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「大丈夫?」
クラスメイトの、北内冬馬くんだった。
冬馬くんとは、何も関わりはない。
関わりはないけど、みんなが冬馬くん冬馬くんって呼ぶから、私も心の中では冬馬くんって呼び捨てで呼んでいたんだけれど。
しかも冬馬くんは、クラス1のイケメン男子で、女子に人気。
6年生になってから、まだ数日なのに、もう告られたという噂があるほど。
そんな冬馬くんがなんで、ここに…?
有希ちゃんも、目を見開いて、驚いていたけど、何も言わなかった。
「大丈夫?」
冬馬くんの口から突然出た言葉に、私はとても驚いた。
驚きすぎて何も言えなくなった有希ちゃんと私。
すると、「あ…ごめん、俺なんかが…」と言って、冬馬くんは一歩下がった。
すると。
『ガララッ』
冬馬くんがいる扉とは反対側についている扉が開き、保健の先生と事務の先生が入ってきた。
冬馬くんは、無言で戸惑いながらも教室へ戻って行ってしまった。
「ランドセル持ってきたわよ。お母さん来てらっしゃったから、愛菜ちゃん帰ろうか」
すると事務の先生も小さく、「事情は説明しておきました」と保健の先生に行った。
「愛菜ちゃん上靴置きに行ってね…ってあら、上靴どうしたの?」
あ。そういえば上靴…谷川さんに隠されたんだった…!
「え、えっと…わす、忘れました…!持ってくるの」
もつれながら言う。
「あら。じゃあ玄関行こうか」
保健の先生は特に気にする様子はなかったので、私はほっと息を吐いた。
「有希ちゃん、付き添ってくれてありがとうね。授業戻って良いよ」
「はっ…はい!戻ります!失礼しました」
有希ちゃんも教室へ向かって行った。
そして私は、お母さんが迎えに来ている正面玄関へ向かった。