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ある人形と少女の記憶
初めて会った日のことは今でも鮮明に覚えている
あれは、雨の日だった
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カランカラン
「いらっしゃいませ」
入ってきたのは、五歳くらいの小さな女の子だった
私とよく似て、黒い髪が長くて目の色が紫色だった。
「ママ!ほんとに何でもいいの!?」
「ええ、好きなもの選びなさい」
きっと、誕生日プレゼントだったのだろう
その女の子は、しばらく店内をキョロキョロした後、こっちに一目散に駆け寄ってきた
「ママ!このお人形さんがいい!」
「あら、綺麗なお人形さんね。でも本当にそれでいいの?」
「うん!このお人形さん、スーラと似てるもん!」
その女の子は『スーラ』と言う名前らしかった
「そんなに気に入ったのなら買いましょうか」
「うん!」
当時の私にとって、誰かに買われることは嬉しかった。
しかし、この先の未来で、私は必ずしもそんなことはないと思い知ることになる
だが、その日から私が幸せだったのは事実だ
『スーラ』と遊ぶうちに人間の言葉の意味を理解するようになり
それと同時に他人から聞いた言葉を理解してしまい、絶望する日もあった
それでも諦め切れなかったのは、やはり彼女のおかげだったのだろう
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それから数年が経ち、彼女は小学6年生になった
その頃には、私ともあまり遊ぶ暇がなくなっていった
そのため、私は押入れに仕舞われるようになっていた
暗く、薄汚れたあんな場所に
当時はまだそこまで汚れた場所が嫌いではなかったから大丈夫ではあったが、今思い出すとゾッとする
ある日、押入れの外からドタバタと物音が聞こえた
私は急いでいるだけだろうと気にも留めなかったが、
押入れの中のものが次々となくなっていき、引っ越すのだとわかった。
もう家には人の気配はなかった
忘れ去られたのだろう
気が付くと、押入れの中は私と私の体を隠すように積み上げられた空箱があるだけだった。
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それから何週間か経ったころ、不動産の業者が来て、家を掃除し始めた。
私はその頃には髪は痛み、目は変色していた。
押入れの中のものも次々取り出され、私が持ち上げられた時、
業者は一言、
「汚い人形だな…」
と呟いた。
それから私はあの工場へ送られ、綺麗に直された。
彼女が今どこにいるか、私は知らない。
きっと、彼女は私のことはもう覚えていないだろう。
それでいい。また飽きられてあんなところにしまわれるよりは何倍もマシだ。
_ただ。
ただ、もう一度だけ。
彼女に…スーラに、会う事ができれば。
私は、それ以上は望まない。
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ミーフィ:「シャルルお兄ちゃんとライルお姉ちゃんは?」
シャルル:「俺は、外に行く。」
ライル:「私も…行くよ。」
周りがどよめいた。
ライル:「何よ。私が外へ行くことのどこが変だっていうの?」
アレン:「君がその選択をすることが意外だったからさ。」
ミーフィ:「めんどくさーい!って言うと思った!」
ライルはそっぽをむきながら。
ライル:「ほっといてよ。」
そう言ってそそくさと工場の敷地外へと歩き出した。
一筋の光を求めて。
書くの遅れて本当に申し訳ございませんでした!
最後はSuiさんの小説の一部をコピーさせていただいております…