公開中
2番目の島
???「僕達は昔から、そういう風にそう教わってきたはずだよ」
???「直接的に言葉で言われなくたって、僕らを取り巻く世界を見ればわかるよね」
???「テレビやネットや新聞紙から垂れ流される《《希望溢れるメッセージ》》がそう言ってるんだ」
???「勝てない人間も、頑張らない人間も、頑張っても勝てない人間も…」
???「等しく無価値で…クズなんだって」
類「価値ある人間とそうでない人間って、生まれた瞬間から明確にわかれているんだ」
類「ダメな人間はどれだけ努力したって、価値ある人間にはなれっこない」
類「《《努力が成功を生む》》なんて、とんでもない誤解だよ」
類「世界がそんなに簡単なわけないからね」
類「小型犬がどれだけ頑張ったところで、大型犬にはなれないし…」
類「ペンギンがどれだけ頑張ったところで、空を飛べるようにはならないんだ」
類「つまり、ダメな人間っていうのは、何をやってもダメな人間なんだよ」
類「才能ある人間は《《なる》》ものじゃない…最初からそれだけの器を持って生まれてくるものなんだ」
類「そう、君達のようにね…だからこそ、僕はみんなを尊敬しているんだよ」
類「あ、言っておくけれど、これは憧れなんかとは違うからね」
類「憧れって…自分がそうなりたいと願う気持ちでしょ?僕のは、そんな図々しい気持ちとは違うんだ」
類「僕のはなんというか…もっと純粋で、無償の愛みたいなものなんだよ」
類「だから…信用してほしいんだ」
類「僕を殺すのは構わないよ。でも、それなら僕にも協力させていただきたい」
類「犯人が生き残ろうと、他のみんなが生き残ろうと、僕はどちらでも構わない」
類「僕は…どちらにも頑張ってほしいだけなんだ」
類「僕は、その先にある《《絶対的な希望》》を、この目で見たいだけなんだよ」
類「ふふっ、僕は本当にツイてるよ!」
類「希望と希望がぶつかり合って輝きを放つ瞬間に、僕みたいな人間が立ち会えるなんて…」
類「だからお願い…僕にも協力させてくれたまえ…」
類「僕を殺すつもりなら、是非その計画に参加させてほしいんだ」
類「みんなが輝く為に、僕を踏み台にして欲しいんだよ。いい具合に僕を殺して欲しいんだよ…」
???「うるさいッッ!!!!」
ガンッ!!
………
…………………………………………………………………………
……………………………………………………………………………………………………………
--- CHAPT . 2 ---
--- 海と罰。 ---
--- 罪とココナッツ ---
--- (非)日常編 ---
---
宵崎と穂波の学級裁判から一夜明けた
あんなことがあった後でも、やっぱり腹は減るもんだな…
身をもってそれを知ったオレは、重苦しい足取りでホテルのレストランへ向かった。
雫「………」
雫「あ、司くん…来てたのね…おはよう…」
杏「お、おはよ…」
杏「………………」
まふゆ「…天馬くん、おはよう」
司「ああ…おはよう」
思った通り、レストランは重苦しい雰囲気で満たされていた
そんなの当たり前だ
昨日、あんな事があったばかりなんだ
オレ達のリーダーだった宵崎が殺され、それをやったのもオレ達の仲間で…
しかも、その仲間もオレ達の目の前で殺された
そんな事があった後で、暗くなるなって方が無理だよな…
志歩「………………」
一歌「…志歩…大丈夫…?」
志歩「…大丈夫」
みのり「う…ほ、穂波ちゃん…奏ちゃん…ふぇぇ…」
愛莉「落ち着きなさいみのり…!気持ちはわかるけどそんなんじゃ…うぅ…っ」
咲希「……………」
咲希「あーーーもー!!」
咲希「みんな暗くなりすぎだよっ!!このままじゃここから脱出なんてできないよ!?」
えむ「さ、咲希ちゃん…?」
咲希「ほなちゃんもかなでさんも、みんなにここから出て欲しいって思ってるはずだよ!!」
咲希「アタシも悲しいよ…!大事な人が2人もいなくなるなんて辛いよ…!」
咲希「でもそれを乗り越えなきゃ、これからもずっとモノクマに振り回されるじゃん!!」
愛莉「天馬さん…」
遥「そうだよね…切り替えていかなきゃ、何も変わらないもんね…」
絵名「ありがとう咲希ちゃん。ちょっと落ち着いた…かも」
瑞希「うん!ボクもちょっと心が軽くなったよ!」
雫「アイドルがこんなに暗くなっていたらダメよね…!」
まふゆ「それに、草薙さんも言ってたよね」
まふゆ「今やるべきなのは『頑張ること』…って」
こはね「うん…頑張ろう、みんな!」
杏「おーー!!」
…みんな、ちょっとずつ笑顔になっているな
作り笑顔かもしれん、だが、今はそれでもいい
『頑張ろう』と思う気持ちがあれば、それでいいんだ
オレ1人だったら、こんな風にすぐ気持ちを切り替えることなどできなかっただろう
こいつらが…いてくれたおかげか
冬弥「…ところで、彰人と神代さんはどうしたんですか?」
冬弥「2人ともいないみたいですが…」
司「む…そういえば、見かけていないな」
絵名「ああ、彰人ならさっきホテルの周りで見かけたよ」
絵名「一応朝食に誘ったけど…やっぱ断られた」
司「まあ、彰人はいつも通りとして…」
杏「か、神代さんのことなんてどうでもいいじゃん!」
志歩「確かに、放っておいたらまた何かしそうだけどさ…」
瑞希「…言っておくけど…ボクは何も知らないからね〜〜」
杏「そうそう!もう忘れちゃおうよ!」
まふゆ「…あからさまに怪しいね」
瑞希「へ!?あ、怪しくなんてないけど!?」
杏「そ、そうですよ!」
モノクマ「どしたの?誰か誘拐でもされちゃった?」
瑞希「あっ!ちょうどいいところに!」
モノクマ「ん?ちょうどいいって?」
瑞希「あ、いや、こ、こっちの話だから…!」
モノクマ「よく分からないけど、ボクを欲してくれたんだね…」
モノクマ「ボクの可愛さに人生観を変えられて、ボクなしじゃ生きられない体になっちゃったんだね…」
モノクマ「しょ、しょうがないじゃないの…体が勝手に…反応しちゃうの…」
モノクマ「って感じ?」
寧々「…いいから、早く要件言ってよ」
モノクマ「実は、ボクも捜していましてね…いなくなっちゃったんですわ…大事な下僕が…」
司「下僕…?」
モノクマ「例のモノケモノですわ…一匹いなくなってしまったんですわ…」
…は?
モノケモノが…いなくなっただと?
モノクマ「餌を経費削減しすぎましたかね?ボイコットってやつっすかね?」
絵名「はあ…?ど、どういうこと?」
みのり「モノケモノがいなくなったって…え?」
モノクマ「むむ…まあいいや、オマエラもモノケモノの事は何も知らないみたいだし」
モノクマ「じゃあ悩んだって仕方ないね」
モノクマ「それにボクらの目は、前に進む為に付いてるんだもんね!」
モノクマは、どこかで聞いたことあるような言葉を残し、
またどこかへ消えてしまった…
愛莉「…ねえ、今の言葉…どう思う?」
冬弥「考えられる可能性があるといえば…」
モノミ「あのー、お取り込み中でちゅかね?お取り込み中でちたら出直しまちゅけど…」
杏「じゃあね」
モノミ「きゃあ!せめて優しく送り出して!」
冬弥「おい、帰る前に聞きたいんだが…モノケモノが消えたっていうのはどういうことだ?」
モノミ「あ、はい!そうなんでちゅ!」
モノミ「あちしがモノケモノをやっつけたんでちゅよ!」
司「お、お前が…か?」
こはね「あ、あんなモンスターを倒したの…?どうやって……」
モノミ「それは秘密でちゅ!」
モノミ「ついでに《《橋の門》》も開放しておきまちたよ!」
冬弥「つまり…その向こうの《《新しい島》》に行けるんだな?」
えむ「え!ほ、ほんと!?」
モノミ「えっへん!その通りでちゅ!」
モノミ「ね、これで行ける場所も広がったし、みんなで仲良く楽しく暮らそうね!」
モノミ「らーぶ!らーぶ!!」
雫「仲良くなるとかじゃなくて…島から帰る方法を探さないと…」
志歩「当たり前だよ。私たちの目的はこの島から脱出する事だからね」
モノミ「あれ…?」
瑞希「こんなはちゃめちゃなアクションストーリーは誰も望んでないからね!」
まふゆ「もっと平凡に…何も起こらない人生がいいな…」
えむ「よーしっ!早速行こー!!」
モノミ「な、なんだかあちしが思ってたのと違う方向に進んでる気が…」
杏「団結してるんだからこれでいいでしょ!」
一歌「うん…こんな状況で仲良く暮らすなんて無理に決まってるし…」
遥「とにかく、絶対にみんなで、ここから脱出しようね」
モノミ「そんなの…無理でちゅよ…」
司「…ん?」
モノミ「この島から出るなんて…そんなのもう無理なんでちゅって…」
司「おい…もう無理…って、どういう…」
モノミ「ぐすんぐすん…バイバイでちゅ…」
司「あ…っ!」
寧々「…ちょっと司…あんなぬいぐるみほっておきなよ…」
寧々「どうせあいつも、モノクマとグルなんだから…」
司「………」
司「そ、そうだよな…」
新しい島の探索…すでにみんなの意識はそちらに向かっているようだった
この状況を打開できる、何かが見つかることを期待して…
そしてオレ達は、レストランを飛び出した
---
この橋を塞いでいたはずのモノケモノが…いなくなっている…
それに、閉まっていた門まで…
司「あいつの言ってた事は本当だったんだな…」
この橋の先はどうなっているんだろうか…
司「行かないわけないよな…」
---
司「………」
司「…ここが、2番目の島か…」
司「ホテルがあった最初の島とは、なんだか雰囲気が違うな」
…なんて、呑気に感想など言ってる場合じゃない…
島から出る為の手掛かりがあるかもしれん。それを見つけなければ…
---
司「なんだ…この巨大な建築物は…!?」
古い遺跡のような…だが、それっぽくない形をしているというか…
冬弥「……………」
司「なぁ、冬弥…?」
冬弥「…あ、すみません…少しボーッとしてました…」
司「そ、そうか…それにしても、大きな建物だな。ここはなんなんだ?」
冬弥「廃墟か…遺跡、ですかね?」
司「遺跡…やはりそう思うよな」
司「だが、ただの遺跡じゃないよな?上手く言えないんだが…なんだか…」
冬弥「はい、不思議な建物ですよね…特別な場所って感じがします」
司「……特別な場所…」
冬弥「………………」
冬弥「ここは俺がもう少し調べてみます。司さんは他の場所をお願いします」
司「ああ、わかった。だが…あまりボーッとするなよ?」
司「ちゃんと調べて、何か分かったらすぐ教えてくれ」
冬弥「はい、任せてください」
---
司「ここは…図書館か」
ものすごい量の本が並んでいるな…
みのり「す、すごいすごい!本がいっぱいあるー!」
司「でも、なんか変じゃないか?リゾート地にこんな立派な図書館が必要だとは思わんのだが…」
みのり「うーん、それもそうですし…やっぱりここには誰もいないんですね…」
司「確かにそうだな…そっちの方が変だ。人がオレ達しかいないって…」
モノミ「てってれてー!モノミだよっ!ご本を読んでたんだー!」
モノミ「あ、ついでにこの図書館について説明してあげまちょうかっ?」
みのり「へ?あ、う、うん…」
モノミ「明らかに迷惑そうな顔でちゅね…うう、少し傷つきまちゅ…」
司「…で、説明ってのはなんだ?」
モノミ「ほら、ミナサンって学生でちょ?やっぱり勉学に励める施設も必要かと思って…」
モノミ「というわけで、この図書館を用意したんでちゅ!」
みのり「用意した…って、モノミちゃんが?」
モノミ「はい!そうでちゅよ!」
モノミ「えへへ、みんなで仲良くお勉強できまちゅね。学生さんはお勉強が本分でちゅからね」
司「…先生みたいな言い草はやめろ」
モノミ「あちしは先生でちゅ!!」
司「………………」
司「お前…モノクマ以上に訳がわからないな…」
司「なあ、お前の正体はなんだ?目的はなんだ?」
モノミ「しょ、正体って…そんな大袈裟な…」
モノミ「………………」
モノミ「さっ、さよならー!」
司「都合が悪くなるとすぐ逃げるところが…余計怪しいんだよな…」
みのり「さすがに、これだけの施設を用意したのがモノミちゃんなんて…考えられませんよねぇ…」
司「ああ…そうだな…」
みのり「《《この島の観光案内》》によると、ここは長期滞在する富裕層のお客さんが多いみたいなので…」
みのり「きっと、その人達が寄贈したものなんです!…多分!」
司「ちょっと待ってくれ!今、《《この島の観光案内》》と言ったか!?」
みのり「この図書館に置いてあったものですよ!見ますか?」
司「あ、ああ…」
司「…む、これは何語だ…?日本語以外は全くわからんのだが…」
みのり「あっちに翻訳機があったので、それを使って読みましょう!」
司「翻訳機まであるのか…」
みのり「えーっと…ジャバウォック島は、太平洋に浮かぶ小さな島で、風光明媚…?な常夏の楽園と呼ぶにふさわしい島…」
みのり「だそうです!」
司「ふむ、以前桐谷が言っていた事と同じだな」
みのり「ジャバウォック島は中央の小さな島と、それを取り囲む5つの島から構成される諸島です」
みのり「周辺の5つの島はリゾート地として開発され、中央の島には行政機関が集まる立派な建物が…」
みのり「って、あれ?」
みのり「おかしいなぁ…だって、ジャバウォック島の中央の島って…」
司「建物の形跡なんてなかった…よな、あそこには、モノクマロックと公園があるだけだ」
みのり「そ、それと、この観光案内には…」
みのり「その建物のロビーには、島を象徴する《《銅像》》が置かれているらしくて…」
司「ま、まさかそれは…!」
司「モノケモノになった…あの銅像のことか…?」
司「だが、あれは建物のロビーなんかじゃなくて、普通に公園のど真ん中に置いてあったぞ?」
みのり「それだけじゃないんです…他にも気になるところが…」
みのり「この島によると、5つの島を行き来する方法は《《定期船》》のみ…って…」
司「…え?」
みのり「橋の建設を希望する声もあるらしいんですけど、自然環境への影響を危惧して予定はしてないと…」
司「ど、どういうことだ…?オレ達が島を渡るのに使っているのは…」
みのり「………………」
みのり「うーーーん………」
みのり「あっ!もしかして、ここって人工島なのかも!?」
司「人工島…なるほどな」
司「つまりこの島は、ジャバウォック島に似せて作られた島ってことかもしれないのか…」
みのり「は、はい…だからこそ、この島に私達以外誰もいなくて…」
みのり「…なんて、流石にありませんよね…」
みのり「こんな大きな島が丸ごと人工島なんて…」
みのり「きっと観光案内が古くて…そのせいで実際の島の状況と違って…」
モノクマ「いやはや、人工島とはなかなか鋭い考察ですなー!」
みのり「わあああ!?!?」
司「こ、今度はお前か…!」
モノクマ「しかし、そんな大掛かりな事をやってのけたとなると…《《あいつら》》の仕業としか考えられませんね!」
司「あいつら…?」
モノクマ「ヒントは、オマエラも前に話してた《《巨大な組織》》ってやつだよ」
モノクマ「ふむふむ、確かに《《あの連中》》はそう呼ぶにふさわしい恐ろしい連中だよね」
司「おい…さっきから誰の事を言っているんだ?」
モノクマ「おっと、こいつは失言…ネットで広がる前にさっさと退散しよーっと」
みのり「あ…い、行っちゃいましたね…」
みのり「…まさか本当だったり…しない、ですよね…この島が丸ごと人工島なんて…」
司「ああ、そんな訳ない…その観光案内が古いだけだ…」
そうだ、そうに決まっている…変な事を言って、オレ達を混乱させようとしてるだけだ
絵名「これだけの図書館なのに、私達以外誰もいないとか…」
絵名「やっぱりこの島も無人島って考えてよさそう…」
それにしてもすごい数の本だよな…
実はかなり価値のあるものだったりして…
こっちの棚の本は…何語だ?イタリア語かフランス語か…それすらもわからんな
みのり「ふむふむ…」
司「なあ、花里は何を読んでいるんだ?」
みのり「オカルトマガジンの最新刊です!」
司「…ん?」
司「……そ、そうか…なんか意外だな」
みのり「い、いつもは読んでませんよ!今回はたまたま《《『ザ・殺人鬼特集!』》》だったからで…」
言い訳になっていない…
みのり「それにしても、この特集記事を書いた人はすごいですよ!」
みのり「あの『ジェノサイダー翔』も、ちゃんと特集に選ばれてますし…」
司「む…そのジェノ…なんとかって奴、聞いたことあるような…」
みのり「日本を代表する話題の殺人鬼ですから、知名度抜群です!」
みのり「ジェノサイダー翔は、絶賛売出し中の若手のホープで、現場に血文字を残す愉快な殺人鬼さんなんです!」
みのり「制服を着た女子高生だか女子中学生らしいので、司さんも気をつけてくださいね!」
司「あ、ああ…」
制服を着た女子高生だか女子中学生が、世の中にどれだけいると思ってるんだ…
みのり「あ、それとですね…これは私のお気に入りなんですけど…」
みのり「この《《『キラキラちゃん』》》なんかは、この特集だとお馴染みの常連さんなんですよね」
司「キラキラちゃん…?」
みのり「キラキラちゃんとは、正義の味方を自称する、シリアルキラーなんです!」
みのり「古今東西の様々なヒーローモノの覆面を被って、犯罪者を片っ端から殺しまくる痛快な殺人鬼なのです!」
司「は、花里…一旦落ち着け…」
みのり「その覆面のおかげで、キラキラちゃんは年齢はおろか、性別も不明なんです!」
みのり「ミステリアスさは殺人鬼に必要不可欠ですから、ポイントが高いですよね!」
絵名「ね、ねぇみのりちゃん…さっきから会話聞いてたんだけど…」
絵名「なんでそんな楽しそうに、殺人鬼なんかの話してるの…?」
司「オレは一方的に聞かされてるだけだ…」
みのり「『殺人鬼なんか』で片付けるのは間違いです!」
みのり「自分と違う価値観と触れ合うのは、とっても大切な事なんですよ!」
みのり「殺人鬼…凡人とは違う価値観を生きる幻想的な存在…」
みのり「きゃー!すごく興味が湧いてきますよね!」
絵名「…みのりちゃんってアイドルだった…よね?」
司「むぅ…ま、まあ趣味は人それぞれだからな…」
…だが、殺人鬼に憧れるのは違うだろう…
---
まふゆ「…………」
司「…朝比奈?」
まふゆ「あっ、天馬くん…」
まふゆ「ここ、すごいたくさんの薬品が揃えられてるよね…」
司「ああ…ドラッグストアみたいだな」
やはりここにも、オレ達以外に人はいないようだ…
まふゆ「うん…これだけの薬があれば、大抵の怪我や病気はなんとかなりそうだよ」
まふゆ「ふふっ、何かあったらすぐ相談してね」
司「それは助かるな。ありがとう、朝比奈」
---
ここは…看板にダイナーって書かれてるな
確か、レストランって意味だったか…?
一応中にも入ってみるか
司「…む…?」
あそこにいるのは…
彰人「あ……」
司「あ、彰人…!?」
彰人「…こっちは飯の途中なんすよ。どっか行ってください」
…待て、どうしてこいつがここにいるんだ?
さっきのレストランにいなかったこいつが、どうして新しい島の事を知ってるんだ?
司「なあ、なんでお前がここにいるんだ?この島に来れるってどうやって知ったんだ?」
彰人「聞こえませんでしたか?飯の途中です。邪魔しないでください」
彰人「…………………」
彰人「……お節介な奴が、勝手に教えてきただけだ」
お節介な奴…?
彰人「んで、ここを見つけて、腹が減ったから飯を食ってるって訳です」
彰人「これで満足っすか?早くどっか行ってくださいよ」
司「おい、そのお節介な奴って…」
彰人「あぁ?もういいだろーが…あんたには関係ねーっすよ」
司「…………………」
司「関係なくは…ないだろ…」
司「お前がどう思っているのか知らんが、オレ達はこの島から出られない同じ境遇の仲間なんだ」
司「それに、この島にいるのはオレ達だけ、協力し合わなくちゃ仕方ないだろう」
司「お前だって分かってるはずだ。それなのに…」
司「どうしてオレ達を避けるんだ?」
彰人「…別に、あんたらだから避けてる訳じゃねーよ」
彰人「オレは、誰にも頼らねぇって決めたんだ」
司「誰にも頼らない…?」
彰人「…俺は人に頼らなくても生きていけるんだよ」
司「は、はぁ…?」
彰人「もういいだろ、じゃあな」
司「お、おい…!」
強引に外に追い出された…
なんなんだあいつは…
---
ビーチ際に立ってる建物…海の家だと思ったが、それにしてはやたらと豪華だな
セレブ版海の家…ってところか
杏「ここってなんかこう…セレブって感じですよね!」
杏「シャワーが故障中ってのを除けば、雰囲気いいしドリンク飲み放題だし…」
杏「しかも、外のビーチもプライベートビーチって感じで…最高ですね!」
杏「都会の海もいいけど…こっちの方が私は好きだな〜〜…」
司「どうせこの島にはオレ達以外誰もいないんだ。どこもプライベートビーチだろう」
杏「それはそうなんですけど…」
杏「あ、じゃあ今度、こっちのビーチで海水浴とかしません?」
相変わらず能天気な奴だ…
まあ、それがこいつの長所なんだろうけどな
杏「えへへっ、こはねも来てくれるかな〜〜楽しみ〜!」
モノミ「海水浴!いいでちゅねー!」
杏「きゃあ!?」
杏「もう!毎回急に出てこないでよね!」
モノミ「も、申し訳ないでちゅ…」
司「…それで、何の用だ?」
モノミ「ああいや…そんなに大きな用事ではないんでちゅけど…」
モノミ「ビーチハウスでの着替えはNGなので、それだけは気をつけてくだちゃいね!」
司「そうなのか…」
杏「だったら、着替えてから来ればいいだけじゃん!」
モノミ「ルール違反は絶対ダメでちゅからね!それと、遊びもいいけど勉強のほうも…」
杏「あーはいはい分かったって!」
モノクマ「ど、どこだ!?ルール違反者はどこだ!?問答無用で吹き飛ばしてやる!」
モノミ「きゃーー!でたー!」
司「お、お前…何持ってるんだ…?」
モノクマ「はあはあ…もちろんマシンガンだよ…」
モノクマ「ルール違反者は銃殺ってのは、常識でしょーが!」
杏「どこの常識!?」
モノクマ「うう、撃ちたいよ…ダメとわかってるけど…今すぐ撃ちたいよぉ!」
モノミ「じ、自制して!」
モノクマ「なんとか…持ちこたえてみせる…鋼の精神力を持つボクが…誰かがルール違反するまで!」
モノミ「え、えーと、あのように大変危険なので…海の家でのお着替えはお控えくだちゃいね…!」
杏「なんか意味不明だけど…とりあえず、あいつらってほんとにめんどくさいですよね…」
司「ああ…なんかすごく疲れた気がするな」
ここはシャワールームか
ドアに張り紙があるな、英語で何か書いてあるが…
イラストを見る限り、修理中とか工事中とかそのへんだろうな
大量のドリンクが並んでる。水やらコーヒーやら…
だが、ほとんどが体に悪そうな色のジュースばかりだな
これは…ただで飲んでもいいのか…?
横にゴミ箱もあるが、今は特に捨てる物は持ってないな
これはクローゼットか…中は…
ふむ…ウォークインクローゼットのような、小さな倉庫になっているな
サーフボードなんかが棚に並んでるが…こんな状況でマリンスポーツを楽しめって言われてもな…
司「あ、そういえば…」
レストランで類の話になった時…白石、あからさまに動揺してたよな…
ちょっと聞いてみるか
司「なあ白石、少し聞いてもいいか?」
杏「ん?なんですか?」
司「ほら、類の件なんだが…」
杏「え…!?」
司「あいつ、まだ姿を見せてないが…お前は本当に何も知らないのか?」
杏「し、知りませんよ!神代さんのことなんて…!」
杏「というか、あんな人のことなんて忘れちゃいましょうよ!!」
杏「今はこの島から帰る方法を探すのが先です!手掛かり探しの為に来たんですから!」
杏「はい!この話終わりです!以上!」
やたら強引に話を終わらされたが…やはり怪しいな…
冬弥「あ、司さん」
司「おぉ、冬弥か…どうした?何か見つかったか?」
冬弥「えっとですね…」
冬弥「みなさんにも声をかけてるんですけど、この島にある《《遺跡》》まで来られますか?
司「ああ、わかった。すぐ行く」
冬弥「ありがとうございます」
この島から出られる手がかりを見つけた…とか、そういう話だといいんだけどな
…とりあえず…行ってみるか