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うちの子劇場~浮気は犯罪です!~
「りょ、料理できたよ~」
「ありがとう騎士ちゃん」
「いえいえ~。ご、ごゆっくり?」
騎士ちゃんはぎこちない表情をしている。
今日買ってきたお肉を部屋において、逃げるように去っていった。
「で、トトちゃん」
「なあに?」
「浮気って犯罪なんですよ?」
そう。トトちゃんは浮気をした。
「|代理《わたし》いるじゃん!何考えてるの?私、トトちゃんが考えてることは手に取るようにわかるんだからね!?」
トトちゃんが考えることは我々うちの子には手に取るようにわかるのだ。
本当に自分のことを必要としているか、ちゃんとわかる。
「本気で考えたわけじゃないの。だって、代理ちゃん地味―」
「だからぁ!」
思わず机をたたいてしまった。
大きい音とともに皿がガチャリと音を立てる。
トトちゃんが目を見開いた。
「私が代理って言ったばっかりじゃん。まだデザイン公開もされてないからね!?」
「だから本気じゃないって…」
「デザイン公開されてなければ代理変わっても問題ないとか思ってる?」
私のビジュアルは未公開。
ちょっとデザイン変えましたーとでもいえば、代理のデザインが変わった弊害は0だ。
私が地味だというのは知っていたけれど、それで突き通そうとしたのはトトちゃんだ。
せっかく手に入れたこの立場を逃すわけにはいかない。
「本気じゃないとか言って、今日一生懸命キャラデザ考えてたじゃん。なんでそんな嘘つくの?」
「どうせ性癖ちゃんも作りたかったからちょうどよかったんだってば」
「そうやって正当化してさ。はるちゃんの立場はどうなるの?」
「それは…」
私もはるちゃんも代理の座を捨てられたらうちの子の中でもニートとして居座ることになる。
それは避けたい。
「やるなら私たちのこと作らないでよ。代理っていう夢見せないで」
自分でも驚くほどの冷たい声に、胸がバクバクと音を立てた。
「やだ」
「はぁっ?」
沈黙の後、トトちゃんは嫌だといった。
「はっな、なんで?」
「だって、新しい子のほうが可愛いんだもん」
立て続けにトトちゃんは話し出す。
「代理ちゃん地味だし、代理ちゃん生まれたのは代理として活用しようじゃなくて別の方面だから。そこ勘違いしないでほしい。空きがあったから代理でもいいかな?っておもったけど別にほかのかわいい子がいるならそっちにするもん」
「な、え、えぇ…」
「別に、代理ちゃんが一番の最頂点の座ってわけじゃないから。代理ちゃんは代理ちゃんで、ほかのやることがあるでしょ?」
「それはっ!言わないでって」
余計なことをいうトトちゃんに胸が泡立つ。
言っていることに正当性はあるけれど、そういうことじゃない。
そうじゃないのだ。代理ちゃんの立場が欲しいんじゃない。
確かに代理ちゃんの座はうれしいけど、それ以上に。
自分が妥協案だったことに怒っている。
「代理ちゃんは代理ちゃんで、私にとっては必要なんだよ。代理っていう立場は人に見られる立場だから、もっと合う子がいると思うの。別に代理ちゃんが妥協案なわけじゃないの」
なんだか悲しくなってきた。
トトちゃんはトトちゃんなりに考えていたけれど、やっぱり分かり合えないと思った。
「私はいろんな人に会ってみたかった…」
「代理じゃないだけでうちの子枠で会えるよ」
え、まじ!?
それは聞いてない!
「うちの子枠!?」
「うん。ほら、小説だって出してるし…」
「まじかいやったぁあああ!許すねトトちゃん!!ありがとう!」
悪かった機嫌は一瞬にして治りました。
代理ちゃん、変わるかもしれないですw
終わりそうになかったから無理やり終わらせた