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※第一部完結ネタバレ注意
「──楽しくなさそうね、リア」
「やぁ、エリス嬢。疲労のほうが少し勝っているだけですよ」
ふーん、とエリスは興味がなさそうに頬杖をつく。
「“えがお”が少ないから?」
「……それもある」
「大変ね、ニンゲンって」
「笑ってくれませんか、エリス嬢。多分あなたの“えがお”だけでも、私は救われる気がします」
「しょうがないわね。今度美味しいケーキ屋さんに連れてって!」
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……あぁ、エリス嬢が笑ってる。
教会の中で一人、私のために笑ってくれている。
エンバーマーとして仕事があるのは、マフィアにとって良いことではない。
それこそ、天人五衰事件での被害が私の仕事と比例しているから。
でも、そうだな。
ポートマフィアは内部を吸血種に蚕食された。
この弱体化の隙をついて、きっと他組織は動き出す。
厳しいだろうな、今の状態では。
私にできることは少ない。
けど、いつも通り“えがお”を求めるだけではいけない。
スリーブ・ヴィクトリア。
エンバーマーとはいえ、ポートマフィアの構成する内の一人。
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「リア?」
「悪いね、エリス嬢。私は少し抜けさせてもらうよ」
首領によろしく、とヴィクトリアは席を立って教会を一人立ち去った。