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空に浮いたら。30
[祝]空に浮いたら。30話達成!!
詳しくは小説以外で出してるので見てください!
麗王が梨里と帰りながらずっと考えていたこと。それはやはり、彩花のことについてだった。
「前の世界の彩花とは違う...?記憶はないのだろうか...」
それが気になって仕方がなかった。それを確かめる方法があるのか、と。
そして家につくまでに生み出した方法は、『家に行ってみること』
この場所は前の世界での彩花の家に近い。麗王は一度行ったことがあった。
もし記憶がないのだったら、混乱するのではないのだろうか。
「行ってみるか...」
ガチャ。扉を開くと、おかえり!というように猫が出迎えた。
捨てられた猫を、麗王の母親が保護したものだった。
「母さん、ただいま。」
「おかえりなさ〜い」
麗王の家は母子家庭に近い。父親は居るが、ほとんど帰ってこないのだ。
「友達の家いってくる」
「友達?風ちゃんじゃないのね〜わかったわ、いってらっしゃい」
「うん。」
いつにもまして真剣な顔つきだた麗王に疑問を感じつつも、麗王の母は感情を崩し、麗王に向かって言った。
「落ち着いて、いってらっしゃい。」
ニッコリと輝いた笑顔は、麗王の緊張を和らげた。
「いってきます!」
ガチャ。ドアを開けた先は、いつにもまして輝いていた。
彩花の家は、少し遠いところにあった。
豪邸のような家が並ぶ中でも、一際目立つ家だ。
「ここらへん..?」
だから、その場所にいけばどの家かは一目瞭然だった。
よく覚えている。きれいなレンガの家。
「...行くか。」
すこし気を引き締め、インターホンに手を伸ばす。
ピーンポーン ピーンポーン
そんな単純な音が、絶望へのカウントダウンのようで、麗王は震えた。
『えっと...』
混乱したような声が聞こえると、名乗るより先に
「えっと....彩花さんかな?遊びに来たんだけど、いいかな?」
と言ってしまった。
(あ、名前...)
『もちろんだよ、唐沢くん』
今の彩花の一言で確信した。
彩花は前の世界の記憶が『ある。』