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天才ちゃん!7
「金糸雀さん、2人で買い物に付き合ってほしいんだけど…」
「え…ちょっと…」
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また金糸雀さんが困っている。
みんなはどれだけ彼女を困らせればすむのだろう。
いい加減気付いてやれよ。
それとも、困らせるとわかっていて、行くのか?それだったらただの迷惑だ。
そう思い、また、助けに行く。
まったく、人を困らせるなよ。見ているこっちが不愉快だ。
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「ねぇ、俺もついて行っていい?」
「いいけど…それなら私も友達誘うよ?」
「なぁ、いいよな?」
「あぁ…うん。いいよ。」
また、高麗くんに助けてもらってしまった。
「じゃ、どこに行く?」
「とりあえずホームルーム後でいいんじゃね?」
「あ、そっか。じゃあそうしよう。」
「__おまえ…邪魔すんなよ__」
「__お前が人の嫌がることをしなければいいだろうが__」
「ねぇしずちゃーん、いろはちゃーん、乃蒼ちゃーん放課後空いていない?」
「私今日塾。いろはちゃんは?」
と、乃蒼ちゃん。
「うちは…内容によるなぁ。」
「うちも今日はパス!最近成績落ち込み気味だから!」
え…。どうしよう?
あ!
「古宇利ちゃん、江東さん、今日放課後付き合ってくれない?」
「何であたしら?」
「だって…みんな空いていないんだよ。男子と一対一って、悪い予感しかしなくない?」
「あたしで良かったら行けるよ?__よっしゃ。これぞ狙っていたチャンス__」
「わたしも…行こうかな?」
と、古宇利ちゃん。下の名前は七海だったはず。
「本当!ありがとう〜!」
何で彼女らに声をかけたかと言うと、しずちゃんたちが、彼女たちは大丈夫、嫌われていない、と教えてくれたから。
嫌われている人に声をかけて、余計に嫌われるなんてことには、なりたくない!
「「「「さようなら〜」」」」
さあ、初の古宇利ちゃん、江東さんとのお出かけだ。
「で、どこ行くの?」
「俺はどこでもいい。|快真《かいま》、どこに行こうとしてたんだ?」
「僕は、普通にゲーセン行きたかった。」
「ダッサ。」
「ねえ、|大貝《おおがい》、あんた金糸雀さん誘ったんよね?」
ちなみに今、江東さんが言った大貝で、大貝快真がフルネームだ。
「そうだよ。」
「センスなさすぎ。男子が女子を誘うところじゃない。」
「えぇ…そうかな?」
「あ、けど、私、1回はゲームセンター行ってみたい。」
「よし、金糸雀さん、今度あたしらと行こうか。」
「うん!ありがとう!」
江東さんが誘ってくれた!良かった、しずちゃんたちの言うとうり、嫌われていないかも。
「で、江東さんは、どこがいいと思うの?」
「いや…相手が金糸雀さんだもん、ここはブックカフェっしょ?」
「そうだね~。あ、てか、金糸雀ちゃん、他人行儀な気がするし、|妃奈乃《ひなの》のこともちゃん付けか下の名前にしようよ。」
と、古宇利ちゃん。
「あ、じゃああたしも金糸雀さんのこと悠ちゃんにする!」
「えぇ…悠ちゃんなの?金糸雀ちゃんってかわいいと思わない?」
「かわいいけど…長い!」
「そっか…残念…。」
「じゃ、私は古宇利ちゃんにちなんで江東ちゃんにする!」
「__あたしら、前楯突いたのに、嫌われていないんだね。__」
「__そうだね~。悪口よりこっちのほうがわたしの性にはあっているかも__」
「あのー。」
急に大貝くんが割り込んできた。
「どうしたの?」
「いや、さっきまで譲とどこ行くか話し合っていてさ、このブックカフェ、どうかなって。」
「んー?あ、結構近い。いいんじゃない?あたしは賛成。悠ちゃんは?」
「私もいいと思う。」
けど…気を使われている感じが少し申し訳ない。
「わたしもいいよ〜。」
「じゃ、全員一致で賛成だね!案内して。__よっしゃ、高麗くんにいいところ見せられた!__」
「はいはい分かりました。」
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僕が金糸雀さんを誘ったのに…
いつの間にか下っ端の様になっている。
譲にも邪魔された。それは、結果的には良かったかもしれない。
けど、譲は一体何をしたいんだ? 金糸雀さんを気にしている風ではないが。
ときどき女の子二人は僕と金糸雀さんを二人にさせてくれるが、喋らないので、そのまますぎる。これは自分のせいだとわかっているけど、
あぁ…
誰か僕をたまには目立たせてほしい…
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「えぇー!これこの前発売されたやつ!」
「あ、それオレ知ってる。その作者、何作も書いている人だよね。」
「そうそう!」
驚いたことに、小説の話題に乗ってくれたのは高麗くんだった。
「オレ、まだ読んでいないや。あ、でも、この人のデビュー作は読んだ。」
「え!私まだこれの前の作品しか読んでない。どうだった?」
「良かった。主人公が…」
「あぁ~楽しかった。」
みんなとも近づけた気がする!
「また明日〜。」
「ばいばーい。」
「学校で!」
「じゃあね…。」
最後のセリフ。上から、悠、譲、江東、古宇利、大貝です。