公開中
妖怪双子の事の次第 5
「あーぁ、また破れちゃった」
「お前へったくそだなぁ」
巳太郎がひらひらと破れたポイを振る。ねずみ男はここぞとばかりに巳太郎をからかう。そして金魚は我関せずとひれを揺らして泳いでいる。
「すくってもすくっても逃げられる」
「すくえたと思ったら紙が破れる」
鬼太郎が新しいポイを巳太郎に渡しながら言葉を繋ぐ。
「すくったのが金魚だったらいいけどね」
巳太郎は鬼太郎を見た。悪戯な笑みがあどけない頬に浮かぶ。
「すくったのが自分の顔だったら?」
「お面だったら?」
2人は水面を覗き込む。
「水に誰が映ってる?」
「君?」
「僕?」
「ねぇ、君は何をすくったの?」
金魚が水面下に踊って波紋ができる。2人の顔が揺れて消える。
「金魚?お面?それとも」
2人は声を揃えて言う。
「嘘?」