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星々が永遠に輝きますように
読み切り④です。最近日記ばっかりですまそ
ーーーあっ。流れ星だ!
キラ、と空が光る。「私」は咄嗟に目を瞑って、お願い事を考えた。そういえば、流れ星が光ってる間に願い事を3つ言ったら、それが叶うんだっけ。
ーーーえっと、お母さんの病気…?が、治ります
よーに!
お母さんは、「私」が物心ついてからずっと病気なの。ううん、病気っていうのかな?でもね、お金もないから「私」もお母さんも、ずっと我慢して生きてきたんだよ。お願いしたら、我慢しなくて済むよね?黒いスーツのお兄さんたちも、家に来なくなるよね?
ーーーそれから、おともだちのももちゃんが学校に来ますよーに。
ももちゃんはね、学校でいじめられてからずっと家に閉じこもってるの。一緒に遊んでくれないしね。いじめっ子たち、みんなどこかへ行っちゃったから、もう学校に来てもいいんだけどなぁ。友達、ももちゃんしかいないんだよ。また会いたいなぁ。
ーーーあとあと、私の心の「穴」も、埋まりますよーに!
なんでだかわかんないけどね。お母さんが病気になってからずっと、「私」の心には穴が開いてるらしいの。全然、埋まらないの。でもね、星を見てたらね、少しだけ、穴が小さくなるんだよ。でも、何が欲しいか分からないの。ねぇ、「私」、何が欲しいの?何が足りないの?
ーーーそれから、あれも、あとあれも。これも…
穴が開いてると苦しいの。
そうだ、わかったよ。「私」、未来がないんだ。お母さんも、ももちゃんも、大切な人はみーんな、離れてっちゃうものね。お母さんも、近いうちに死んじゃうでしょ。
でもそれは空もおそろい。いつかきっとこの星たちは、消えてなくなっちゃうものね。永遠に生きられる保証なんてないもの。
「私」、知ってるのよ。大切な人がいないと、人って生きられないんでしょ。苦しくなっちゃうんでしょ。そんな「私」なんか、近いうちに死んじゃうんでしょ。未来がないんでしょ。
神さま、どうかお願い。私のお願い事、ちゃーんと叶えてよね。叶えてくれなきゃ、神様なんてもう知らないからね。
ぱっ、と目を開けたら、流れ星はもうなくなって、空には雲がかかってた。1分も経たないうちに、朝日が浮かび上がってきた。
あぁ、ごめんなさい、神さま、ごめんなさい。
流れ星が流れてる間だけだもんね。たくさんお願い事しちゃった。欲張りな「私」をどうか許して。そして星たちよ、どうか「私」の願いを聞いて。
神さま、時間オーバーしちゃったけど、さっきのお願い事、ちゃんと叶えてよね。
70年も、80年も経っても、星たちは、「私」は変わらず輝き続けている。
そっか。未来がなくても、生きていられるよね。輝いていられるの。そもそも未来なんて、誰にも分からないもの。
でもね、「私」もうすぐここからいなくなるかも。天国に引っ越しちゃうかも。
でもきっと、星たちはまだまだ生きていられるよね。いつまでもキラキラ輝いていられるよね。
星と人は似ているもの。自分が輝けば、他の誰かを照らすことができる。それが長い間できるのは、あなたたちだけなんだよ、お星さま。
星だっていつか消える。分かりきったことだけど、ーー人々を照らすことさえもできるのなら、
どうか、
ーーー星々が永遠に輝きますように。
自分で言うのもなんだけど美しい話でしたね。