公開中
もしもこの人生が歌詞だとしたら。 ♪第1話 転校、転校。
ぬぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ(‽
こんにちは!
ririだにぇ
ちょっと長くなるかもしれん、けど頑張ったねん。読んでね∼
転校、転校、転校。
転校。
転校を繰り返してきた。
理由は友達を作るため。たったそれだけ。
いや、たったそれだけに思えるかもしれないけど、私にはとても、とっても大切な理由だった。
必死に作った友達は中学生になると、
『ごめん』
言い残して私から離れていった。
悲しかった。
辛かった。
私と君って『ごめん』の一言で終われるような関係だったの?
この日から私は転校ばかりの日々を過ごすようになった。
ある学校の、ある日。
『ののって喋り方キモいよね。まぁ、聴覚障碍者だからだと思うけど。』
トイレでそう言っている友達を見た。
そうか、私が聴覚障害児だからいけないんだ。
上手く喋れないからいけないんだ。
でも、私がそうやって設定して生まれてきた訳じゃない。
生まれてからずっとそうだったんだもん。
何も障害を持っていない人たちとのぽっかりと空いてしまった空間を感じた。
そして7回目の転校をして今に至る。
でも
実はここに転校してきてから一度も学校に行っていないのだ。
それは、3か月も前のこと。
キキーッ
学校に行く支度をしている途中、外で大きな音がした。
事故かな、そう思って窓から外をのぞいた。
そこには、頭から血を出して倒れているお母さん、腕が千切れて駐輪場に倒れている血だらけのお父さん。
一瞬、幻覚かと思った。
幻覚かと思ったけど、涙が出てきて現実なんだと気づいた。
辛くて、悲しくて、孤独で。
『大丈夫、ののにはお母さんとお父さんがいるよ。』
そう言ってくれた両親はもういない。
どうしよう、もう、生きていけないよ。
明日、行こうと思っていた学校も葬式でつぶれて。
もう、行く気もなくなっていた。生きる気もしなかった。
家にこもって泣く日々を続けていた。
でも、流石にに3か月も経つと学校に行かないことが両親に申し訳ない気がしてきた。
『無理しなくていいよ。』
そう言っていたけど、やっぱり申し訳ない。
せっかくあんなに一生懸命働いて引っ越させてくれたのに。
よし、行ってみよう。
そう思って準備すると、
あれ?何をもっていけばいいんだっけ。
分からなくなった。
初日から忘れ物をするのは恥ずかしいから全ての教科書を持っていくことにした。
「ぉ…」
教科書でパンパンになった通学バックは今にも破れそうなくらい重い。
普段は出ない声も少しだけ出てしまった。
肩が痛い。
よたよたと歩きながら出た外はとても明るかった。
3か月ぶりの外は明るくて、ついつい立ち止まって空を仰いでしまった。
道路に目を戻すと目の前には同じ制服で、ポニーテールの女の子が立っていた。
「ぁ……っ」
ゴーン、とまではいかないが、驚いて倒れてしまった。
バッグが重すぎて立ち上がれないでいると
「ぁ、あんた、大丈夫?」
と、目の前の女の子が手を貸してくれた。
「悪いなぁ…驚かしてもうて。」
「よっこらしょ」と手を引いて私を起こしてくれる。
「ぁ、ぁぃが…ぅ」
起こしてあげようと手を貸してくれたのに、ちゃんとお礼を言えない自分が情けない。
じわっ、と視界が滲む。
女の子が焦ったように言った。
「ぁ…ぁぁ…あんた、泣かんといてや。あんまり上手に話されへんのやろ?無理せんでええねん。…な、うちにはちゃんと伝わったし!」
そんな、今までかけられたことのない優しすぎる言葉にまたも視界が滲む。
目からあふれた涙がぽろり、とこぼれた。
「も~、泣かんといてって。ほら、一緒に行こか。同じ学校やんなぁ…見たことあれへんけど転校生か?」
「あぁ、かんにんなぁ。これ、紙。ペンもあるからここに書いて。」と、紙とペンを渡してくれた。
≪助けてくれてありがとうございます。ペンまで貸してくださって…。
3か月前に転校してきたんですけど、不登校で…今日、初登校なんです。≫
空中で書いているから少し震えているけれど、まぁ、読めるだろう。
紙を渡すと、女の子は少し読んでから答えた。
「ふーん。なるほど…ほな、教室と組、分かれへんてことか。良かったら職員室、連れてくで。」
「ほい」とまた紙とペンを渡される。
≪お時間があるのであれば、ぜひお願いしたいです。≫
にこっ、と明るい笑顔を向けて女の子は答えた。
「ええで。ほな、ついてきな。そうや、あんた、そのバッグ重いやろ。一緒にもとーや!」
「こっち、持ってな。」そう言って私に肩紐の片方を渡す。
ふわ さっきよりも軽くなったカバンを持って私たちは歩く。
何だか、友達 見たいで嬉しかった。
「そう言うたら、名前、何て言うん?」
歩いている途中、聞かれた。
「あ、紙、いる?」そう言われたけど、名前くらいは自分で言いたい。
「し…ざき の、の!」
言えた!
驚きのあまり口をぱくぱくしていると
「言えたやん!おめでとう!!」女の子も口をにっ、として笑ってくれた。
「しざきののちゃんか~ええ名前やな!」
「漢字、どう書くん?」紙を渡してくれた。
≪紫崎 のの≫
自分の名前を書くのは実に久しぶり。
何だか気恥ずかしい。
「しざきの、し、って紫って書くんや…ののはひらがななんやね。お洒落な名前やなぁ」
女の子は紙をぽけーっと見つめた。
「うちの名前、凡中の凡や~…うち、佐藤 ちひろ、ゆーねん。」
「あぁ、佐藤はどこにでもおる普通の佐藤さんや。で、ちひろは千に…ひろってどう説明すればいいかな…」
≪佐藤 千尋≫
「この字や!」
さとうちひろ、佐藤ちひろ、佐藤千尋!
何回も名前を唱える。
嬉しくてしょうがなかった。
「千尋ちゃんて、呼んでな!」
こくこく、頭を激しく縦に振った。
千尋ちゃんも嬉しそうに笑った。
「ここがうちらの、学校やで!」
目の前には大きくて白い建物が建っていた。
壁が白色だからか清潔感が漂っていた。
「キレイやろ~。さ、職員室、行くで。」
校庭には楽しそうに話している生徒たちがたくさん歩いていた。
「失礼しまーす!」
コンコンコン、と職員室のドアをノックして千尋ちゃんが元気よく言った。
「あ、紫崎さん?」
先生らしき人に名前を呼ばれた。
こく、こく。
「私、担任の吉木加奈って言います。よろしくね。」
軽く挨拶をする先生はくるくるとしたミディアムでどこか少女の面影があって可愛らしかった。
「じゃ、ここからは先生が紹介するから、佐藤さんは教室行っててください。」
「はーい。ののちゃん、バッグ、気をつけてな。」
「またね!」そう言って千尋ちゃんは職員室前の廊下を小走りで通り抜けて行った。
「紫崎さん、耳、聞こえないんだったね。ちゃんとクラスの子たちにも言っておくから安心して。」
そう言われたけれど、安心できなかった。
だって、昔。
「紫崎さんは耳が聞こえません。皆優しくしてあげてね。」
こんな内容を先生が言っていた気がする。
そしたら誰かが
「甘えじゃない?」
静かにそう言った。
先生はスルーしていたけれど絶対に聞こえていたはず。
それから地獄の学校生活が始まったよね。
今でも覚えているくらい辛い思い出だった。
でも、せっかくの先生の好意だ。
断るわけにいかない。
そう思って少しにこり、と笑った。
私からしたら苦笑いだったけれど。
「さ、ホームルームが始まるから教室行こうか。」
先生に連れられて私は真っ白な階段を上った。
ぅぅ、、、、、、
語彙力なっしんぐ🙄
一話2000文字以上目指して書きます💪
今回は3027文字でした。お疲れ様❢
もうちょっと頑張るんで次回も読んでくださいっ!m(__)m