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音のまま演じ切れ #6
タイトル変えました。
https://tanpen.net/novel/27893f84-db11-411c-b6cf-900652647fb7/
↑ここに夢主のビジュ載せた! 私が描いた奴もあるよ。
**第六話 珍しく、花を**
「……っふぅ……」
おれには今、超大事なイベントが待ち受けている……。
そう__挨拶!
(おれ、挨拶しようとするとなぜか声が出ないんですよね……もうこれは一種の不治の病っす)
でもまだ、勝機はある。
知り合いと教室に着くまでに出会わなければ、その間に(超絶小さい声で)発声練習できる!
「あっ、おはようございます」
(ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛っ!!)
【 #名前# は た か く ら さ ん に で あ っ て し ま っ た ! 】
「……っ……ぉはようございマス……」
緊張してカタコトになってしまう。
(あぁあ馬鹿っ! なんで挨拶すらできねぇんだおれはぁ!)
沈黙だけは耐えられないので、なんとか話題を探る。
「ぇっとぁ、き、昨日はありがとうございました……」
「あっ、いや……そのくらい当然ですよ」
なんでお礼を言っているのだろうか、と顔に書いてある。
(ヤバい、なんか泣けてきた……持つべきは心優しい友っすね)
「ところで、前に高倉さん、なんか変身してませんでした?」
「え? あぁ、あれは__」
高倉さん曰く、綾瀬さんと話してたら心霊スポット、UFOスポットに行く流れになったそうだ。
そしたら高倉さんはターボババアに呪われ、綾瀬さんはセルポ星人に服やスマホや諸々の所持品を壊された。
とりあえず綾瀬さんに行って着替えたが、今度はフラットウッズモンスターに出会う。なんとか倒した。
綾瀬さんのお婆さんと特訓をしてから、高倉さんの呪いの元のターボババアがいるトンネルに行き、倒した。
その後、高倉さんにターボババアが乗り移ってたことに気づいて叩き出した結果、ターボババアは招き猫に。
しかし余程頑張ってしがみついていたのか、ターボババアの意識だけが出て行ったのだそう。
つまり、力は高倉さんが持っている。それで、変身ができたらしい。
「へぇ……! そんなことが起こり得るんすねぇ」
目を見開くおれに、高倉さんは頷く。
「はい。それで今に至ります」
「あっ、だからおれが描いたフラットウッズモンスターの絵を見て、『そっくり』って言ったんすね」
「……?」
「あぁえと、『そっくり』って普通、実物を知らないと言わない言葉じゃないっすか。だから、ちょっと引っかかってたんすよ」
「あ、なるほど! 確かにそうですね」
「それと、ターボババア状態のときってどんな感じなんすか?」
「え? うーん……難しいですけど、強いて言うなら__」
「__あ〜。なるほどっす!__」
「__あのときも大変で__」
「__え、えぇ?!__」
「__結局、見られる羽目に……__」
「__……お疲れ様っす__」
それからしばらく、会話に花を咲かせていた。