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I love you forever.
⚠︎死ネタ⚠︎
ー苦手・嫌いな人は今すぐ戻ってくださいー
読む際はご注意ください。
ご本人様にはご関係ありません。
岩本side
__「|保《も》って半年ですね」
信じられなかった。
俺の隣で、ふわっとした笑みを浮かべる蓮が、半年後にはもうここにいないなんて。
---
「れんっ…」
「どーしたの、照くん」
「どーしたの、じゃねーよ……なんで、なんで、、っっ」
「ごめんね?」
「っ…なんで先に逝くんだよ…」
目黒蓮。
同じグループのメンバーであり、俺の大切な人。
スケジュール帖をみても、明らかに他のメンバーよりも多い「目黒蓮」の文字。
毎日、早朝から深夜まで、ドラマや映画の撮影、テレビ番組の収録、雑誌、CM……
いつの間にか蓮は、発症例が極めて少ない、治療方法の無い病気にかかっていた。
発見されるまでは遅いくせに、発症した後は進行がめちゃくちゃ早い。
夜遅く帰ってきて、「ごはんはいいかな」って疲れた顔で笑ったあの日。
朝、全然起きれなくて遅刻しかけたあの日。
ふと見た彼の顔がありえないくらいに痩せこけてたあの日。
考えれば、どの瞬間だって病気に気づくためのヒントが隠されていた。
「俺より…なんで先に……っ」
「約束、破っちゃったね」
「…っ、」
「蓮、いなくなるの…?嘘だよな…?」
「嘘……だったらよかったけどね」
「やだよそんなの……なんで…っ、なんで気づけなかったんだよっ…!!!」
「照くん」
「…っ、?」
「照くんがさ、寂しくなんないように、100日分のビデオメッセージ、遺そうと思う」
「…ビデオメッセージ、?」
「うん。そしたらさ、何回でも見れるでしょ?」
「…じゃあ……」
---
**Day.1**
今日から、蓮と俺の100日間が始まる。
少し震える手でスマホを起動すると、定時に送られるように設定されているビデオメッセージ「照くんへ Day1」があった。
タップすれば、画面いっぱいに笑顔の蓮が映ってた。
「照くん、やっほ〜。元気?」
「ちゃんと眠れた?朝ごはん食べた?お仕事行った?……心配ばっかりだね」
そうだよ、自分の体を心配しろよ…
「今日から始まるね、俺たちの100日が。…100日目を迎える頃には、俺がいないって思うと不思議だけどさ、最後まで見てほしいな」
ふわりと微笑む蓮は、どこか儚かった。
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**Day.34**
蓮が補助無しでは歩けなくなってしまった日。
それでも、画面の中の蓮はにっこりと笑顔で。
「照くん!ねぇ聞いて?」
「今日の病院食、マジで美味しかったの!病院だとは思えないくらい!!ほんとにさ、めっちゃ美味しくて感動したよ>⸝⸝⸝<」
ふっと笑みがこぼれる。
「…でもさ、…たまには照くんと一緒にご飯食べたいな。わがままでごめんね?」
次の日、俺は蓮と一緒に俺特製のおにぎりを食べた。
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**Day.50**
今日でちょうど半分。
画面の中の蓮は、目を向けたくなくなるほど痩せてて、でも笑顔で。
「照くん!!…」
「今日ね、夢に照くんが出てきたんだよ。一緒にデート行ったの!!」
「どこだと思う?」
蓮が大好きだったあの海岸。
一緒にあそこに行っては、海ではしゃいで、潮風にあたって。
「…もう分かったって顔してるね?そう!」
「あそこの海行ったの!懐かしくて、ほんと泣いちゃいそうだったよ〜」
「何回も何回も行ったよね、あそこ。楽しかったな>⸝⸝⸝<」
泣いちゃいそうなのはこっちだよ、蓮。
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**Day.88**
88日目。
今日は、蓮が声を出せなくなった日。
大好きだったあの声は、もう聞けない。
しんどくてたまらないのに。
それでも、画面の中の蓮はにこやかに話している。
「照くん!!今日は88日目…雪だるまだね!!」
「…今日は辛い日かな?」
未来のことなんかわかってないはずなのに、当ててくる蓮。
「俺がいなくなってもさ、気にしなくていいから。」
「しんどい時はしんどいって言って、泣きたい時は思いっきり泣いちゃえばいい。泣いたら蓮が悲しんじゃう、とか。そんなこと考えなくていい。むしろ、我慢してる方が俺にとってもしんどい。」
「…お願いだから、俺がいなくなっても前を向いて。……でも、俺のことは忘れないで欲しいな。」
蓮。
お前だって、しんどい時はしんどいって言ってよかったんだよ。
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**Day.100**
ついに最後のメッセージ。
手が震えて、震えて。
もうすでに目頭が熱い。
見たくないけど、見るしかない。
「…照くん、今日で最後だね」
掠れ気味の蓮の声。
声が出なくなる直前に撮ったらしい。
「今までさ、100日間も俺のわがままに付き合ってくれてありがと。なんかさ、照くんのためだとか言ってこのビデオメッセージ撮ってたけどさ、…ほんとは俺のこと忘れないでほしかっただけ」
痩せた顔に浮かべる、儚くて美しい表情。
その表情だけで俺は涙をこぼした。
「俺がいなくなっても、好きな人ができたら好きになっていい。心から愛してあげて。」
「最後に。これだけ、伝えさせて。」
「だいすきだよ、照くん。どこにいても愛してるし、絶対忘れない」
「また逢おうね」
画面が暗転する。
ぶわりと涙が溢れ、止まらなかった。
壁に掛けてある、蓮と俺の最後のツーショット。
すっかり姿が変わってしまった蓮が、最後に頑張って行くって言って、あの海岸に無理やり行った時の写真。
彼はもういない。
その事実が、胸を苦しいほどに締め付ける。
けど、ビデオメッセージは終わっていなかった。
「SnowManの想い出」
意味ありげな一言を添えて、ビデオメッセージは終了した。
---
**Day.101**
朝。
ふんわりとした光が、カーテンの隙間から差し込む。
ダブルベッドからむくりと起き上がり、ぼーっと天井を見つめる。
「…れん、おはよ」
返事は無い。
俺の隣に、ぽつんと黒い枕が置かれている。
いつも、夜は互いに向かい合って、きゃっきゃと話しながら寝て。
朝、目が覚めればそこには蓮の可愛らしい寝顔があって。
今はもう、いないけど。
その事実だけでまた涙がこぼれて止まらない。
ピロン♪
可愛い通知音が俺のスマホから鳴った。
通知のバナーをみると、蓮からのメッセージだった。
「…蓮、⁉︎」
慌ててスマホを開くと、
『照くんへ Day101』
と言うビデオメッセージが送られていた。
急いで開こうとするけど、パスワードがかかっていた。
ヒントは無し。
8桁の数字の羅列ってことしかわからない。
初めて出会った日、初めて話した日。
告白した日、一緒に同棲することにした日。
病気が判明した日。
いろんな日付を思い出せる限り思い出して打ち込んでいくけど、
*「パスワードが間違っています」*
の文字しか返ってこない。
「蓮…なんなんだよ、…パスワード……」
そう言って、最後に撮ったツーショットの中の蓮を見上げる。
「ねぇ蓮、教えて?」
ふわりと風が吹くだけで、
返事はなかった。
101日目のメッセージを、101日目に見ることはなかった。
---
**A year later**
今日は蓮の命日。
迎えた一周忌。
ここまでの一年間、蓮が遺してくれたビデオメッセージに救われて生きて来れた。
そして、101日目のメッセージは分からずじまい。
昔、よく一緒に通った桜並木を歩いて、蓮が眠るお墓へと向かう。
大小さまざまなお墓が並ぶ中、見覚えのある一つにたどり着いた。
「蓮」
そよ風が駆け抜けていく。
蓮の大好きだった海の香りのするお香。
美しい花。
お水を張ったあと、一緒によく飲みに行ったタピオカをお供えした。
「蓮がいなくなって一年だね。相変わらず寂しいけど頑張ってるよ。…ねぇ、蓮」
しばらく間を置く。
「だいすきだよ。好きな人ができたらその人愛していいって言ってたけど、それでも蓮が一番だよ。愛してる」
その声を掻き消すように、少し強めの春風が吹き、桜の花びらが大量に舞った。
『花びらすごーい!!!!』
『子供かよw』
『え、だってすごいじゃん』
『すごいけど』
『来年も見れるといいね』
『変なフラグ立てんなよ』
『人っていつ亡くなっちゃうかわかんないじゃん』
『…まぁな』
『でしょ?だから今伝えとく。愛してるよ、照くん』
『俺も。愛してるよ、蓮』
『ふふっ、何やってんだろーね俺ら』
『なっ…お前が始めたんだろ』
『まぁいいや。このあとタピオカ飲みに行かない?』
『タピオカいいね!最近飲んでなかったし』
どこからか、2年前の俺らの声が聞こえてくる。
……一年後のこの時期は、蓮のお葬式やら何やらでバタバタしてて、この桜を見ることは無かったんだけど。
気づけば、視界が涙で霞んでいた。
「蓮、見てる?…今年も咲いたよ、桜」
「お互い、花見してる場所は違うけどさ……今年は見れたね」
ふわりと優しい風が吹いた。
---
家。
なんとなく今日の日付をパスワードに打ち込んでみるが、間違っていますと突き返された。
蓮とよく作ったチョコバナナサンドイッチ__板チョコとバナナを食パンで挟んでトースターで焼いたやつ__をふたつ分、久しぶりに作って食べた。
「蓮、…美味しい?」
チョコを唇の端っこにつけて、美味しいって笑う蓮の姿が浮かぶ。
『めっちゃ美味しい。これ考えた照くん天才でしょ!!!』
「そっか。…ねぇ蓮、そろそろパスワード教えてくれないかな」
すると、後ろからかたん、と音が鳴った。
一瞬びくりと肩をすくませ、そのあと後ろを振り向くと、SnowMan9人で撮った集合写真が傾いていた。
「…なんだ」
写真の傾きを直そうと手を伸ばし、向きを戻す。
ふと、写真の右端に書いてある文字に目が止まった。
*Snow Man 2020.01.22 debut‼︎*
「デビュー日………デビュー日…!!!!」
なんとなく分かってきた俺に、核心をつく言葉が脳裏に浮かんだ。
100日目のビデオメッセージの最後の一言。
『SnowManの想い出』
「蓮…」
急いでメッセージを開き、見慣れた
「照くんへ Day101」の*パスワードを解除してください*画面を開く。
震える手で『20200122』と打つと…
「照くんっ!」
弾むような声がスマホから聞こえてきた。
「蓮…!」
「照くんのことだから、パスワード解除するの時間かかったんじゃない?」
「…当たり?」
「…っ」
「まずは解除おめでと。そして100日間って言ったのに101日目作っちゃってごめん。わがまますぎだよね」
「わがままでも、どうしても伝えたいことがあってここに遺した。……照くん、俺が病気だって分かっても、どんなに痩せ細っても、歩けなくても、話せなくても……愛してくれて、ありがとう」
はらりと、一筋の涙が蓮の痩せた頬を伝った。
ビデオメッセージで、蓮が初めて見せた涙。
「お礼に、この言葉を遺すね」
「…生きて。俺がいなくても精一杯生きて、前を向いて。そして……笑いたい時は笑って。泣きたい時は泣いて。疲れたら疲れたって言って。楽しむ時は楽しんで。好きな人ができたら愛して。………それでも、俺のことは忘れないでほしいな。…だめかな、」
「照くん。…いつまでも愛してるよ」
“I love you forever”
日本語に訳せば、「いつまでも愛してるよ」。
俺が蓮に告白した時、なんかカッコつけたくて英語で言った言葉だった。
「れん…っ、」
「俺も……いつまでも愛してるよ」
---
⁇⁇⁇side
「や〜っと見つけてくれた」
「見つけるのに時間かかりすぎだよ、照くん」
「…」
無言で泣き崩れる彼を見守る。
「懐かしいなぁ、『I love you forever』」
「運命的だよね。…俺の命日も、初めて出会った日も、告白してくれた日も、そして__」
『もう一度、君に恋する日も一緒だなんて』
ふわりと桜の花びらを乗せた風が吹いてきて、まばゆい光に包まれながら視界は閉ざされた。
|Because you find this message, I fall love again.《君がそれを見つけてくれたから、もう一度恋に落ちる》
I love you forever.
~~Fin.~~
Continue.
*❀〜❀〜❀〜❀〜❀*
春風が桜を連れてくる。
この時期に、君と出会い、君に恋に落ち、君は風となった__
そして。
そんな時期に横断歩道ですれ違った彼は、そんな君にそっくりだった。
「覚えてますか?……『I love you forever』」
すれ違いざまに耳元で囁かれた声は君にそっくりで、何よりその言葉は____
伝われ〜!!!…って感じです(笑)