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君と過ごす一週間。
ドロドロしてない小説初めて書きました(
内容おかしいかもだけど許してください(
20××年、3月7日。
私達三年生の卒業式まで残り一週間。
卒業式の練習を朝から一日中やる事になった。
そんな私はまだ教室に行けていません。
何故なら‥
「好きです先輩。俺と付き合ってください。」
名前も知らない後輩に告白されているからです。
♢
「‥ごめんなさい。時間間に合わなくなるので‥」
「分かりました。ではまた明日来ます。」
それだけ言って後輩くんは校舎の中へと戻っていったが、私はとある言葉に引っかかっていた。
「また明日??」
そう、彼は「また明日来ます」と言ったのだ。
引き上げが早かった理由は明日も来れるからという理由だろうか‥だとしても迷惑だ。明日から早めに学校に来よう。
♢
二日目。
「おはようございます先輩。俺と付き合ってください。」
「ごめんなんでいるの??」
門が空く前に来たはずなのに、既にそこにいるのは何故だろうか。学校に着いた瞬間目があったんですけど。
「先輩がいつ来てもいいように昨日も朝早くからスタンバイしてました。」
「なんかこわ」
「不快にさせてしまったなら謝ります。俺と付き合ってください。」
「ごめんなさい、私君の名前すら知らないので。」
「自己紹介してませんでしたっけ?」
「出会ってすぐ告白でしたよ。」
「では自己紹介を。」
そう言い彼はポケットから何かを取り出した。
「名前は|佐々木 海斗《ささき かいと》。|夢望《むもう》高校二年一組生徒で帰宅部所属。身長171cmで先輩の好みの身長にあっているかと。好きな食べ物はカレーヌードル、嫌いな食べ物は白滝。得意教科は社会で、苦手教科は理科。理科は先輩の得意教科なので是非教えて下さい。先輩に去年一目惚れして、その時からずっと追いかけていました。」
「ごめんストップ」
「はい」
「去年一目惚れしたの?」
「はい」
「なんで今頃告白するの?」
「する気になったので」
「遅いね」
「ありがとうございます」
「褒めてないよ」
「あ、門が開く時間ですね。先生が来る時に先輩に抱きついててもいいですか。」
「駄目です」
後輩くん‥改、佐々木くんから逃げていたら門が開き、先生に変な物を見るような目で見られた事になんとも言えない感情を抱き、後輩くんを見たらもう校舎に入ろうとしていた。
「ではまた明日。」
それだけ言ってまた解散だった。
学校来てまだちょっとだけど既に帰りたい。
♢
三日目。
「先輩、俺と付き合ってください。」
「ごめんなさい。」
「そうですか。」
彼の告白を断った理由は決して嫌だからではない‥いや、確かに毎日毎日嫌ではあるけれど。
私が困る理由は今彼に告白されている場所にあるのだ。なにせここは三年生の教室前廊下。同級生が大量にいる中で恥じることなく告白してきている。これは断らない訳にはいかなかった。
「ではこの薔薇一本だけでも受け取ってください。」
「まぁ‥それだけなら。」
流石に申し訳なかったので薔薇だけ受け取った。てかよく学校に持って来れたな。普通にバレそうだけど‥
「ありがとうございます。先生の没収から守り抜いてよかったです。」
やっぱり没収されかけてるんだ。
「では今日はこれで。また明日。」
彼は自分の教室に戻る階段へ向かっていった。
話す事だけ話したらすぐ帰るのは、私の迷惑を考えているのか、それともそれ以外に話すことがないのか。なぜだかわからないけど、迷惑なのに変わりはなかった。
♢
四日目。
「おはようございます、付き合ってください。」
「ごめんなさい。」
彼は今日も飽きずに私に告白。
何故こんなに振っているのに告白し続けるのか逆に気になったので聞いてみることにした。
「今まで好きですしか聞いてないんだけど、私のどこが好きなの?あとどこで惚れたの?」
「お伝えしてませんでしたっけ」
「何にも聞いてないね」
「そうでしたか、ではお話ししましょう。」
そう言い彼は手帳を取り出した。
「先輩と初めて出会ったのは去年の4月19日8時18分、入学式前に体育館の扉前でお話ししました。」
「ストップストップ」
「はい」
「なんでそんな細かく覚えてるの?」
「手帳に記録しました。今までこんなに心臓が痛くなることはなかったので‥」
「そ、そっか‥」
「まぁ恋じゃなくて病気だったんですけど」
「は!?」
話を聞けば、彼はもう直ぐ死ぬらしい。
残り一週間と、そう医者から言われたらしい。
「あでも一週間前って言われたの、先輩に告白される前日のことだったので丁度卒業式の日に死ぬ予定です。」
「嫌だなそれ」
「死体になっても応援してます」
「なんか嫌だよ」
そんな会話をしていたら予鈴がなり、また明日で解散となった。
もうすぐ死ぬ人間と一緒にいるの嫌だな。
♢
五日目。
「おはようございます。付き合ってください。」
「ごめんなさい。」
「一つ聞いてもいいですか?」
「どうぞ」
「俺のどこがそんなに駄目なんでしょうか。」
「もうすぐ死ぬところとか」
「どうしようもないですね」
「だから諦めてください」
「それは無理です」
「なんで?」
「最期だから付き合いたいと思ってるんです。俺このままじゃ未練たらたらで先輩に取り憑いちゃいますよ。」
「やめてほしいな」
「じゃあ付き合ってください」
「ごめんなさい」
彼は先生に呼ばれてどこかへ行ってしまった。
明日は土曜日。卒業式は日曜日。
彼が死ぬのも日曜日。‥まぁ、
「私には関係ないことだけど。」
♢
六日目。
「こんにちわ先輩。俺と付き合ってください。」
「ごめんなさい。」
「寂しいですね」
「でもごめんなさい」
「振られて寂しいです。でもそれが先輩ですよね。」
「どういうこと?」
「俺が惚れた先輩も、誰とも付き合おうとしない先輩でしたから。最期まで振り向いてくれないのは初めから分かっていました。」
そう彼は表情を動かさないで喋る。
初めて会った時から思っていたけど、佐々木くんは無表情すぎてロボットのようだ。ロボットはこんなしつこく告白しにこないと思うけど。
「その通り。私誰とも付き合う気ないから。」
「ですよね。じゃあ、今日は薔薇を三本プレゼントします。」
「前もくれたよね薔薇。」
「前渡したのとは別で扱ってくれると嬉しいです。花瓶も別々で。」
「なんでよ」
「先輩が自力で答えに辿り着いてください」
「えぇ‥なんか調べたら出てくるわけ?」
「はい。でも明日まで調べないでください。また明日告白しに来ますので。」
「‥まぁ、わかったよ。」
「では、また明日。」
佐々木くんから手渡された二本の薔薇を見つめる。本数に意味があるんだろうけど、生憎私はそういうのに疎い。調べなきゃその意味に気づけないが、明日まで調べないと言ってしまった以上調べるわけにはいかない。きっと調べてもバレないんだろうけど、自分でなんか許せなくなりそうだから調べないのだ。
綺麗な薔薇だし、部屋の雰囲気良くなるから少しありがたいかも。佐々木くんには感謝かな。
「ちょっと|羽咲《はざき》さん!その手に持ってる薔薇はなんですか!」
やっぱり佐々木くんに感謝することなんてない。
♢
七日目。卒業式本番の日。
「ちょっと|美都《みと》〜、一緒に卒業写真撮ろ〜!」
「うん、今行く。」
結局、卒業式前も卒業式中も卒業式後も佐々木くんは来なかった。私のスマホに着信が来ることもなかった。私の目の前に、その姿はなかった。
「美都顔硬すぎ〜!(笑リラックスしてよ〜!」
「ごめんごめん、はいチーズ」
「‥よっし!ありがとね美都〜!」
「うん。‥私、もう卒業しちゃったのか。」
なんだかよくわからない。
今までずっと卒業したかったけど、何だか急に卒業したくなくなってきた。もうこの学校に登校することはないと、そう思ってしまったから?
‥それから少し待ってたけど、佐々木くんは現れなかった。いなくなってくれてありがたい。もう二度と会う事もないし、二度と話すこともない。毎日告白されるあの地獄からやっと解放される。
なのに、
「先輩。」
どうして会っちゃったのかなぁ。
「死体で祝ってくれるんじゃなかったの?」
「やっぱその姿を目に納めてから死にたいと思ったので、最後の力を振り絞って会いに来ました。」
「てか、本当に死ぬの?元気に見えるんだけど。」
「まぁその内死ぬんじゃないんですかね。」
「いつも他人事みたいに話すけど、死ぬのが怖くないの?」
「えぇまぁ。人間いつしか死にますし。俺の場合、ちょっとそれが早かっただけなので。」
「ちょっとじゃないと思うけど。後悔とかはないの?この世界に留まりたいって思うようなやつ。」
「二つだけあります。」
「一つは想像つくけど、もう一つは何?」
「昨日の続き、薔薇を渡したいです。」
「また薔薇?」
「はい」
「‥今回は何本?」
「四本です。昨日と同じように、今までのと別々で管理してください。本数に意味があるので。」
「やっぱそうだよね。」
「はい。ではどうぞ。」
「‥ありがとう。で、もう一つは?」
「先輩と付き合いたいです。」
「やっぱそうだよね」
「でも、『コイツもうすぐ死ぬから付き合ってやるか』とか考えないでください。」
「なんでよ」
「俺は先輩を振り向かせて付き合いたかったんです。先輩は俺の事好きじゃないのに、それで付き合ったら死んでも取り憑いちゃいます。」
「やだね」
「ですよね。でも俺死んでも取り憑いちゃうくらいには先輩が好きなので、どっちみち取り憑きます。」
「それも嫌だな」
「だから今まで通り振ってください。」
「‥」
「好きです先輩、俺と付き合ってください。」
元々YESなんて言う気なかったし、言われなくても振るつもりだったんだけど。佐々木くんがそれを望むなら始めと同じように振ってあげる。
「ごめんなさい。もう帰らなきゃなので。」
「そうですか、では‥」
佐々木くんは今までと変わらない無表情で、今までと同じ言葉を言う。
「また明日。」
私は貰った薔薇を握り締め、今まで何気に言った事がなかった言葉を言う。
「‥また明日。」
また明日、会えたら会いましょう。
♢
3月15日9時25分。
卒業生は今までの振り返りで高校に来ていた。
一年生と二年生は自分の階でいつもと変わらず授業中。私達は元三年生の教室で、元自分の席に座りながら元担任の話を聞いていた。
なんにでも「元」がつくのは少し寂しいかもしれない。小学校や保育園のことも「元」がつくのに、この学校での事に「元」がつくのはなんだか嫌だった。
今までと同じように二時間目の後、少しの休み時間があった。私達が来たのは二時間目の初めからだから一時間目みたいなところもある。一二年生に合わせると、三時間目まで話を聞いて帰宅。
一二年生も休み時間になったはずなのに、休み時間の度に感じていた騒がしさが隣になかった。
「美都?外ばっか見てどうしたの?」
「‥ううん、なんでもない。」
どうせ死ぬなら会いたくなかった。
これは恋じゃない、恋してた訳じゃない。
悲しくなる恋なんてしたくないから。
また会えるんじゃないかって思ってた。何か奇跡でも起こって、また学校で会えるんじゃないかって。結局、会えなかったけど。
君は出会った時からずっと、私に取り憑いちゃうくらい、私の事好きなんでしょ。
なら、この言葉も聞こえてるはず。
「君の事が、ちょっとだけ好きだったよ。」
疑いたくなるほど真っ直ぐな君が、
少しだけ好きだったよ。