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#05
レイラが食堂に飛び込んできたとき、ザンカはまさにカツサンドを仕上げているところだった。
「ザ、ザンカ!」
目を輝かせながら駆け寄るレイラに、ルドが呆れたような顔で後を追う。
「なんだよ、さっきまであんなに機嫌悪かったくせに!」
レイラはルドを無視して、ザンカの作業台に視線を釘付けにする。
「カツサンド、ホンマに作ってくれたん?」
「お、おう。ちょうど今できたとこじゃ」
ザンカが差し出した皿の上には、こんがりと揚がったカツが挟まれた、分厚いカツサンドが乗っていた。
レイラは無言でそれを受け取ると、大口を開けて豪快にかぶりつく。
「んんん!やっぱこれやないとアカンわ!」
満面の笑みでカツサンドを頬張るレイラを見て、リヨウとエンジンが顔を見合わせる。
「やれやれ。朝のカツサンドが、レイラの機嫌のバロメーターなのね」
「まったくだ。あいつの機嫌を直せるのはザンカだけか」
呆れ顔のルドがザンカに声をかけた。
「おい、ザンカ。お前、あいつの機嫌の取り方、よくわかってるな」
「まぁな。昔から、これでどうにかなるから楽なんじゃ」
ザンカはそう言いながら、レイラの隣に座った
その様子を見ていたルドは、少しだけ羨ましそうな表情を浮かべる。
(俺も、いつか…)
そんなルドの視線に気づいたリヨウが、そっと声をかける。
「ルド、大丈夫よ。いつかあなたにも、そういう特別な人ができるわ」
「な、なに言ってんだよ!」
ルドは顔を赤くして反論するが、リヨウはからかうように笑うだけだった。
食堂には、カツを揚げる音と、カツサンドを頬張るレイラの幸せそうな音、そして仲間の軽口が響き渡っていた。
🔚