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シンセカイ案内所ⅱ/wrwrd
続きです!前回は、knさんとut兄さんが
約束した"2週目"に行くために、それぞれのやり方でタヒにましたね。
彼らは、約束通り2週目に行けるのでしょうか?そして、出会えるのでしょうか?
誤字あっても許してね☆
ー起きて。ー
五月蝿い。
ー目を覚ましてぇやー
このまま消えたい。だまれ。
ー僕は死なれちゃ嫌だな。約束したのにさ。ー
約束、か。俺は苦手なんだよなそういう約束事。
ー2週目で会うって約束したやろ?なぁシッマー
その名前、知ってるのは大先生くらいやな、
お前は誰や?
ーそうだね。知りたいなら目が覚めた場所から北東に進んだ森の中にいるよ。探してごらん。ー
行くか。
「ここは…」
オンボロとも、アタラシイとも言えないような、普通の家だ。本当に生まれ変われたのだろうか。だからといっても目線が少し低い気がする。
「…18くらいか。」
『聖羅、起きた?』
聖羅とは俺のことだろうか?
「うん。起きたよ"母さん"」
『そう。今日は森に行くの?』
今、意識しなくても母さんと口から出たということはこの目の前にいるやつは母親か。
「うん。ちょっと行ってくるね。」
『気をつけて行ってらっしゃいね。』
「うん」
---
「ここか。すっごい暗いけど平気なんかな…」
すごいゲームに出てきそうな禍々しいオーラが出ている森に来た。この中にあいつが居るのか?ならば行くしかないだろ。
「待ってくれ少年。」
「?俺か?」
「ああ。君はここで何をしてるんや?」
なんというのが正解だろうか。正直に声に導かれてここに来たというべきか?それとも遊びにここへ来たというべきか?
「声、声が聞こえた、からここに来たんや。
信じてもらえんかもしれんけど、転生してきてん。」
そう言えば目の前の2人は顔を見合わせ、話し始める。
「君の言ったことを信じよう。
私はグルッペン。隣にいるこいつは護衛のトントンだ。よろしくな。」
「あ、え〜と…」
「?どうしたのだ?」
聖羅という名前で名乗るか、コネシマという名前で名乗るべきか、どちらだろうか。
なぜだか、この選択は間違えてはいけない気がする。
「コネシマ、俺の名前はコネシマや。」
「コネシマ、どこかで聞いたことある気がするな…」
「あれちゃうか?大先生が言っとったやつ。」
「あ〜確かに言ってた記憶あるわ。」
「お前ら大先生のこと知っとるん?」
俺はその名前が出てきたことに疑問を持ち、2人に聞いてみる。
「知ってるも何も、俺らの軍の幹部やからなぁ。」
ああ、転生する世界を間違えたかもしれない。だけど、大先生に会えるチャンスを逃すわけにはいかない。
「連れてってくれへんか?大先生に会いたいんや」
「いいゾ!」
「ちょ、グルさん…」
「こんな面白いこと、もうないかもしれないだろ?それなら今体験しといたほうがいいだろ!」
「はぁ…まあええけど。それじゃあコネシマ
ついてきてくれ。」
「おー」
---
「あ、グルッペンさんお帰りなさい。
…後ろの人は?」
「コネシマだ!仲良くしてやってくれ!」
さすがに初めましての奴に警戒心はゆるくないか。鍛えられてんなこの軍。
「ふーん…ショッピっす。」
「コネシマや。よろしくな」
簡単な自己紹介と挨拶を交わす。
そしたら後ろから「初めまして!私はエーミールと申します。」とエーミールさん?が出てきた。
「おぉ、俺はコネシマや。よろしk」
「コネシマ!?もしかして、気に障ったらすみません。
100年前に、王家に逆らった第一王子の、
マリン・コーネリアス様、ですか??」
なぜその名前を知ってるのだろうか??その疑問で頭の中がいっぱいになった。
俺のセカイは、ここでまた幕を閉じるのか??
せっかく会えるかもしれなかったのに?
「なんで、その名前を、知ってるんや…?
その名前は、大先生にしか教えとらんはずや、なん、で…?」
「コネシマ、落ち着け」
「なんで知ってるんや?グルッペン達ももしかして知ってたんか?だったら今すぐその名前を忘れてくれ、頼む、頼むから。俺の幸せを壊そうとしないでくれ、殺さないでくれ…」
「シッマ!!」
焦っていた俺に、慣れ親しんだあだ名で呼んでくれた彼、鬱が来た。
「…何か、シッマに言った?」
「大先生、詳しく話してもらおう。
そこに居るコネシマのこと、そしてお前のことだ。」
「シッマ、話しちゃってもいーい?」
と優しい声色で彼は俺に小声で落ち着かせるように話しかける。
「どうせバレるだろうし、話してええよ。」
「わかった。」
「ありがとう。」
何度その言葉を聞いただろうか。
俺は、彼のいうことをなるべく肯定したい。
けれど、一回でいいから俺の考えにもYESと言ってほしい。
いつか彼が危ない目に遭いそうだから。
---
「じゃあ話すね。」
__100年前__
エルダー王国には、誰もが美男だと答える、第一王子がいたそうです。彼は、いつも孤独に誘われていました。誰も愛してくれず、誰も愛せなかったからです。
そんななか、彼に一つの希望が降り注ぎます。
片目を隠した少年が彼の城の庭に寝ていたのです。まるで、空から降ってきたかのように。
それから彼らは仲良くなり、初めて王子は人を愛することを知ったのです。
ですが、その愛が壊れるのもすぐ。
彼らは王様に目をつけられてしまい、王子は王様の手で殺されてしまいました。
片目を隠した少年は、一人で人のいないどこか遠くへ走り続け、王子の瞳のような澄んだ青の海へと飛び込み、死にました。
彼らは死ぬ前に約束しました。
「また2周目で会おうってね。ざっとこんな感じやね。そういえばシッマさ、王様に殺される前なんて言ったの?」
「ん?あぁ。えっとな
お前らは所詮人を物としか扱えないクズだ。
俺が転生したら、お前を何としても殺すみたいなこと言ったで。」
「うわ強いなシッマ」
大先生が話した過去から、話をどんどん広げ、過去の話を2人でする。
「えーと、じゃあお前らは、100年前からここに転生してきたってこと?」
と、緑のフードを深くかぶったゾムが言う。
「すごいおとぎ話みたいやな〜」
「それ詳しく聞かせてほしいめぅ!」
とシャオロンや、オスマンが続々と口を開く。
「なぁ大先生。」
「どしたん?シッマ」
「また案内してって言ったらさ、」
「…うん」
「怖くて逃げる?」
「…」
図星のようだ。きっと大先生は前世のことがあったから、俺をどこか知らない場所に連れて行くのは嫌なんだろう。
「シッマが、シッマがどうしてもっていうなら、僕はどこでも案内する。多分、シッマが行くところには、僕もついて行く、と思う…」
「そっか、ありがとうな。」
「話は済んだか?今日はコネシマも大先生も疲れてるだろう?昔のことを思い出させて悪かったな。休んでくれ。」
「グルさんあんたは資料終わってないんでまずそっちですよ?」
「ハイィィ…」
---
「シッマ、中途半端な俺でごめんなさい」
そうやってドア越しに彼へ話しかける。
「別に、中途半端な大先生が嫌いなわけじゃないで。」
「でも中途半端ってできることができないんだよ。
すごく醜いんだよ…?」
僕は本当にそう思う。僕が醜いせいで、本当は輝けるはずだったシッマは輝けなかったんだ。
「俺と一緒に、精一杯輝けるように頑張ればええやろ」
心の声が漏れていたのだろうか。僕は、きっと輝けない。そもそも、輝こうとしなかった。
きっと無理だから。
「まだ2週目は始まったばっかりや。それに、たとえ周りが怖がろうとも、俺の中で大先生はスターなんやで。心配せんでもええよ。」
そういうシッマは笑っていた。不恰好な笑顔を作って。
あぁ、僕のせいでお前はもう昔みたいに笑えないの?
「下手くそな笑顔…」
「大先生こそ、泣いてて格好悪いで、」
「んふ、どっちもどっちやんけ。」
「せやなぁ。」
僕は、昔も今も、ろくにシッマと目を合わそうとしなかった。だって、顔で人が何を思ってるかわかるから。シッマが僕のことをどう思ってるのか理解するのが怖かった。でも、今世は、少し人と目を合わせられるように頑張ってみてもいいのかなぁ
「大先生。」
「どしたん?シッマ」
「俺、どんな顔してる?」
「…笑ってる?」
「ハズレ。泣いてるよ。
無理しない程度でいいから、頑張らなくていいから、人と目を合わせることを意識してみて。少しなら、変わるかもしれんから。」
やっぱり、シッマには何もかもがお見通しなのかもしれない。
「ありがとう。相棒」
「おう、いつでも相談しろよ。のるからさ」
「うん」
相棒に頼るのも何回目だろうか?今までずっと頼っちゃいけないと思ってた。でも、案外、人に頼るのは悪くないかもしれない。
ちゃんと相棒を知ろうとしても、いいのかもしれない。
ファンレターあったら最終回書きます。