微笑むあなたが好きだ。

息が艶やかに綺麗に鳴り、鼓動はドクンと響いた。 俺は息をしていた。 どうしてあなたは居ないのか。 「…あ、写真が…」 埃被った写真立てに手を伸ばし、ハンカチを棚から取り出す。 ひっそりと佇む自分の後ろ姿がなんだか不思議な気分だった。 あなたはまだ帰ってこない。 歌を歌い、ご飯を食べて、アニメを見て、外を眺める。 いつしか、あなたの息を求めていた。 …数日後。 「もう少しで帰れるよ、七夕の日ね。お誕生日、おめでとう。」 ラインで届いた一言に、俺は目を輝かせた。 多分、今年一番の輝きだと思う。 「ありがとう！家で待ってる😆」 ふと思いついたアイデアの宝庫には、サプライズしかなかった。 短冊とかを作る紙を買ってくる。 穴を開けて、紐を用意する。 あとは、精一杯文字を書くだけだ！ すやすやと布団で眠っている時に、いつの間にか彼は帰ってきていた。 いつもの笑顔で横で見つめている、あの懐かしい顔。 「蓮！」 「ただいま、ごめんね…寂しい思いさせたよね…」 「ほんとだよ！もう…蓮の好きなアニメの続き見るとこだったよ！」 「あ、帰ってきてよかった…」 そして、思い出した顔で俺は一直線にリビングのクローゼットに向かう。 蓮はついてこようとしたけど、一度止めてからあるものを取り出す。 「着ていいよー！蓮！」 「はーい…待ってね」 扉が開いた時の、なんとも言えない驚きと喜びの混ざった顔に満足する。 「え、これ…七夕だから？」 「うん！もー、蓮に会えなくて寂しかったから、書いてたの！！」 「見ていい？」 「うん！」 【蓮とアニメ祭りをしたい！】 【一緒に海外のお仕事】 【コスプレ大会！】 【コラージュしたいなー】 「…ふは、願い事多くない…？w」 「ふふーん！俺は去年いっぱい働いたからね、神様が叶えてくれるよー！」 「俺もか　書きたいな…いい？」 「うん！ほら、紙！」 【蓮とずっと一緒！】 【大介とずっと一緒】 ＿＿＿fin.