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第三章 初任務のお知らせ
僕がディアドさんと出会って、ん~……三日くらい経った。
僕が身体としているこれ……ミリュニカの肉体に入ってからは、僕の中の語彙?が増えたみたいで、ディアドさんに敬語を使わないとまずいかなぁと思うようになった。『敬語』なんて知らなかったし、そう考える自分にも驚いた。
僕の今の格好は、服はディアドさんが買ってくれたものだけど、それ以外はミリュニカの元の格好のまま。髪型も、僕もディアドさんも詳しくないから、ずっと三つ編みのままだ。
「お邪魔しま~す。……お~い、師匠?」
玄関の方から、誰かの声が聞こえて来た。このアジトには僕とディアドさん以外住んでないから、ディアドさんに用があるんだろう。僕は師匠なんて呼ばれる柄じゃないし。
「師匠、また居留守ですか?そんなだから依頼も来ないんで──」
誰かさんが僕がいる場所……リビングまで来て、僕と目が合った。男性っぽい?
「う、うわあぁぁぁ!!だ、誰だよ!?不法侵入者か!?」
「だ、誰って……貴方こそ誰ですか!僕はディアドさんの許可をもらってここにいるんです!このぉ、不法侵入者!」
僕がそう言い返すと、その人は驚いたように僕を見た。僕が言い返すとは思ってなかったらしい。
「……取り敢えず、ディアドさんに会ってみてはどうですか?僕はミリュニカです」
「……お、おう。俺はルーヴィッド・シャルバンクだ」
そう言って、ルーヴィッドさんはディアドさんを探しに廊下に出て行った。
それにしても、ディアドさんに弟子がいたなんてね。霊術師だっけ?あの仕事って、割と人気なのかな?
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ドタドタ、廊下を走る音が聞こえる。うるさいなぁ。
「お、おい、ミリュニカ!依頼が来たぞ!」
バアンとドアが開けられて、ディアドさんが叫んだ。うぅ。うるさい。
人間の肉体を使うようになって少し人間に親近感が湧いたけど、こういうところはまだ嫌いだ。
「電話で依頼されたんだ。今までは依頼されても断るしかなかったが、これからは依頼を受けられるぞ!ルーヴィッドも、見習いとしての仕事が出来るぞ!」
「やりましたね師匠!師匠、俺に師匠の実力を見せてくださいよ!」
ディアドさんとルーヴィッドさんが興奮して話している。聞く方の僕の身にもなって欲しい。
「いや、今回は、ルーヴィッドとミリュニカに行ってもらおうと思う」
「な、師匠!?俺、まだまだ未熟ですよ!」
「なんでですか!ディアドさんは行かないんですか?」
「……ルーヴィッドは、まだ高校生だが、才能で言ったら俺を上回ってる。ミリュニカは、協力関係さえどうにかすれば、ルーヴィッドとうまくやれるはずだ」
ディアドさんは、そう言うと、ルーヴィッドさんと何かを話し始めた。専門的な話みたいで、僕には全く分からない。
「……初任務かぁ」
こんなに早く、しかもほぼ初対面のルーヴィッドさんと。嫌ではあるけど、でも、……少し、楽しみだ。