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君に、恋する。(9)
私、菜乃葉。
「杉本 蓮」くんに恋をした小5女子。
今日は、土曜日。
それも、|いつもとは違う《特別な》土曜日!
なんでかというとね…
今日は、なんと…杉本くん家に遊びに行けることになったの!
朝からドキドキ、ソワソワ。
あれは、昨日のこと。
「ねえ」
学校で杉本くんが話しかけてくるのは初めてだった。
「な、なに…っ?//」
まず、学校で男子が私に「ねえ」っていってくることさえ、小学低学年以来だ。
すると唐突に聞かれた。
「明日、予定空いてる?」
「え、ええと、は、ハイ」
返事、おかしくなっちゃったよ…
「ならよかった!明日、10時から3時まで、うちで遊ばない?昼は弁当持ってきてね!あと、チャイも連れてきて!」
「え!?う…うんっ!//」
私は満面の笑みで答えたんだ。
そして、今。
うう〜、やっぱ緊張する。
男の子の家にこの歳で1人で行って、2人きりで遊ぶなんて。
それにその人は好きな人。
夢、みたい…
どき、どき、どき…
じ、時間だ…!
今はちょうど10時。
私は恐る恐る、目の前に立つ杉本くん家のドアチャイムボタンに手を伸ばす。
ぽち
「ピーンポーン」
「ガチャッ」
「こ、こんにちはー…お邪魔しまーす…」
そろ…と足を1歩進める。
すると。
「あらー、あなたが菜乃葉ちゃん?はじめましてー。蓮が女子を家に連れてくるのは初めてだわね。」
「は、はじめまして!菜乃葉ですっ!」
杉本くんのお母さんらしき人に出迎えられた。
杉本くん家の玄関はおしゃれで、ちょっと西洋風だった。
杉本くんの小さい頃の写真や、動物などの置物が飾られていた。
「わぁ…」
少し見とれてしまった。
「どうぞ、あがってね。」
「ありがとうございます!」
杉本くんのお母さんに、クッキーをもらって、そのまま杉本くんの部屋に行った。
「カチャリ」
チャイのキャリーケージを開けると、チャイは恐る恐る出てきた。
私がドアチャイムを押すときのように…
そして、ニャー太を見つけると一直線に駆けていき、スリスリした。
「「仲良し…」」
それからはお菓子を食べたり、公園に行ったり、ニャー太やチャイと遊んだり、ゲームしたり…
たくさん、たくさん遊んで、今日は解散することになった。
「楽しかった」
私は呟き、杉本くん家の玄関のドアを、ゆっくりと開けた。