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4.依頼
--- ♢ No side ♢ ---
依頼人の前にコトリと置かれた紅茶のカップ。
依頼人は自分の膝の上で強く拳を握りしめていた。全身に力が入っていて、緊張しているよう。
「‥紅茶でも飲んで力を抜いてください。力を込めたまま話すのは、感情的になりやすくてあまりよくないですから。」
紅茶を指しながら優しく喋るシェリア。
アレルがシェリアの横にお盆を持って立っていた。依頼人は二人の事を見て、紅茶のカップを手に取った。
「‥」
一口だけ飲んだ後、震える手で紅茶を机に戻し、やっと全身の力を抜いた。
「‥それで、依頼の内容というのをお話頂けますか?ゆっくりで大丈夫ですので。」
「‥妹が、」
依頼人はポツリポツリと語り出す。
「妹が行方不明だったんです、少し前から。それで探して欲しくて。‥だけど、ヴィスに寄生されてたらどうしようと考えてしまって。」
「‥妹さんの捜索・ヴィスに寄生されてないかの確認が依頼内容という事ですね。」
「はい。‥あの、依頼代はいくらでしょうか?」
「依頼代は受け取っておりません。僕自身、金銭を使ったやり取りが苦手なもんで‥問題になりやすいじゃないですか、そう言うの。」
「そうなんですね、有難いです。」
依頼人は初めより楽になったような表情になり、微笑んでいた。
「では、今日から全力で探しますので見つかり次第ご連絡させてもらいます。」
「はい、有難うございます。‥お待ちしています。」
依頼人はソファから立ち玄関へと向かい、一度頭を下げてから外へ出ていった。
「‥さて、誰を連れて依頼に応えようか‥」
「なんかゲームみたいな台詞ですね。仲間選びの時の。」
「確かにそれっぽいけど凄い急だね。」
「依頼内容にあってそうな人を連れてくのがいいですよね‥」
「スルーしたね。そうだなぁ‥」
「‥あの、《《エフ》》さんの能力使ったらすぐ終わりませんか?」
「確かに!」
「だけど疲れるんだよなぁ‥」
「そうですよね‥って、エフさん!?」
「やっほ〜、ついさっき依頼終わって帰ってきた!」
「おかえり〜、どうだった?」
「やっぱりヴィスの住処になってました。全員潰してきましたけど。」
「流石うちの社員!給料ないからタダ働きだけど!」
「凄いブラック会社ですよねここ。」
「‥あの、エフさんを連れてくのは確定ですか?」
「いや、連れてかないよ?」
「え」
「だって今さっき帰ってきたのに今から働かせるなんてブラックブラック!」
「給料ない時点でブラックですよ。」
「うるさいよ‥取り敢えず、エフは連れてかない!僕らが不在中に依頼人が来たら対応してもらう担当!」
「了解です!さて三徹後にしてやっと睡眠だー!」
「お疲れ様ですエフさん‥」
エフは扉を開けて自室へと向かった。
「そして代わりにコイツを召喚!探し物に便利な能力者・《《オスカー》》!」
「‥」
呆れ顔でアレルの後ろに立っていたのはオスカー・インペリアル。いつも顔色が悪い。
「相変わらず顔色が悪いですね‥大丈夫ですか?」
「あぁ、ただの二日酔いだ。」
「いつも二日酔いなんですか!?」
「そうだが?」
「そ、そうなんですね‥」
「‥で、オスカーくんは今から出れる?」
「一応出れるが、少し休みたい。」
「OKOK、じゃあ六時になったら依頼解決に動こうか。アレルくんも準備しといてね!」
「わかりました‥!」
リビングから皆が消え、自室へ戻る。
この世はヴィスへの恐怖でいっぱいだ。
救いなんてない。
それでも彼らは救いを求める。
メーデー。
悲しき少年少女に救済を。
本日お借りしたのは
Sui様の「オスカー・インペリアル」さん、星守伊織様の「エフ・リヴァラ」さんです‼︎
・https://tanpen.net/novel/c171b3e6-d90b-4b48-be05-ee79f9cf558f/
・https://tanpen.net/novel/3ecb7f39-7db8-490a-a20d-225a4099e59b/
ありがとうございます‼︎
登場が遅くなるキャラが多いですが、必ず登場させますので‼︎ありがとうございました‼︎