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大きな栗の木の下で
わがはい
500文字作文
九月もあとすこし、大きな木陰に入ると、まだ夏の名残みたいな温かい光が首筋にあたります。でも時折、辺りを吹き抜ける風の中には、ほんの少しだけ鼻の奥がツンとするような秋の冷たさが混ざっていました。温かいのにどこか寂しくて、なんだかとても穏やかな心地がします。見上げると、大きな葉っぱの隙間から木漏れ日がこぼれて、足元でゆっくり揺れていました。
あなたは、覚えていますか。幼い頃の僕たちは、この濃い影の下で「なかよく遊びましょう」と手拍子を合わせていました。あなたと、わたし。たったそれだけの世界で、こんな時間がずっと続くのだと当たり前に信じていた気がします。
手を重ねたときのぬくもりも、あの歌の意味も、大人になるにつれて少しずつ忘れてしまいました。それでも毎年、秋少し手前の夏の暑さが残る季節になると、僕はふとあの栗の木の下で感じた日向の暖かさを思い出します。もう二度とあの場所には戻れないけれど、あの静かな木陰だけは、今も胸の奥で柔らかく残っているのです。どうか、あなたが今過ごしている場所にも、あの優しい光届いていますように。