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シロツメクサに思いを込めて。 4.音を出すな。
早く進めたいのにタイピング遅すぎて進まない()
中谷鈴音side
先生を含めた全員が座ってもう10分。
流石に、この状態に疲れた。
物音は1つもしない。
息だって、ひっそりと、だ。
目の前のある花さんは動かない。
死が確定した。
そういえば…
他の学年は…?
確か、隣の二年生の教室が、下に一年の教室があるはず。
物音ぐらい聞こえるだろう。
じっと耳を澄ましてみる。
…が。
何一つ聞こえない。
なんか行事あったっけ…。
私の中でドッキリ説が浮上してきた。
いやいや…流石にないだろ…。
頭の中で自分の案をかき消した。
ついに、頭がおかしくなったか、、、。
ひとつ、
沈黙を破る音が聞こえた。
「あっ!」
沈黙を破ったのは、、|山形 共屋《やまがた ともや》だ。
「あのさ、他のがくね…ん……は………?」
話しながら力なく倒れていく共屋。
どうやら、私と同じことを考えていることを考えていたらしい。
誤った点はただ一つ。
声を出してしまったこと、それのみ。
私は、出来るだけ視界内に共屋が入らないように顔を背けた。
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少なくとも、座り始めて25分は経った。
時計を見る気力すら残っていなかった。
考えることは、「なぜ、こんなことをするのか。」ただ、それのみ。
主催者は、どうやら「ジュウロク」という人物らしい。
周りも、段々と顔から明るさが消えてゆく。
教室には死体が二つ。
どうして、この二人はこのような目に遭わなければならなかったのだろう。
疑問が駆け巡る。
この時、とある視線に気がついた。
ジーッと見てくるのは、、、|上見神矢《じょうけんしんや》だ。
その視線は、ただ見ているだけではない。
まるで………
「お前が音を出せ」
とでもいうような、刺々しい視線。
誰も逆らうことのできないような、強気の視線。
私は、まだ神矢と話したことはない。
だが、その視線の理由はわかっていた。
神矢だって、人間なのだから感情というものはある。
それは、「生きたい」という感情。
だが、自分が生きるためには誰かを蹴落とさなくてはならない。
誰を蹴落とすか。
先生は、抵抗があるのだろう。
そうすれば、クラスメートの誰か。
あと一人が音を出せばこのゲームは終わるはずだから、誰か一人を選ぶ。
そうなった時、たくさんの時間を過ごした級友より、話したことのない転入生を選ぶだろう。
クラスメートといえど、一度も話したことがなく、接点なんてないに等しい。
それなら罪悪感なんて出てこない。
そんな思考でもしたのだろう。
私は、はぁ、と心の中でため息を吐く。
転入して少し経てばデスゲームが始まるだなんて、最悪だ。
---
また、少し時間が経った。
前にいる日向は少し体を動かした。
もちろん、音を立てずに。
だが、その反動で机の上にあったペンケースが落ちそうになる。
え、これ、、、日向が罰を受けてしまう…!
私は、本能で動いた。
見返りだなんて求めない。
ただ、人としてやらなくては!と身体が動いたのだ。
私がしたのは…
「落ちそうなペンケースを受け止める」こと。
ペンケースは、落ち始めた。
せめて、地面に着く前に…!
神に願うような気持ちで手を伸ばす。
「…っ!」
幸い、ペンケースは受け止めることができた。
しかし…
受け止める時、机にぶつかって声にならぬ声が出た。
あぁ…。
私は自分の死を覚悟した。
人のために善を尽くして死ぬ。
この死に方なら…いいか。
私は残されたほんの数秒を大切に感じていた。
「うっ…。」
うめき声。
それは私の声。
……
ではなかった。
え?と思う。
なぜ?と問うと同時に、スマホがメールの着信を知らせる。
件名:シロツメゲーム
内容:第一ゲームが終了しました。これ以降、声、音を出していいこととします。
なお、第二ゲームの内容は1時間後にお知らせします。
学校の敷地外に出てはいけません。食事、入浴等は全てこちらが準備いたします。また、外部への連絡も禁止です。スマホは、生徒及び先生との連絡、地図、時計など、機能を絞らせていただきます。
それでは、ご自由にお過ごしください。
なお、死体回収は致しませんので、焼くなり煮るなりご自由にどうぞ。
ジュウロク。
--- END ---
このメールで分かったことはいくつかある。
一つ目、第二ゲームもあること
二つ目、制限がかけられること
三つ目、ジュウロクが残酷であること。
私は、ため息をついた。
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「花あぁぁぁっ!」
「共屋ぁ。おい、なにしてんだよぉ〜…、、今日遊ぼうって誘ってくれたじゃねぇか…。」
「叶斗……!なぁ……、ドッキリとかさぁ、いいんだぜ?ほんと…。お前、そういうタイプでもねぇのにさ…。」
私は目の前に広がる光景になんとも言えなくなった。
これが現実か?と疑いたくなってくる。
パンパン!と、手を叩く神矢。
皆が注目をする。
「このゲームで、青葉花、山形共屋、平崎叶斗が罰を受けた。
原因は心臓麻痺だそうだな。
この3人より、優先するべき人がいると思ったのだが…、」
ジーッと私を見る。
「何!?転入生の鈴音なら良いと思ったの!?」
「凛花…」
「そんなことは言っていない。寧ろ、凛花がそう思ったのではないか?そんなことを言い出すだなんて。」
「はぁ?ウッザ!神矢は悲しみよりも安心の方が大きいんでしょう!?自分が死ななくてよかったぁ、って。友達を亡くした人のことも考えなよ!なんでそんな堂々と出来るの!?」
「凛花、いいよ。」
手で制する。
どうやら、、此処の関係はあまりよろしくないみたい。
私が罰を受けなくて、叶斗が罰を受けた理由としては、私が声を出す前、叶斗は机にぶつかったらしい。
今回は、「声」を出すな、じゃなくて、「音」を出すな、だからね。
私は、クラスメートが亡くなったことを悲しみ不謹慎ではあるが、ほんの少しだけ安心していた。
続く。
ひゃー、第一ゲームが終わっちゃいましたよ…。
こっからどうなるのやら…。