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妖怪双子の事の次第 4
砂かけ婆に怒られた双子
「また怒ってるの?」「また叱ってるの?」「またって同じことだよね」「同じことを言ってるんだね」「同じことって意味あるの?」「同じことって楽しいの?」
双子は砂かけ婆を見上げ、いつもの言葉遊びを始めた。
「砂って同じところにしか積もらないよ」「一回払ってまたすぐ積もる」「積もるからまた払って積もる」「同じだね」「同じだよ」「さっき親の顔が見たいって言ってたね」「僕たちの親見たことないのに」「僕たち親を見たことないのに」「なのに育ったよ不思議だね」「不思議だよ」「見えない親の方が優しいかも」「見える婆の方が怖いかも」
にぃ、と双子が笑う。
「だから婆は砂をかけるの?」「見えないようにするために?」「誰の目を見えなくするの?」「僕ら?」「みんな?」「それとも自分?」「目が痛いよね」「目が痛いんだよ」
双子は砂かけ婆ににっこりと笑いかけ、下駄を鳴らして去っていった。
砂かけ婆は一言も言い返せず、唖然として立ち尽くしていた。