サファイアの目の輝きが少し曇っている。私は急いでスランを休ませた。鞍を外しても元気にならないため、私は涙をこぼした。そしてスランに聞くように、スランの顔に私の顔を近づけ
「スラン、どこが苦しいの?」
と言った。するとスランは自分のさっきかまれたところに目を向けた。私は一歩一歩スランが目を向ける方に体を移動させた。ーするとそこには私が気を失っている間に、スランが激しく戦った跡があった。スランは私が落ちそうになるのを防ぐため、動きを止めた。その時後ろの馬に怪我をさせられてしまったのだ。私は今の状態のスランに涙があふれてきた。ーそうスランはルビー色の血が蹄の所まで垂れ下がってきていた。私はすぐにスランの怪我を治し休ませることにした。スランは競技に参加できないので、他に出場していた華に乗り競技に出ることにした。でも私は競技になかなか集中できなかった。コースを間違えたり華を大飛びさせてしまったり。私は早くスランに会いたいのだ。もう、ハミルトニーと同じ思いをさせたくないからー。私は華のオーナー様に華を預け、スランのもとへ急いだ。スランのサファイアの目はやはり少し雲がかかっている。私はスランの鼻にそっと触った。ピンク色だったスランの鼻は、ぐったりとして灰色になっていたのに私が触れると、だんだんピンク色が戻ってきた。私はサファイアの目がだんだんキラキラの目になっていくのが嬉しくてたまらなかった。スランは私の手から元気を取り戻したのだ。よかったーそして私はその場に倒れ込んだ。
「鈴ちゃん!鈴ちゃんー」
「だ…れ?」
「僕はハミルトニー。鈴ちゃん、スランがー鈴ちゃん!」
ー眩しいな…。私は目のピントが合ってから気づいた。そこは昔来た白いベッドだった。そう、私はスランに元気を与えてからホッとして眠りについた。回復の眠りをー。だから私はスランに会いたいという気持ちから、眠りを目覚めさせるための夢を見たのだ。私は3日たつとすぐに白いベッドから抜け出しスランに会いに行くことができた。スランは私に会うと嬉しそうにサファイアの目をキラキラさせた。私も嬉しくて、嬉しくてスランに抱きついた。この前、スランがけがをしてしまったところは元通り、雪のような鈴蘭色をしていた。私がスランがけがをしたところに触れると、スランから虹色の雲が次々と飛び出してきた。そして虹色の雲が一塊になって私の手元に近づいてきた。私がその雲に触れると、私の手の上にはスランの目と全く同じサファイアが転がっていた。私はスランに
「ありがとう」
と言ってスランにキスをした。するとスランは私に近づいてきて、顔をこすりつけた。私はスランが1番の宝物だな、と改めて感じたー。
この後もたくさん続いていきます!よろしくお願いします!
次はもう一度鈴が競技会にチャレンジし、ハミルトニーの謎が解けます!
ファンレターをもらい、改善しました。ありがとうございます!この小説をもっといい小説にしたいので、たくさんアドバイスを頂けたらと思います!