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日🔥と雷⚡️の使い手、鬼になりました。 壱
「じゃあ…鬼のもとへ行こう。」
善逸のその言葉に、炭治郎は静かに頷いた。
「…ああ、そうだな。」
二人は、人間としての自分に背を向け、決して戻れない道へと歩き出した。
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人気のない山道に現れたのは、一体の鬼だった。
瘦せ細った体に異様な目つき――
その鬼は、にやにやと笑いながら二人を見下ろす。
「ここに、美味そうな鬼狩りがいるなぁ…」
その目が炭治郎を捉えた瞬間、表情が一変した。
(…!! こいつは…耳飾りの鬼狩り!?)
(運がいいなぁ、こんなところで出会えるとは…)
炭治郎が一歩踏み出し、鬼を見据える。
「…お前は、鬼か?」
「そうだ!」
鬼は口の端を歪ませ、指をポキポキと鳴らした。
「今からお前たちを殺してやるよ。」
だが炭治郎の声は、意外にも静かだった。
「…待ってくれ。」
「はぁ‥?」
鬼は眉をひそめる。
「俺はな、ものすごく腹が減ってるんだよ!」
炭治郎は息を整え、まっすぐに鬼を見た。
「俺と善逸を…鬼にしてくれないか。」
その言葉に、鬼の動きが止まった。
「…は?」
(こいつ、何を言ってる?…まさか、策略か?)
(こんな言葉に騙されてやられた奴もいたっけな…)
だが、善逸も前に出て口を開いた。
「お願いします。俺たち…鬼になりたいんです。」
鬼は驚きのあまり一歩下がった。
(こいつら、本気…? 嘘じゃないのか?)
(まぁ、悪い話じゃない。仲間が増えるのは歓迎だ…)
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「無惨様、鬼になりたいという鬼狩りを連れてまいりました。」
その報告に、無惨の目が細くなる。
彼の前に立つ二人の剣士――
「…耳飾りの鬼狩りか。ふん、面白い。」
無惨は立ち上がり、冷たい声で告げた。
「いいだろう。お前たちを、鬼にしてやろう。」
炭治郎と善逸は同時に頭を下げる。
「ありがとうございます…!」
無惨の手から差し出されたのは、禍々しく輝く一滴の血だった。
「これは私の血だ。一滴もこぼさず、飲め。」
「…はい!」
炭治郎が手を伸ばし、善逸もそれに続く。
血が口に触れた瞬間――
――灼けるような痛みが、体の奥を走る。
「がっ…はっ…!」
炭治郎が膝をつき、地面に血を吐いた。
「はっ、あっ、がはっ…!」
善逸もまた、激しく呼吸を乱し、もがき苦しむ。
心臓が爆発するような音を立て、二人の体が変化していく。
その様子を、無惨は冷ややかに見下ろしていた。
「果たしてお前たちは、十二鬼月に名を連ね――上弦へとたどり着けるか…」
闇の中、新たなる鬼が誕生した。