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7.クランは、初見の魔物(見た目:鬼)に遭遇する
そして、寮に戻った。
残っている自由時間は、あと三日。四日後に始業式。そして、さっき知ったことだけど、闘技大会があるらしいわね。
ランク上げに興味があるわけではないけれど、大会ならちゃんと結果を残さなくてはね。そう決めたのだから。
その前にちょっと戦ってみたい気もするのだけど……別にしなくても良さそうね。
それなら何をすればいいのかしら?
……分からないわ。
それならまずは、散歩でもしましょうかしらね。
そして、わたくしはは眠りについた。
そして翌朝。パス券を使って朝食を食べ、部屋に戻った。
「あら?」
その前の廊下、そこで荷物を運んでいる少女がいた。
「こんにちは」
「あ、こんにちは」
返事を返してくれたわ。
「今日、こちらに来たのかしら?」
「はい」
「そうなのね。わたくしも来たのはこの間よ、留学生なのね」
「そうなんです! ……何年生ですか?」
「一年生よ」
「一緒だ! ……ですね」
「普通に喋っていいわよ?」
「分かり……分かった」
うん、素直で良い子だわ。
そして、わたくしは部屋に入った。
……名前を聞くのを忘れてしまったわ。でも、いずれ分かるわよね? お隣の部屋のようだもの。
そして、散歩に行くことにした。
まずは、学園の裏の森。一応広場を通ってみたけれど、誰もいなかったわ。
森を、奥の方まで進んでみる。
「……魔物がちゃんといるのね」
驚いたわ。
安全のため、と言って魔物がいないようにするものだと思っていたわ。
もうしばらく、ただ進む。魔物を葬りながら。
「?」
流石におかしくないかしら?
魔物の推定討伐人数が上がっているのは別にいいのよ。いえ、外側ではなく内側に向かっているのだから問題ね。
この森に終わりはあるのかしら?
そんな風に思いながらも、ガベストラージのような推定討伐人数五百人の魔物が出てきたわけではないので、先へと進む。
……昼になってしまったわ。
今日は弁当を持ってきていないのよね。
仕方ないわよね。サリアには悪いけれど、魔物の肉でも食べることにしましょう。
魔物の肉って、美味しいものが多いのよね。
ちょうど、推定討伐人数九十人のヌクガットが出てきたので、さっそく狩って、焼いて食べる。
「うん、美味しいわね。味気がないけれど」
これからは塩でも持ち歩こうかしら?
食べ終わり、さらに進んでいく。
だんだんと推定討伐人数百五十人ほどの魔物が現れるようになってきたわ。
さて、次へと進みましょう。
――カサッ
音が、聞こえた。
ちょうど魔物が来てくれたのね。貴重な素材を持つ魔物だったら嬉しいのだけれど。
そう思って、その魔物を見る。
「……え?」
何よ、この魔物。
頭に|角《ツノ》のようなものがあって、二足歩行で歩いている。
二足歩行なんて珍しいわね、何て思うのだけれど、この魔物の名前が分からない。
……これは、完全に推測するしかなさそうね。
けれど、手には棍棒を持っているみたいだし、魔法を使うわけでは無いわよね?
油断は禁物だし、決めつけも駄目だけど、ひとまずは魔法で攻撃してみましょうか。
「火よ、焼き尽くせ」
火は、確かに発動した。だけれど、火が消え、出てきたところにいたのは、無傷の魔物だった。
「水よ、切り裂け」
水も、確かに発動した。だけどそこにいるのは無傷の魔物だった。
……聞いたことがあるわ。
どこか遠くに、魔術しか通らない魔物がいる、と。
また、それと同じ様に、魔術がまったく通らない魔物がいる、と。
これは後者のうちの一種かしらね。
ああ、こんなことだったらあの本に目を通しておけば良かったわ。
まあこうなってしまったものは仕方がない。
大人しく剣で攻撃するとしましょうか。流石に聞くわよね?
わたくしが剣を出すと、その魔物も相対してきた。
よし、これで集中できるわね。
一閃!
試しに、棍棒を切ってみる。
――カキン
見事に跳ね返されてしまったわ。
この棍棒、かなり丈夫なようね。棍棒を避けながら、それ以外を狙う必要があるみたいだわ。
まあだいたいこの魔物のことは分かったわ。
ここからは本線よ。
そう決意を新たにしていると、魔物の方から攻撃をしてくれたわ。
――カキン
……危険ね。少しでも油断すると、剣が折れてしまうかもしれないわ。
しばらく、わたくしの防御が続いた。
魔物は未だ、攻撃をやめる様子を見せない。
これは、わたくしが攻撃側になるよりも、隙をついて攻撃をするほうが良いかもしれないわ。
そう頭を切り替えて、受けることに集中する。
厄介な魔物ね。力強くて、隙がありそうに見えるのに、実際はあまり隙がない。
「ふふふ」
だんだん楽しくなってきたわ。頑張って隙を作りましょう♪
まずは、油断をさせることからね。
そう割り切って二分がたった。
そろそろかしら? わざと、隙を見せる!
そこよ! 一閃!
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!」
そして、首を切られ、魔物は倒れた。
……さて、この魔物、どうしましょう?
始めてみる魔物だし、この国の人に聞いておいた方がいいわよね? きっと答えが返ってくるでしょう。
今は何の魔物かが分からないのが不便だけど……
説明が大変だわ。これごと持って帰ろうかしら? ええ、きっとその方がいいわよね。
よし、これからが決まったわ!
上機嫌なまま、クランは体重の倍以上であろうその魔物を引きずり、学園の方へと向かうのだった。