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向日葵(ひまわり)の君
花桜日楼
--- 「私将来はカイくんのお嫁さんになるの!」 ---
それが君の口癖だったよね。
生まれた病院が一緒で、生まれた日も1日違いで、親たちが親友で。
そんな境遇だった僕達はすぐに仲良くなった。
二人で散歩をしたり絵を描いたり折り紙を折ったり。
僕は大人しく室内でする折り紙や絵を描く遊びが好きだったけど君はとにかく
日向ぼっこやお散歩なんかの日の下で遊ぶのが好きだったよね。まるで向日葵みたいだった。
君はよく麦わら帽子を被っていたし、黄色やオレンジみたいな向日葵の色を好んでいた。
君を「向日葵みたい」って思えば思うほどそう思えて来ていて自分で思いながらも少し面白おかしかった。
ずっと仲がいいまま成長して僕らは高校1年生になった。
いわゆる「思春期」ってやつで僕らは高校1年生からあまり話さなくなったし、関わることも減った。
だけどある日君と話せる機会が舞い込んできた。高校3年生の夏の終わり。席が隣になったんだ。
そこからは早かった。同じ班になって、一緒に修学旅行に行って、二人でみんなと逸れっちゃって。
--- そして告白して付き合って。 ---
それぞれ自分の好きな職業につけて、子供も産んで愛をめいいっぱいあげて育てることもできた。
子供は育てるのが大変だったけれどとっても優しいこに育って成人式に友人と並んで歩いていた時は感動ものだったよね。
子供が独立して嬉しくも寂しい二人だけの日々が戻ってきた。
おばあちゃんになっても君は太陽の下が好きだったね。君との散歩がその時の一番の楽しみだったよ。
でもそんな幸せなある日君はお日様の匂いがするベットの上を最後に、お日様の方へ行ってしまった。
コーン…コーン……お皿のようなものを叩きお経を唱えてから、
和服を着たお寺の人が君を火の中に入れて白くした。
「ありがとう大好きだったよ」
「キミはいつも向日葵みたいで下ばっかり向いていた僕に上を向かせてくれたね」
「孫の顔が見れなくて残念だったね」
「また一緒にお散歩しようよ」
「君は今どこにいるかなぁ…?ここに居ると嬉しいなぁ…。」
とにかくたくさんのことを話した。
君は享年82歳。もっとたくさん話したかったけれど大丈夫だよね。
また僕が死んだ時に会おう。この地球の土地の遥か上。
君がいる________________太陽が近い向日葵畑で。
カイくんの名前の由来は貝細工からきています。
貝細工とはアンモビウムの別名です。
アンモビウムの花言葉は『不変の誓い』。
彼の誠実さが疑えますね。
こんな初心者の小説を読んでくださりありがとうございました。
また短編を書く機会があったらお会いしましょう。
それでは。